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愛妻語録  作者: keikato
79/724

79 いつもこらえてる

 新作を書いていて何度もため息が出る。

 ストーリーがまったく先に進まないのである。

「あーあ」

 またもや漏れ出た。

「どうしたの? さっきからため息ばかりついて」

 妻が問いかけてくる。

「話がぜんぜん先に進まんのや」

「なんね、そんなことぐらいで。少しはこらえんと」

「こらえるなんてできんやろ。知らんうちに出てしまうんやけん」

「できるわよ。うちはね、いつもこらえてるんやからね」

「いつもって、いつや?」


 妻いわく。

「その顔を見るたびにね」



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