第九話 オーガ遭遇
今回チョイハードです。グロ等に耐性の無い紳士はお帰り下さい。
ベルナを旅立って八日目。やっと旅の半分を過ぎた頃、山向こうから黒煙が立ち上るのを発見したレオン一行。
「何でしょうかあの煙は?」
「戦の匂い…じゃな。」
鼻をヒクリとさせたのはシーダ。戦闘部族としての勘が働いたようだ。
「行ってみようぜー!何か面白そうだ!」
このところ従者のお尻を鑑賞する以外にイベントのなかったレオンは、観光気分で黒煙の上る場所へと向かう。
「到着が遅れてしまいますが。」
「良いではないか。元々急ぐ旅でもないであろう。」
シーダの説得にそれもそうだと頷くリディ。実はシーダもレオンと同じく、歩き続けるのに飽きただけだったりする。
「その前にご主人様。」
「うん?」
「服をお返し下さい。」
「ええー」
そう、これまでの旅の間、リディとシーダは裸だった。レオンとの約束だ。だが、誰か他の人間と遭遇する可能性があるのだ。服は着ていたい。
山頂へと到達した三人が黒煙の出所を見下ろす。そこには凄惨な状況に陥っている村があった。
「オーガの襲撃か。」
レオンが呟く。見れば村の中で、2メートル以上もある黒ずんだ肌をした巨漢の鬼が暴れ回っていた。オーガである。
数は七~八体。十は超えていない様だ。
オーガは手に持った石斧で男は殺し、女はその場で犯していた。
様子を見ている間にまた一人、逃げ損なった女がオーガに襲われる。女の服を引きちぎり、覆い被さって腰を振るオーガ。遠目にも女が泣き叫んで居るのが分かる。
どうしますかと尋ねようとしたリディだったが、既にそこにレオンの姿は無かった。
「許せん!何と羨ましい事を!」
長剣を振り回し、凄まじい速度で山を駆け下りていた。
下卑た笑みを浮かべ、目の前の雌に腰を打ち付けるオーガ。突如その首が飛ぶ。
「スタンピイイイイィード!!」
首をハネたのはレオンだった。彼は奇声を上げながら、勢いそのままに村の中へと突入する!
村人を襲うオーガを次々に駆逐していくレオン。オーガ達も異変に気付き応戦するが、如何せん速さが違う。オーガが斧を振り下ろす間に、レオンの剣閃が五回は煌めく。シーダとリディが追い付く頃には全てのオーガが躯を晒していたた。
「主殿、我にも獲物は残しておいてくれねば。」
つまらなそうに口を尖らせるシーダ。自分も暴れたかったと不満顔だ。
「そうか。悪い悪い。つい先走っちゃった。」
「私としてはご主人様の活躍が見れて満足で御座います。」
リディは山を下りる間、オーガを屠るレオンの姿を見て恍惚としていた。今回は何の交渉も無くレオンが自発的に戦っているので、リディにしてみれば幸運だった。惚れた男の活躍が見れたのだ。女としては嬉しい限りだ。
三人がオーガの死体の側で談笑していると、初老の男性が恐る恐る近付き礼を言う。彼はこの村の村長だそうだ。
「怪我人は居るのか?」
「はい。十人程…その内三人は恐らく…」
悲しげに首を振る村長。助からない程の怪我という事だろう。
「そうか。じゃあ、そいつら全員ここに集めろ。治してやる。」
「は?で、ですが最早助かる見込みは…」
「良いから連れて来い!俺の魔法で治してやる!ほらほら!早くしないと治す前に死んじまうぞ!」
「は、はいっ!」
レオンに追い立てられた村長は、転がる様にして怪我人を集めに走った。暫くして集められた怪我人は軽い者でも骨折。重傷者に至っては四肢が欠損していて、チアノーゼが起きている者も居る。
それらを片っ端から回復させる。失われた部位までも。
「す、凄まじいな主殿の魔法は…」
レオンの魔法を目の当たりにして感嘆するシーダ。見守っている村人達もあんぐりと口を開けたまま呆然としていた。レオン本人と、主の力を知っているリディだけが平然としている。
驚くのも無理はない。本来、回復魔法でこれだけの重傷者を治すには、高等な魔導師が数人必要だ。それでやっと一人治せるかどうかである。しかし欠損部位まで再生させるのは不可能。レオンの規格外っぷりが分かるというものだ。
