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第十話 ランクアップの条件

シナリオに詰まった。今後がノープランじゃーい!

ベルナを出て二十日後、王都カルディナに到着。予定より4日も掛かったが、それらは全てレオンの道草が原因である。ちなみに残念だが既に従者達は服を着ている。到着前日に懇願され渋々返却したのだ。


早速色街へと繰り出そうとするレオンだったが、リディに引きずられる形でギルドへ。


やはり王都というだけあってギルドも規模が違う。建物はちょっとした館並みの大きさで中も広く、受付のカウンターは複数有る。


レオンがラルゴからの推薦状を職員に手渡すと、ややあって別室へと招かれた。

中に入るとギルド長とその秘書である女性がレオン達を迎える。


互いに簡単な自己紹介を済ませると、直ぐにギルド長が事実確認に入った。


「推薦状にはレオン殿がDランクでありながら、シーダ様に勝利されたとあるのですが事実でしょうか?」


「事実だ。勝負は我の敗北。ベルナのギルド長ラルゴが証人よ。」


レオンを先んじてシーダが肯定する。負けた本人の証言だ。これ以上の証拠はない。しかもシーダは竜族の族長でもあり、その発言力はギルドも無視出来ない程大きい。


「成る程…シーダ様ご自身が証言なさるのであれば確かでしょう。」


「うむ。」


「ふぅん、やっぱり偉かったんだなシーダ。」


「フフッ、当然よ。」


感心するレオンと誇らしげなシーダ。何故戦った二人がこれほど仲が良いのかとギルド長は首を捻る。


「ですが、私どもとしましては、実績の無いレオン殿のランクを直ぐに引き上げる訳にはいかないのです。」


「ふむ…体面上、目に見える成果が欲しいというのだな?」


「ご推察通りで御座います。どうでしょう。ここは一つレオン殿に仕事をこなして頂き、その結果如何でランクを決定するというのは?」


概ね予想通りの展開だ。後は依頼さえこなせば、これでようやく目的は達せられる。シーダと後ろに控えるリディは安堵した。


「えー!また仕事かよ!もう面倒だからDランクで良いよ。」


不満を漏らしたのはレオン。ぶち壊しである。


「…ご主人様?」


ゴゴゴゴ…


そっとレオンの肩に手を置くリディ。非力な女性である彼女の手が、レオンには非常に重くのし掛かる。圧倒的な威圧感は、暗に自分達の努力を無駄にする気かと物語っている。


「い、いやぁ…まあ、仕事は大事だね。うん。受けるよ依頼。アハハハハ…」


背中にプレッシャーを受けてやっと空気を読むレオン。


「で、では…依頼内容を検討致しますので、また明日お越しください。」




レオン一行が部屋去り、二人きりとなるとギルド長が秘書に尋ねる。


「どうだミリアナ。あの男、本当にシーダ様に敵うと思うか?」


「私にはただの凡人に見えます。態度も軽薄でとても実力者とは思えません。それに私を見る目も好色で、優れた人物とはお世辞にも言えないでしょう。」


真面目な性格の秘書、ミリアナにとって、レオンの第一印象は最悪なようだ。


「しかしシーダ様ご自身も認めておられる。」


「あの方も女性です。顔だけは良いようですので、上手く取り入ったのでしょう。」


「ふむ…」


ミリアナの意見も分からないでは無い。


気に入った男に泊を付ける為、ギルドランクを上げようとしているのだとすれば辻褄は合う。


だが相手はシーダだ。精強で、苛烈且つしたたか。王族でさえ気を使うと言われている彼女が、二十代の若造に付け込まれたりするだろうか?


他にも疑問がある。誇り高い竜族が自分から負けたと宣言している事だ。誇り高いからこそ潔く負けを認めたとも言えるが、ギルドへ同行してランクアップにまで協力するとはやり過ぎだ。脅迫か?それとも本当にミリアナの言う通り誑し込まれたのか?


