103 ボタモチ

　帰宅すると、

「ねえ、これ食べる？　町で買ってきたんよ」

　妻がないことご機嫌な顔で、お茶とボタモチを二つ盛った皿を持ってきた。

「ボタモチか、珍しいな」

「うん、あんたが食べたいだろうと思って」

「そうやな、たまにはアンコもいいけんな」

「二つとも食べていいからね」

「オマエは？」

「うちはいい。おなか、すいてないけん」

　今日はどうしたことか、いつになく気をつかってくれる。

「すまんな」

　妻いわく。

「いいんよ。うちはさっき三つ食べたけん」