164 ピッタリ

　空き家である妻の実家を訪れて、今は亡き両親が住んでいた頃のことを思い出す。

　盆や正月など。

　この家には親と子の四つの家族が一堂に集まり、ずいぶんとにぎやかなものであった。

「お義父さんは花だったんよ。みんながミツバチのように集まってたんやけん」

「そうやね」

　妻も感慨深そうである。

「次はオレが花になる番や。それでオレの元に、子や孫らのミツバチが集まるんよ」

　妻いわく。

「ウンコにハエ。あんたには、こっちの方がピッタリと思わん？」