考えれば考える程、レオンという男の実像が遠退いていく気がする。


「ミリアナ、暫くあの男の動向を探ってくれ。」


「注意する程の人物とは思えませんが?」


「彼自身はそうかもしれん。だが、シーダ様の事もある。あの方が誑し込まれるとは思えんが、脅迫されているのだとしたら問題だ。それに本当にDランク程度の実力ならば直ぐに化けの皮が剥がれるだろう。」


ギルド長は依頼を、レオン単独で行うように求めるつもりだ。シーダを当てにして居るのだとすれば、言い渡した時点で怖気づくだろうし、請けたとしても確実に失敗する。どちらに転んでもレオンの実力がD程度ならその目論見は破綻するという事だ。


「分かりました。」


上司の意を汲み取ったミリアナは、即座にレオンの尾行を開始するのだった。





ミリアナがレオン一行に追い付くと、彼らは何やら話し込んでいた。感覚鋭敏なシーダが側に居る為、会話が聞こえる程は近付けない。ミリアナは悟られぬよう、人波に紛れながら遠巻きに三人を監視する。


そんな見張られているとは知らないレオン達の会話だが…


「まさか仕事するなんて聞いてなかったなー。」


「申し訳有りませんご主人様。つい言いそびれてしまいました。」


拗ねるレオンに慇懃に答えるリディ。本当は依頼があると知ったら来てくれないだろうと黙っていた。


「その代わりといってはナンですが、今宵は思う存分に色町で英気を養ってください。私とシーダ様は余所で宿を取りにますので、心ゆくまでお楽しみを。」


「マジで!?おっしゃー!!」


道を往来する人がギョッとするような歓声を上げる。声がミリアナにまで届いた程だ。


その後従者と別れるレオンを見て、しめたとばかりに距離を詰めるミリアナ。


行き着いた先は当然…


「娼館…ですか。」


街で聞き込み、王都でも有数の高級娼館へとレオンは消えて行った。


「いや、まだ油断は出来ませんね。」


日も落ちていないこんな時間から娼婦とねんごろかと一旦は呆れるが、ここは貴族や裕福な商人御用達の娼館だ。もしやここで密談が行われているかもしれない。だとすれば相手は貴族か。大いなる陰謀を感じたミリアナは、監視を続行するのだった。




ミリアナは軽々と娼館の壁をよじ登り、窓からレオンの居場所を探す。こんな事は一般人の、まして女性には不可能であろう。だが、元々国の諜報部に務めていたミリアナにとっては朝飯前である。


娼婦希望として忍び込む事も考えたが、客を取らされては堪らない。それにあの男にそこまでする必要も感じなかった。後になってそれが油断であると後悔する事になるのだが。


「ここかしら…うっ!」


覗き込んだ部屋の中にレオンは居なかった。居たのは肥え太った中年の男性。余りに余った脂肪を揺らしながら汗だくで娼婦相手に腰を振っていた。しかも結合部をモロに見てしまい、彼女は不快な光景に眉をひそめる。


こんな思いをするとはこれも全部あの男のせいだ。半ば当て擦りのような思いを抱きつつレオンを探す。


屋根を伝って移動中、娼館の一室が騒がしくなる。まさか気付かれたのかと警戒する。が、どうやら違うらしい。多数の重なる黄色い声。娼婦達のようだ。そっとその場所を覗き込むと…居た。あの男だ。


「一体何人買ったんですか…。」


驚く事に室内には多数の娼婦。それも高級娼館ならではの美女達が、レオンの周囲を取り囲んで居たのだ。


「レオン様ぁ!最初は私から!」


「馬鹿ね!最初は私よ!」


「うはははははっ!喧嘩しないでも全員可愛がってやるよ!」


女体の海を満面の笑みで泳ぐレオン。さっそく獲物を捕捉すると、最初の一人と合体し始めた。


「なんて破廉恥な男っ…!」


乱れ狂う男女を見つめながら、吐き捨てるように呟く。


「いや…これはまさか…」


ミリアナは一つの可能性を見出す。もしやこれは接待なのでは?と。レオンを裏で操る黒幕が、好色なあの男を操る為の餌なのかもしれない。だとすればいつか黒幕が現れる筈だ!そいつを確認するまでは離れる訳にはいかない!


存在しない黒幕を待ち続けるミリアナの視線の先では、描写すると削除の憂き目に合うような淫蕩で淫靡で卑猥な男のドリームが繰り広げられていた。


「しかし…立派なモノをお持ちですね…。」


一時間後


「まさか続けて!?」


更に一時間後


「あんなに乱れて…ゴクリ…」


更に更に一時間後


「あの量……有り得ません…」


―割愛―


夜明け前


「黒幕は…まだですか…」


傍から見れば単なるデバガメだが、彼女は大真面目だ!ソコ、笑わない。




出来る女、ミリアナの受難は続くw

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