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第十七話 ライラ巨砲に没す

ヤッてるだけの回。

奴隷五人を加え自宅のあるカルディナへと歩を進めるレオン一行。ウィスラを出て1日目、日が暮れ始めると一行は野営の準備を始めた。


「ご主人様、よろしくお願いします。」


「へーい。」


レオンが手を向けるとそこは光輝き、調理に必要な石窯や道具一式が現れる。他にも人数分の寝台や天幕など、宿泊に必要な家具が次々と光の中から飛び出してくる。野宿どころかそのまま住めそうな設備である。


「な、ななっ何だいこりゃ!?」


非現実的な現象に仰天するのはライラ。レオンが特殊な能力を操るのはこれまでの経験で分かっていたが、

それでも驚かずには要られない。


一方、身体を治して貰った事でレオンへの好意を高めていたナーシャやエルフ三人娘達は、彼を尊敬の眼差しで見ている。特にエルフ三人は膝の上で撫でられたりと道中可愛がられ大分馴染んでいた。レオンが自分を虐げてきた者達とは違うのだと感じている。


「ご主人様、お風呂の用意もお願い致します。特に購入された皆さんは身体を清めた方がよろしいでしょう。」


「確かにな。」


幾ら優良店とはいえ、奴隷だったライラやエルフ達はそこそこ汚れている。清潔と言えるのは目玉商品として大事にされていたナーシャくらいだ。


「この辺かな?」


リディに促され風呂を造り始めるレオン。とはいえ、何も大工仕事をする訳ではない。野営道具を出した時の様に手をかざすだけだ。それだけで地面が大きく陥没し、岩が組まれ、お湯が湧き出す。


「無茶苦茶だ。聞いたことないよこんな魔法…」


唖然としているライラにシーダが苦笑しつつ話し掛ける。


「主殿のする事に一々驚いては身が持たんぞライラよ。」


「シーダの姉さん…。」


「フフッ、姉さんか。良いぞ。お主も我と同じく主殿の僕。そう呼ぶ事を許そう。」


「あ、ありがとう御座います。」


ライラは若干萎縮気味に礼を述べる。当然彼女も竜人シーダの雷名は知っていた。畏怖の対象としてだ。盗賊時代に遭遇していれば一目散に逃げ出していただろう相手である。馬車でこの美女が竜人シーダだと紹介された際には、背筋が凍り付いたものだ。


風呂が出来上がると先ずは主人であるレオンから入浴となった。リディとシーダの二人が甲斐甲斐しくレオンの脱衣を手伝う。


「ァン!ご主人様…ソコはまだ早う御座います。」


「リディが押し付けるからだろ。」


「んふっ、もうここを大きくしているのか?気の早い主殿だ。どれ、一旦我が鎮めてやろう…ぱくぅ…。」


「おふっ!」


脱衣というには艶かしく、入浴の支度は進む。


「いやー!絶景絶景!」


風呂の縁に顎を乗せ、レオンは身体を洗う従者達を眺める。ニヤケ顔の視線の先では、大中小とバリエーション豊かな肢体が入り乱れる、魅惑の光景が広がっていた。


「ヌフフ。」


見ていれば手を伸ばしたくなるのが男の性というもの。レオンは密かに風呂から上がり、近くの獲物へと忍び寄った。


「フッフッフ、綺麗に洗えてるかライラ?」


「レオン!?な、何しに来たんだい!」


「従者の衛生状態を確認するのも主の務めだからなぁ。」


後ろに回りライラの背中に密着するレオン。そのまま小麦色の肌に手を触れる。


「んくっ…身体なら自分で洗えるよ。」


「いやいや、意外に自分じゃ気付かないトコも有るものさ。」


太股に手を這わせ撫で回す。そして徐々に内側へと…。


「て、手つきがやらしいんだよ!」


「む、失礼な。やらしい手つきとはこういうものだ。」


「はぁんっ!ちょっ、本当に止め…ひあぁぁ!」


ライラのキワドイ部分をしっかり丁寧に洗う。従者思いの主だった。



身体を洗い終えると全員が湯船に浸かり始める。訂正、何故かライラだけは外でピクピクと痙攣していた。


「風呂は良いねぇ。特に温泉。そうだろリディ?」


「はい。その通りで御座います。」


レオンの傍らに寄り添うリディが頷く。


「特に主と入る風呂は最高であるぞ。」


リディと逆側に腰を下ろしているのはシーダ。彼女は見事なプロポーションを惜し気もなく晒しており、従者随一の双山はプカプカと湯に浮かんでいる。


「す、凄ぇ…それって浮かぶのか?」


「フフフッ…そんな事も知らぬとは。主もまだまだよな。」


「ムムム…」


悔しげに呻くレオン。プカプカタプタプと揺れる『ソレ』については、大きさ、感触、ボリューム、果ては刺激した際の反応まで、全てを知り尽くしていたつもりだった。特に重量感は他の追随を許さない。到底浮くとは思えない『ソレ』が気持ち良さげに波間を漂う姿は、正にこの世の神秘だ。