怪我が治った村人は泣きながら家族と抱き合っていた。
「本当にありがとう御座います!レオン様!」
村長が平身低頭で礼を述べる。
「そう畏まらなくて良い。まだ後始末があるんだろ?」
「はい!それでは失礼します。」
村人達は死人の収容やオーガの死体の後片付け、壊された家屋の修繕に追われ散らばって行った。暇になったレオンが従者とイチャ付こうかと思っていると、村の隅ですすり泣く娘達が目に入る。
聞けば全員オーガに襲われたのだとか。
オーガに犯された者は助けられても殆どが後に自害する。孕まされていた場合、出産時に苦しみ抜いて死ぬからだ。例え孕んでいなくとも精神的ショックで命を断つ者も多い。村人は楽に死なせてやるしかないのだと悔しげに語った。
「勿体無い。」
見れば皆まだ若く、一番年上でも三十代前半。十分レオンの守備範囲だ。
「ふふふっ、良い事考えた!」
レオンは犯された娘達の中のオーガの種を浄化できると村人に告げる。するとまたまた村長が大慌てでレオンの元へと戻ってきた。
「レ、レレレレ、レオン様!オーガの種を浄化出来るとは本当ですか!?」
これだけ取り乱しているのは、彼の孫もオーガに犯されたからだ。
「どうか!どうか娘達をお救い下さい!」
諦めかけていた孫娘の命が助かると聞いて、必死に懇願する。
「本当だ。けどそれには…」
レオンが伝えた浄化方法とは、自分と交合うことでオーガの種を浄化するというものだった。
……。
大嘘である。
いや、半分は本当だ。浄化は出来る。割とあっさりと。けれど交合う必要はない。この男、単にヤリたいだけである。折角タダでヤレる機会を逃す筈がない。
本来ならこの話も眉唾モノだが、怪我人を治して見せたことで信憑性がグッと増していた。話し合った結果、村人達は娘達の浄化をレオンに任せる事にした。
浄化用に家を一軒借り受け、娘達と中に籠もるレオン。もちろん従者二人も一緒だ。立ち合いたいと名乗り出る者も居たが、秘術だからと丁重に断った。
ここまで来ればもうレオンの独壇場だ。最初は戸惑っていた娘達も、数時間後には甘い声を上げるようになっていた。
浄化は三日間続き、娘達のオーガに犯された恐怖の記憶は、レオンから与えられた快感に塗り替えられた。お蔭で後日、娘達の中で自害する者は一人も居なかったという。
動機も行いも不純極まりないが、図らずもレオンは娘達の心を救ったようだ。
出立時には村人達から多大な感謝を受けて村を出る。
「うーん、人妻ってのも中々良いもんだったぜ。」
浄化した娘達の中には既婚者も何人か含まれていた。後に彼女達の夫からも礼を言われたのだが、散々寝取っておいて感謝されるというのは妙な気分だ。
「人妻がお気に召されたので?」
「何かこう…イケナイ背徳感があるよね。アレはアレでハマっちゃいそうだな。ヌフフ。」
他にも夫との違いに戸惑う反応が可愛らしかった。最中には夫よりイイと言うまで攻め立てたもんだ。
「でしたら私も適当な男性と契りましょうか?」
「えー!それはダメ!リディは俺のだからな。他の男に触らせるのは無しだ!」
「んふふ…私も触れられるのはご主人様が良いです。」
今は冗談で済んでいるが、このメイド、レオンに命じられれば躊躇無く実行するだろう。リディのレオンへの想いは思慕や愛などではなく、もはや狂信の域である。
何となく二人がいい雰囲気なのを感じ取ったシーダがレオンの腕を抱く。それもわざと自らの双山に押し付けて。妬いているようだ。
「我も主殿以外の雄など考えられぬぞ?」
「もちろんシーダも俺のものさ。」
三人は身を寄せ合い旅を再開する。
「あ、二人とも服は脱げよ。」
「…ぬ…覚えておったか。」
「このまま有耶無耶に出来ると思ったのですが…」
キッチリ二人の服を回収するレオン。煩悩に関しては一切ブレない男である。
オークとオーガどっちにするか迷ったんですけど、禍々しさを優先してオーガ採用。




