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愛妻語録  作者: keikato
77/724

77 赤い糸

「夫婦になったんはな、小指と小指が赤い糸で結ばれているからだってよ」

 オレは妻に見えるよう、小指をピクピクと動かしてみせた。

「どうや、オマエの小指も動くやろ」

「ぜんぜん」

 妻の返事はそっけない。

「今つながってるんはな、いっぱいあった糸のうち最後まで残ったもんなんや。まあ、夫婦の絆やな」

「ほかの糸はどうなったん?」

「オレと一緒になる前、オマエが一本ずつ切っていったんや」


 妻いわく。

「じゃあ、うちは切る糸をまちがえたんやわ」




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