第十二話 キングスケルトン&スライム
ネタをくれた皆さんありがとう御座います
「ハァ~良い湯だ。なあミリアナ?」
「そうですね…」
レオンとミリアナはお湯の中に居た。レオンが取り出したバスタブで二人仲良く入浴中だ。風呂は一人用と狭いので、自然と寄り添うような体勢になる。
一緒に入浴。
これが監視をしていたミリアナとギルドを許す為にレオンが出した条件である。
「何で…こんな事に…」
お湯の中で寛ぐレオンに対してミリアナは緊張で身体を硬くしている。娼館ではレオンが娼婦と散々交合っているのを見てきただけに、いつ手を出されるかと戦々恐々だ。
「ふぃー!身体の疲れが取れるってもんだ。」
浴槽で大きく伸びをするレオン。狭い風呂でそんな事をすれば当然、二人の密着度は増す。
「さ、触らないで下さい!」
「お?ミリアナ肌スベスベ。」
「私はあの娼婦達とは違うんですよ!」
「あ、やっぱり覗いてたのはミリアナだったのか?」
「あうっ…」
思わず口を滑らし後悔するが、もう遅い。
「酷いなぁ。ギルドって、冒険者の私生活まで監視するのか…」
「どうか内密に…」
「いいよ。これで相子だし。」
「あ、相子?」
「うん。だって、この風呂媚薬入りだし。」
「んなっ!?」
そういえば妙に身体が熱い気がする。湯の温度はぬるめなのでのぼせた訳では無い。つまりはそういう事だ。
「卑怯です!こ、こんな…はふぅ…」
慌てて風呂から出ようとして失敗する。もう脚にまで来ているようだ。転んだ先はレオンの胸の中。結果、抱き合うような格好になる。
「意外に積極的なんだな。」
「馬鹿を言わないで…くださぃ…」
強がるミリアナだが、既に瞳が熱っぽく潤み、呼吸も荒い。思考もぼやけてきていた。
「ほぉら…段々欲しくなってきたろ?」
「違い…ます…」
耳元で囁くレオンの声に、なけなしの理性で抗う。
「嘘はいけないなぁ。本当は覗きながら自分も加わりたかったんだろ?」
「…違う…違いますぅ…」
「嘘吐きにはお仕置きが必要だな。」
「んうっ!んむ…ちゅ…んっ…」
レオンがミリアナを抱き寄せ唇を奪う。
それがトドメの一撃となり、ミリアナの理性は決壊した。
「どうして欲しい?」
「抱いて…ください…」
「フフッ、良い娘だな。」
ミリアナを抱き上げ、風呂から出るとベッド直行するレオン。
「そんじゃ頂きまーす!」
レオンは覗き魔に制裁を加える事に性交…いや、成功したのだった。
翌朝の昼まで、ミリアナはレオンとベッドの上に居た。徹夜の影響か、こんな時間まで寝過ごしていたのだ。
「酷すぎます…媚薬なんて…。」
拗ねるような口調で呟くミリアナだが、存外気分は悪くなかった。媚薬で思考は鈍っていたが、何度も登りつめたのは覚えている。経験が無い訳ではないのだが、あれほどの快感は未体験だった。
「その割には自分からもっともっとって、おねだりしてただろ?」
「び、媚薬のせいです。」
「それじゃ今度は素面で試してみるか?同じくらい乱れさせてやるよ。」
調子に乗るな!と以前のミリアナなら罵詈雑言まくし立てたかもしれない。だが今のミリアナは知ってしまっている。
レオンから与えられる快感を。突き上げてくる熱い奔流を。全身を包み込む温もりを。
「…良いでしょう。媚薬も抜けた今なら私も負けません。」
「フフッ、なら勝負だ!」
レオンの影がミリアナの上に重なる。
「ぁんっ…くふぅ……」
ミリアナは絶対に敵わぬ勝負に身を投じる。しかし彼女の口から洩れるのは、気だるく、艶めかしい、悦びに満ちた声だけだ。何故ならミリアナにとっては勝敗より行為そのものが大切なのだから。
キングスケルトンの発生したという廃坑に到着したレオンとその監視役。ここに来るまでの間、二人は互いの身体を隅々まで監視し合いながらここまで来た。
「気を付けて下さいねレオンさん。中は暗くて視界は良くないでしょうから。」
「分かってるさ。けどそんな助言して良いのか?一応、俺の実力を見極めないといけないんだろ?」
「問題有りません。実際に戦うのはレオンさんなんですから。私は離れた場所から見届けさせて貰います。」
ちゃんと仕事は全うするつもりらしい。
「はいはい。それじゃサクっと終わらせますかね。」
廃坑に入るレオンと、少し距離を取って後に続くミリアナ。
中は奥に行くほど暗く、ジメッとしていて湿度が高い。水滴が落ちる音も聞こえる。進むほど地面も濡れていく。もしかしたら地下水を掘り当てて落盤したのかもしれない。
「居たな。」
発見したキングスケルトンは三体。数の多さからみて、かなりの数の人間がこの場で死を遂げたようだ。
キングスケルトンは身体を構成する骨をカタカタと鳴らしレオンを威嚇する。
「お?一丁前に武器構えてやがる。」
身構えるキングスケルトン達は廃坑に打ち捨てられたツルハシ等で武装していた。彼らは生前の知識を僅かに併せ持ち活用する。これが討伐難易度を上げている要因である。
「どうするつもりですかね?」
