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第十三話 家を買いましょうご主人様

目標にしていたお気に入り件数100件を超えました!


こんなおバカ小説にお付き合い頂き、ありがとうでゴワス。

「ただいまー!」


「お帰りなさいませご主人様。」


「良く帰ったな主殿。」


無事依頼を達成したレオンは、従者の待つ宿屋に直行した。部屋に入ると笑顔で自分を迎える二人を抱き締める。


「くはっ!久しぶりの二人の香り…堪らんっ!」


リディの首筋、シーダの胸の谷間で目一杯息を吸うレオン。甘く、男を奮い立たせる女の香りだ。


「ご苦労様ですご主人様。」


「ふふっ、存分に甘えて良いのだぞ。」


従者二人も愛しい主人の頭を撫でながら愛情たっぷりに労う。


「リディ、シーダ寂しくなかったか?」


「もちろんです。私も寂しゅう御座いました。夜はご主人様を想い、一人慰めるくらいに。」


「ククッ…途中からは二人でだがな。」


「何ぃ!二人でだとぉ!」


レオン不在の間に従者の仲は良好に進展していたらしい。シーダの発言を肯定するようにリディが頬を赤く染めている。


「よーし!今夜はその辺りもたっぷり聞かせて貰うぞ!」


美女二人が絡み合うのを想像して、レオンのテンションは最高潮だ。


「その前にご主人様、依頼の方は?」


「当然達成したさ。明日にはランクアップするってよ。」


「それはおめでとう御座います。」


ランクアップには成功したようだ。これは最大限に主の労をねぎらわなければなるまい。


「さあ、ご主人様。服をお脱ぎ下さい。まだ陽は高いですが…今日は特別です。。」


「うむ。我も主殿の姿を見た途端に身体が疼き始めてしまった。」


「うひょー!ランクアップ最高!」


レオンは従者達と共にベッドへと飛び込む。今夜は熱い夜になりそうだ。




レオンが従者との再会に燃えている頃、ギルドに帰還したミリアナは上司に監視結果を報告していた。


「つまりレオン殿に不正は無く、実力にも問題は無いのだな?」


「はい。キングスケルトンを三体同時に相手取る力には、正直感服しました。直ぐにでもAランク…いずれはSランクになれる方かと思います。」


「うむ、しかしあれほど毛嫌いしていた割には高評価だな。」


「仕事に私情は挟みません。ありのままを報告しました。」


「そうか。」


この部下が言うのならそうなのだろう。実際、彼女は今までも信用に足るだけの成果を収めてきている。


「やれやれ、結局は我らが勘ぐり過ぎただけだったか。ミリアナ、旅で疲れただろう。今日のところは帰ってゆっくり休め。」


「はい。ありがとう御座います。」


ギルド長に一礼するとミリアナは執務室を出る。


「ハァ…」


仕事モードを解いたミリアナは、深く溜め息を吐く。思い返しているのは、レオンとの別れ際のキス。街の入り口近くで抱き寄せられ、濃厚な口付けを交わしたのだ。


そしていつでも抱かれに来いと囁かれた。


「もう…あんな事されたら、忘れられないじゃないですか。」


その日から三日と置かず、レオンの元を訪ねるミリアナであった。





レオンが無事にAランク冒険者となってから約一週間が立つ。


朝、リディが目覚めると、部屋には自分の他に主のレオンとシーダ。そして最近通い妻のように訪ねてくるミリアナの四人が居た。


全員が裸のまま、レオンに身を寄せて寝息を立てている。


「さすがに狭くなってきましたね。」


今ベッドに乗っているのは四人。レオンを挟んで左右にリディとシーダ。レオンの胸の上にはミリアナという状態。明らかに店員オーバーだ。


室内も狭い為、部屋には昨晩の行為の残り香が籠もっている。


「ミリアナさん、ミリアナさん。」


「んん…何ですかぁ?」


「私どもは良いのですが、ミリアナさんはそろそろギルドへ行かなければならないのでは?」


「あっ!そうでした!」


ミリアナは跳ね起きると、バタバタと急いで支度をする。準備が済むと寝ているレオンに口付けして部屋を出て行った。


「では、私もご主人様を起こさねば…」


ゴソゴソ


リディはレオンの下に潜り込むと、夜に可愛がって貰った場所から起床を促す。


「ほう、中々面白い事をしておるなリディ。」


ミリアナの騒動で目を覚ましたシーダが興味深そうに覗き込む。


「ご主人様はこの目覚めが大変気に入っておいでですので。」


「成る程……ならば我も混ぜて貰おう。」


「ええ。ではご一緒に…んっ…」


「朝であるぞ主殿…んん…」





「家を買いましょうご主人様。」


三人が少し遅めの朝食を終えたところでリディが口を開いた。


「家かぁ。土地だけ有れば前の家を置けるぞ?」


ベルナから発つ際に住んでいた土地は売却したが、家はそっくりそのままレオンの能力で収納してある。


彼らは知らないが、近所の人間は一夜で家が消えていたので不思議そうに首を傾げていた。


「いいえ、あの家では今後手狭になるかもしれません。次はもっと大きい…お屋敷に致しましょう。ご主人様に見合う立派なお屋敷に。」


「屋敷?そんなにデカいのは要らなくないかぁ?あの家でも十分快適だぞ。」


レオンはリディの提案に賛同出来ずにいる。資金の心配は無い。だが住むのは今居る三人だけだ。平屋でも十分事足りる。ミリアナの様子からしていずれは四人になるかもしれないが。


