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愛妻語録  作者: keikato
193/724

193 生きてさえいれば

 最近、料理の味が薄い。

 本日の魚の煮つけもそうだ。

「これ、味が薄くないか?」

「あんた、血圧の薬を飲み始めたでしょうが。辛いのは良くないんよ」

「少しぐらいならかまわんやろ」

「長生きできんよ」

「いい、べつに長生きせんでも」

「またそんなことを言って。あんたには長生きしてもらわないけんのやけんね」

 妻の優しい気持ちに胸が熱くなる。

「そう言ってくれると嬉しいけどな」


 妻いわく。

「とにかく生きてさえいればもらえるんやけん、今の年金が」


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