「流石は女体…奥が深い。精進せねば。」


真剣な顔で不純な決意を固める。そして当然、この後すべき行動は決まっている。


「その為にもっかいシーダのおっぱいで復習させてくれ~~!」


ザブンと湯を纏いシーダの元へと飛び込んでいく。


「んふふ、本当に乳だけで良いのか?」


風呂の一角はモザイクをかけざる負えない光景となるのだった。




「なぁ、リディ。」


「おや?如何しましたライラさん?」


レオンに身体を洗われまくり、息絶え絶えだったライラがいつの間にか復活。彼女はやっと湯にあり付く事が出来ていた。


「入っておいて何なんだけど、大丈夫なのかい?今、魔物や賊に襲われたら一溜まりもないんじゃ…。」


ライラの疑問はもっともだった。周囲は木々に囲まれた森のど真ん中。遮蔽物も多く奇襲にはお誂え向きの場所だ。元盗賊のライラから見れば襲ってくれと言っている様なもの。見張りも置かず、しかもこちらは全裸…。


「あら、それは気付きませんでした。大変ですね。今賊に襲われれば全員が慰みモノにされてしまうかも。」


「おい…」


ライラを含め、話を聞いていた奴隷五人に緊張が走る。ナーシャは表情を強張らせ、エルフ三人は不安そうに周囲を見回している。


「冗談に御座います。」


シレッと言う。


「え?」


「既にご主人様が辺りに結界を張っておられます。賊はおろか宮廷魔導師が百人掛かりでも探知すら出来ないでしょう。侵入など神でも不可能に御座います。」


「結界って…そんな事も出来るのかい。」


「ご主人様ですから。」


「ハァ…もうそれだけで納得しちまいそうだよ…。」


一瞬で奴隷達の怪我を治し、竜人シーダの主人で、見たこともない魔法の使い手。自分は何と恐ろしい存在に手を出してしまったのだろう。


「それよりもライラさん、お体は念入りに手入れなさるのをお勧め致します。」


「はぁ?何でさ?」


「恐らく、今夜のご主人様のお相手はライラさんでしょうから。」


「ぬぁ!?」


先程晒した恥態と以前のお仕置きを思い起こして身震いする。彼女は盗賊時代にレオンに返り討ちに合っている。命は取られ無かったものの、手痛いしっぺ返しをくらったのだ。主に下半身に。


「それも冗談じゃないのかい?あんたやシーダの姉さんが居るんだ。」


自分にお鉢が回る訳がない。と、タカを括る。


「いいえ、ライラさんは十分にご主人様の嗜好に当てはまっておられます。ご自分でも分かっていらっしゃるでしょう?」


「そりゃねぇ…。」


でなければ自分がこんな仕打ちを受ける筈もない。唇も貞操も奪われ済みだ。ついさっきもセクハラを敢行されたばかりである。


「というか、アイツに嗜好なんてあるのかい!?女なら誰でも良いんだろ!?」


「それは失礼で御座います。確かに目を掛けた女性には見境なしですが、不細工と人外と男性には目もくれません。」


そう。レオンは女なら誰でも良いのではなく、美女なら誰でも良いのだ。この違いは同じなようで大きく違う。恐らく本作読者のお歴々も同様の筈だ。そうだろ?ん?ウゼェって言うな!


「ライラさんの様に美しい女性なら十分に奮い立たれるかと。」


「あんたが言うと、厭味に聞こえちまうよ…。」


わずかに視線を逸らし盗み見る。

メイドの肌は雪の様に白くきめ細やか。上質な生地を思わせる質感は触るとさぞ滑らかだろう。今はお湯に浸かっている為、ほんのりと赤みを帯びていて、より一段と艶っぽさを醸し出していた。