「ですがご主人様、良くお考え下さい。今後も囲う女性が増えればあの家では入りきれません。」


「むむっ!?」


「しかし、買った屋敷に住まわせれば、夜は選り取り見取り…。自室に招くも良し。自ら訪ねるも良しで御座います。それとも…もう女性に手を出すのは自重なさいますか?」


「良し。買うぞ屋敷。」


自重は有り得ないようだ。


「フフッ、我は主殿の側なら何処であろうと快適だぞ?」


話を聞いていたシーダがしれっとノロケる。


「嬉しい事言ってくれるな。シーダにはご褒美だ。」


「んふふ…チュッ…」


レオンのキスの雨を唇や頬、首筋に受けて嬉しそうにシーダは微笑んだ。





早速三人は商業地区に向かい、土地管理を担当している商会を訪ねた。


「うーん…何処も一長一短ですね。」


紹介された中古物件の書類と睨めっこしているリディ。いざ買うとなればレオンやシーダも、いくつか希望を出してきた。当然リディにも希望はあるが、全員の希望を叶えるような物件は少ない。


「では西地区の物件は如何でしょう?貴族街にも近く、治安も良好です。」


商人が更に別の候補を用意してきた。お陰で選択肢が増えてしまい、悩みは更に深まっていく。


そんな書類を検討するリディとは逆に、飽きてしまったレオンはシーダを膝に乗せてイチャイチャと戯れていた。


「ぁん…主殿、そこは宿へ帰ってからだ。」


「ヌフフ、じゃあこっちは良いのか?」


ムニュ…


「ん…ふぅ…そ、そこなら…多少は…ぁっ!」


かなりギリギリなコミュニケーションで、女性職員は顔を赤くし男性職員は何故か前屈みだった。





リディの裁量で幾つかに候補を絞ると、職員の案内で実物を見に行くことに。


一軒目は内装は豪華だったが、部屋数が少なく庭が小さかった。庭はシーダの希望で竜化に必要な広い場所が欲しかったそうだ。


二軒目はレオンの希望にそぐわなかった。寝室が狭かったのだ。キングサイズの倍のベッドを置くつもりだったらしい。


三軒目は間取りには問題なかったが、少々古すぎた。半分廃墟で補修が必要だ。これは主に相応しくないとリディにより却下された。


三軒回ったところで夕刻となり、結局この日は購入には至らなかった。




宿屋に帰るとギルドの仕事を終えたミリアナが合流。彼女は事情を聞いて憤慨した。


「そんな大事なことなら私にも相談して下さいよ!」


「何で?」


「な、何でって……住む場所なら私だって希望があるんですから。」


「え?住むのか?」


「駄目なんですか…」


レオンの言葉に疎外感を感じたらしく、ミリアナが瞳を潤ませる。本当は単にからかっただけだ。レオンはミリアナを抱き寄せて機嫌を取る。


「ふふ…冗談だって。ミリアナも一緒に住むに決まってるだろ。」


「本当ですか!?」


パァッとミリアナの表情が華やぐ。


「それなら私に任せて下さい!伊達にギルドで働いてませんから。コネを最大限に活用して、全員が満足する家を見付けてみせます!」


「おおっ!?頼もしいなミリアナ。」


「どうか宜しくお願いします。素人の私では判断に困ることばかりでしたので。」


「ほう…大風呂敷を広げるではないか。これは期待出来そうだな。」


胸を張るミリアナに全員の期待が寄せられる。レオンに関しては裏目に出る事が多かったが、本来の彼女は出来る女。ギルド屈指の才女なのだ。


「頑張れよミリアナ。良いとこ見付けたらご褒美をやるぞ。」


「ご褒美ですか?」


「あ、でも不良物件だったらお仕置きな。」


「お仕置きもあるんですか!?」


「大丈夫。どっちも気持ち良いからミリアナに損は無いよ。」


「ゴクッ…ちなみに内容は聞いても?」


ボソボソと耳打ちするレオン。ミリアナはご褒美の内容には頬を赤く、お仕置きの内容には顔を青くする。


「レ、レオンさん…お仕置きは、もう少しソフトになりませんか?」


「十分ソフトなつもりなんだけど。」


「参考までにハードな方も教えて貰えます?」


「ハードは…」


ゴニョゴニョゴニョ…


「バ、バレたら社会的に死にますよそれ!!」




ミリアナがヒロイン枠に追加。


彼女が扱いやすい訳が分かりました。今までツッコミ役が不在だったからですね。

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