140 人生あれこれ

　昼のワイドショーで、一人の老人の怪死事件が放映されていた。

　この老人。

　紀州のドン・ファンと呼ばれ、美女四千人に三十億円もの大金を貢いできたそうである。

　同じ男としてうらやましいかぎりだ。

　それが、最期。

　急性覚醒剤中毒による怪死。

　人生に成功し、死に際まで輝く日々を送っていたのに、その結末がこれである。

　人生、わからないものとしたものだ。

「人間、最期はわからんもんやな」

　妻いわく。

「あんたはという人間は、最初からわからんけどね」