ミリアナはレオンがどんな戦法で戦うのか遠巻きに見守っている。先ずは相手の数の利を崩す為に、狭い場所へおびき寄せるのが得策なのだが。
「早く帰ってリディやシーダとイチャイチャしたいからな!小細工は抜きだ!」
長剣を抜き挑みかかるレオン。
「馬鹿ですか!三体も居るんですよ!」
無謀過ぎる行動に見えたが、レオンは敵の攻撃を巧みにかわしつつ、手にした長剣でキングスケルトンの骨を砕き斬っていく。他の二体もレオンに襲い掛かるが、攻撃は一つも当たらない。
「う、後ろに目があるのかしら?」
視界の外からの攻撃さえも避けているレオン。同時に反撃を加え、キングスケルトンは瞬く間に体を構成する骨を減らしていった。
「凄い…」
一体、二体とキングスケルトンが動かなくなっていく。ミリアナはレオンが放つ斬撃が自分を襲ったらと仮定するが…駄目だ。初撃で切り捨てられるところしか浮かばない。
知らず知らずの内にレオンの戦いに見入ってしまう。しかしそのせいで背後から忍び寄る影に気付けなかった。
「はい、ラストォ!」
三体目のキングスケルトンを撃破したレオンが長剣を仕舞う。
もう周囲に敵は居ないようだ。
「キャアアアアアアア!」
「ん?」
キングスケルトンを倒し終え、やっと仕事が片付いたと思った矢先、後方でミリアナの悲鳴が聞こえてきた。レオンは直ぐに彼女の元へと戻った。
「あれ?これはこれは…」
レオンが見たのは人間の背丈程有る大きなスライムだった。ミリアナはそのスライムに下半身を取り込まれもがいている。
「た、助けて下さいレオンさん!」
なんとか抜け出そうとするミリアナだが、スライムの体は底なし沼のように、足掻けば足掻く程体内に取り込まれていく。
「どうしようかなぁ?もう俺、依頼は達成したし。このまま帰ればランクアップ出来るからなー。それにスライムは対象外だしー。」
「そんなぁ!?」
「ほらほら。早くしないと全身取り込まれちゃうぞ。」
「いやぁ~!助けてぇ…」
胸元まで取り込まれ半泣きのミリアナ。
スライムの捕食方法は結構残酷だ。体内に取り込んた獲物を窒息させて、徐々に養分を吸収する。しかも体色が透明なため、消化されていく過程が丸見えでグロテスクこの上ない。
「お願いですっ!お口でしてあげますからぁ!」
「うーん、もう一声!」
「おっぱい好きなだけこね回して良いですからぁ!」
「まだまだイケる!」
「私の○×△を思う存分△×○ですからぁ!」
「よっしゃ!任せろ!」
レオンはミリアナの腕を掴みスライムから引きずり出す。
「ついでに片付けとくか。」
レオンはスライムに手をかざし発火させる。体の組織が殆ど水分なスライムは溶けるように絶命した。
「ハァ…ハァ…死ぬかと思った…」
助け出されたミリアナは、地面に伏したまま息を荒げる。
「大丈夫か?」
「酷いですよ!もっと早く助けて下さい!」
レオンに食ってかかるミリアナだったが、そこでアクシデントが起こる。立ち上がった彼女の服がボロボロと剥がれ落ちたのだ。
「キャアッ!何でぇ!」
ポロリと零れ落ちた果実を隠しながら慌てふためく。
どうやら襲って来たスライムは、種の中でも酸性の強いアシッドスライムだったようだ。
スライムに漬かったミリアナの服は身動きする度に綻び、彼女の肢体を隠すものはついに無くなってしまった。
「あーあ、丸裸だなぁ。どうするミリアナ?」
「ふ、服を下さい!」
「どうしよっかなぁ。」
ニヤニヤしながら、座り込んだミリアナの肉体をじっくりと凝視する。
「散々見たじゃないですか!」
「いや、こういうアクシデントで見るとまた違った味わいが有るもんだよ。」
「うう…」
恨みがましく睨むミリアナに苦笑しつつ、レオンは女物の服を取り出す。
「ほら。」
「ありがとう…って、これ踊り子の衣装じゃないですか!」
レオンが用意したのは以前酒場でお手合わせした踊り子から拝借した衣装だった。
上は乳房だけを隠すカップのみで他は紐。下はレースで出来た布のヒラヒラが幾つも垂れ下がっっている。動き次第では中身が見えてしまいそうだ。
「要らない?あっそう。」
不服を申し立てるミリアナから服を回収すると、レオンは素っ気なく踵を返す。
「その格好だと途中で山賊あたりに犯されそうだけど…まぁ、頑張ってね~。」
「ま、待って下さいーっ!」
結局は懇願して踊り子衣装を身に付けるミリアナだった。
「あ、衣装代は一枚一発だから宜しく。」
「ええー!?」
「ムフフ、今夜は朝まで俺の上で踊って貰うよ踊り子さん。」
「か、身体が保ちませんよ!」
「それとスライムからの救出代は別料金だからあしからず。」
「壊れちゃいますよぉ!」
「そんな事言って、ちょっと期待したろ?」
「……少しだけ。」
「それじゃ早速…」
「せめて場所を変えて下さい!」
その日、廃坑内にミリアナの嬌声がこだました。
なんで服だけ溶けるのかって?
ファンタジーだからさ(キリッ)!




