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157 だったらなんや
妻の母。
オレの母。
今はあの世にいるのだが、晩年の二人は認知症で我が子さえ認識できなかった。
そんなこともあってか……。
老い先の話になると、オレたち夫婦は当時の母親たちのことをよく語る。
妻に問うてみた。
「ああなってしもうたら、生きてるんか死んでるんかもわからんのやろうな」
「どうやろ?」
「まあ、ボケたら死んだようなもんやけど」
「だったら……」
妻がオレの鼻先を指さす。
「だったらなんや?」
妻いわく。
「オマエハモウ死ンデイル」
妻の母。
オレの母。
今はあの世にいるのだが、晩年の二人は認知症で我が子さえ認識できなかった。
そんなこともあってか……。
老い先の話になると、オレたち夫婦は当時の母親たちのことをよく語る。
妻に問うてみた。
「ああなってしもうたら、生きてるんか死んでるんかもわからんのやろうな」
「どうやろ?」
「まあ、ボケたら死んだようなもんやけど」
「だったら……」
妻がオレの鼻先を指さす。
「だったらなんや?」
妻いわく。
「オマエハモウ死ンデイル」