頭部も小さく、胴体との差は黄金比と言って良い。極め付けは顔の造型。整った目鼻は言わずもがな。手入れも行き届いていて非の打ち所が無い。

普段無表情な事が多い彼女だが、目を潤ませ相手を見上げれば、大抵の男が胸をときめかせるのは間違い無い。


まさに男の理想を具現化した様な存在。に、ライラは思えた。


「あの、ライラさん…?もしや、そちらのご趣味をお持ちでしょうか?」


「へ?」


ライラの視線に気付いたリディは、彼女が女性に興味を示すタイプなのではと思い至る。

意図を察したライラは慌てて首を横に振った。


「ち、違う!あたしは普通だよ!そっちの趣味は無いって!」


「そうですか。ですが、もしお試しに成りたいときにはお声掛け下さい。拙いですが、多少の心得は御座いますので。」


「あ、主が主なら従者も従者だね!」


「最高の褒め言葉で御座います。」


リディにはレオンに相応しいと聞こえた様だ。メイドは慇懃かつ優雅に頭を垂れるのだった。



お待ちかねの深夜、レオン一行はそれぞれ思い思いの寝床で休息を取っている。辺りはシンと静まり返っており、聞こえてくるのは誰かの寝息と子守唄代わりの虫の声。


「フフッ、標的ライラ。レオンイキま~す!」


静寂を邪魔しない程度に気張った声を上げるレオン。彼は寝ている従者達の隙間を縫うように進んでいく。匍匐前進という、無駄に隠密性の高い動きで。


「ムフフ、標的発見!直ちに合体を行う!」


一体コイツは誰に報告しているのか?真意は宇宙の果てだが、兎も角相手を探し当てた彼はシーツを捲り、意気揚々と中へ潜り込んでいく。


「むっ!?」


不意に抵抗を受ける。見れば腰の辺りを二本の足が突っ張り、行く手を阻んでいた。


「これはどういう事だ。我が無敵艦隊を通さぬとは!?」


「やっぱり来たね。」


閉じていたライラの瞼が開く。どうやら無敵艦隊の航路は敵に察知されていたらしい。しかし我らが艦長に動揺は見られない。彼は毅然とした態度で敵を迎え撃つ所存だ。


「おう、来たぞ。…ヤリに。」


「ハァ~本ッ当に分かりやすい男だね。」


「ちゃんと可愛がってやるから安心しろよ~」


「まぁ、買われた以上、あたしはアンタの女だし?いいんだけどさ…」


ちなみにこの会話間にも二人の攻防は続いている。体を押し込もうとするレオンとそれを足で押し返すライラ。


「約束は守って貰うよ?」


「約束?何だったっけ?」


「アンタの女になる代わりに奴隷から抜けられるってやつ!」


声を荒げるライラ。彼女にとって奴隷か否かは今後の人生に大きく関わって来る大問題だ。レオンの惚けた態度が彼女には約束をうやむやにしようとしている様に映った。


「ああ、そんな事言ってたっけ?それじゃホイッ!」


懐から取り出した契約書。ライラが奴隷である事を示す書類だ。それがレオンの手の中で燃え上がり、瞬く間に消し炭と化す。


「あ、あんた…」


「これでライラは奴隷じゃなくて俺の女な?」


「あたしが逃げるとは思わないのかい!?」


「逃げるの?」


「い、いや…逃げないけどさ…。」


それも選択肢の一つだが、正直に言う程ライラも馬鹿ではない。だが、まさかその場で契約書を破棄するとは想像していなかった。てっきり何のかんのと理由を付けては、抱くまで…いや、抱いた後にも契約を続けるものと思っていたのだ。


「でも、これであたしは一般人だよね。あんたを拒むのも自由な訳だ。」


「えー拒むの?」


不満そうに唇を尖らせるレオンを見て、ライラの良心が痛む。実際にレオンは約束を守って見せたのだ。これで拒めばライラの方が約束を破った事になる。


「拒んだら…どうするんだい?」


「口説くに決まってるだろー。」


「へぇ…最初は無理矢理だった癖に。」


「アレはお仕置きだからカウントされませーん。」


「そりゃ、襲ったこっちに非があるのは確かだけどね。」


やや困った風で頬を掻く。このままレオンに抱かれるのも悪くは無いと思えてきた。考えてみれば盗賊として襲った際も命は取らず、奴隷の身分から抜け出せたのも彼のお陰なのだ。


「良いよ。その代わり前みたいなのじゃなくて、ちゃんと優しくしなよ?」


「もちろん!あ、でも後で物足りないとか言うなよ?」


「フッ、そりゃあんた次第だよ…」


レオンの進行を阻んでいた足が下ろされ、閉じていた太股が力を緩める。好機と見た無敵艦隊は素早くその隙間に腰を割り込ませるのだった。


「主砲!構えい!」


「さっきから何だいそりゃ?」


無敵艦隊が何発で敵を撃沈せしめたか。それは二人にしか分からない…





お久しぶりです。エタってる間も感想を下さった方々、ありがとう御座います。PC故障、触手…じゃない、職種変えなどを乗り越えて更新に至りました。これからもご贔屓に。

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