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愛妻語録  作者: keikato
63/724

63 命のロウソク

 ここ数年。

 葬儀に参列することが増えた。

 親の世代である昭和一桁生まれが寿命を迎えているのだ。

「世代交代なんや。みんな、孫たちの成人を見届ける頃になったもんな」

「そうやね」

 妻も深くうなずく。

「うちも孫ができたんで、次はオレの番やろうな」

「そんなの気にせんでいいんやないの?」

「いや、じきや。オレの命のロウソクが燃え尽きるんはな」

「そんなことないわよ」

「残りが三センチしかないんや」


 妻いわく。

「太さは三十センチあるやないね」




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