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宇宙の騎士の物語:個人の前歴;停止中  作者: 荻原早稀
レイ・ヴァン・ネイエヴェール
11/28

11. オス襲撃事件・狙撃

『賊の侵攻部隊はこれで全部叩けたぜ』

 バイダルの黒いギアが、地面近くまで自由落下してからロケットを一つ噴射し、衝撃を和らげつつ着地した。

『軌道上の連中はどうする』

 レイは遥か彼方、バイダルから四〇キロも離れた場所にいる。海賊団の地上戦力をすべて破壊した直後、二機はお互いが戦闘を開始した地点に戻っていた。

 そこには、はじめの狙撃で使用したレールガンが横たえられている。

『当初の予定通りだよ』

 レイは、妨害がなくなって明瞭に聞こえる無線通信で短く返答した。

 二人のギアは、他のギアと基本構造に違いはない。もとは歩兵のパワードスーツだから、人間の四肢に装甲や武装、補器を次々に足していった結果現在の形になった。ということは、人間の動きをトレースするようにできているのだから、操縦は搭乗者である旗士が自身の体を動かすことで行う。

 これまでの戦いは、システムの助けを受けながら、レイやバイダルが自身の手足を動かして行っている。

 システムの運用には視線を使うのが一般的で、かぶっているヘルメットのゴーグルに内蔵された各種センサーが搭乗者の視線や思考をトレースし、読み取る。

 使いこなすには訓練が必要だが、操作自体に難しさはない。ただ、機体状況や周囲の状況、戦術支援のデータなど、文字や図形で表示されてくる情報量が凄まじいので、その洪水に流されないようにしなければならない。

『了解』

 お互いの姿は見えていないし、見る気もないが、バイダルはレイの指示に従い「当初の予定」どおり動き始めた。

 地上部隊を撃退したら、次に考えるべきは軌道上の敵からの攻撃だった。どう動くかの予測は難しいが、黙って引き上げるという可能性は考えにくいだろう。一方で残りの戦力を地上に再派することも考えにくい。

 レイたちを倒すというより、周辺を破壊するために、特に分捕れなかった生物化石を施設ごと破壊するために衛星軌道上から砲撃を加えてくることは十分考えられる。

 悔し紛れとも八つ当たりとも取れる攻撃だが、そのような行動を非合法の武装集団が取りがちなことは歴史が証明している。

 二人が緒戦で狙撃を行った地点には、レールガンのほかにコンテナが置かれ、レールガンと数本のケーブルでつながれている。コンテナは、二人のギアの交換用エンジンユニットや発充電用のジェネレータやバッテリーのデバイスも入っている。レールガンはそこからのエネルギー供給を受け続けていて、今すぐ使えるように準備されていた。

 はじめから、ここに戻ってレールガンを最大出力で使う計画だったということだ。

 海賊団は地上の状況すべてを把握できてはいないだろうが、妨害がなくなって少し経てば、自軍の兵力が消滅してしまったことに気付くだろう。気付けば、撃ってくる。

 二人ともそんなことはわかっていたから、あらかじめ準備していた。

 どこまでも強く、どこまでも冷静だった。

 さっさとレールガンにとりつくと、その長大な砲身を上空に据え、ギアの機体をあらかじめ準備していた支承に接合させた。支承は、この場合、上空に向かって砲口を向けたギアの背中に接続し、その上体を支えるつっかえ棒と思えばいい。

 高度ごとに異なる方向に吹く風、大気密度の揺らぎ、湿度の変化、恒星風の影響、惑星自転に伴うコリオリ力など、射線に悪影響を与える要素には事欠かないのが大気圏内の狙撃である。まして大気圏外への狙撃となればその要素はさらに増悪する。

 その要素をできる限り洗い出し、可能な限り観測し、高度な演算で補正したうえで発射するためのシステムは、当然ながら日進月歩で開発され続けている。二人のギアにもそのアルゴリズムはセットされていた。

 バイダルは自らのごくわずかな揺らぎまでも反映されては狙撃に支障が出るので、機体を狙撃モードに移行させ、全面的に視線と意思によるコントロールに切り替えている。

 ギアのコクピット内はパイロットのすべての動きをトレースするため、恐ろしく窮屈に仕上がっている。それが気にならないのは、補正された映像が常にパイロットの目に投影され、ギアが見ている光景すべてが好きなように見られるようになっているからだが、その映像が遮断され、狙撃目標周辺の拡大画像と恐ろしい数の各種データが並んだ画面になっている。

 極端にいえば、狙撃モードの場合はパイロットは射撃指示だけ出せばいい。たいていの場合、人間が何もしない方が上手に当ててくれる。

 バイダルもどちらかといえば狙撃は得意な方ではないから、はじめから自分で狙う気がない。

 あいつはどうしてるんだろうな、と、バイダルはふと思った。

 彼が師事しているあの少年、誰がどう見ても落ちこぼれの外見なのに、オスの旗士学校始まって以来の天才児と呼ばれている少年。ギャングも海賊も赤子扱いで葬ってきた強力な旗士である自分を、小虫のように吹き飛ばしてのけた少年。

 まさか狙撃モードなしで自力で狙っているのだろうか。あれだけ常識を小馬鹿にしたような桁外れの能力を示している少年だから、つい、あるいはと思えてしまう。

 実際にはレイもバイダルと変わらない。狙撃はさすがに自力では行っていない。

 ただし、狙撃態勢に入るまでの準備はすべて彼が行ってきたことだ。

 狙撃には様々なデータが必要になるが、それを集めたのはレイだ。

 今回の事件に対してデータ収集を行った、のではない。

 こんな事件が起きるとはさすがに予測していなかったが、レイは普段からこの国や惑星の平和が、ただの偶然と大国の気まぐれで保たれているに過ぎないと考えていた。一番弟子のヤンにもいっているし、バイダルにも語っている。

 後進地帯で恒星間航路からも外れ、特別な資源もなければろくな観光施設もないこの惑星は、国際的な衝突から逃れているがゆえに防衛力が育たず、その思想が欠落している。ちょっと攻められただけで容易に屈するだろうし、そのように諸勢力から認識されてもいた。

 レイはバイダルを含めたオスの裏社会を破壊し、市街に平和を作り出したが、惑星自体の平和を乱されればそれまでの脆い平和である。平和はそもそも脆いものだが、せめて惑星が多少の賊程度に侵されて平和を失うようなことがないようにしたい、というのが、誰に頼まれたわけでもないレイの一つの勝手な課題だった。

 そのために、彼は普通の人間が物心つくような年代から法の彼岸を越えて資金を集めまくり、ブラックマネーをふんだくって浄化しては計画につぎ込み、ギア二機とその周辺機器資材をそろえた。さらにオーステルハウト当局の物を中心に観測機器へのアクセス権限を取り、各省庁や大学、軍などの垣根を超えた集中的な情報管理ネットワークを構築した。

 繰り返すようだが、九歳の子供がである。

 狙撃用の各種データも、気象観測用の各施設から勝手に取っているデータや、学術研究用の地味に埋もれた観測機器などのデータを集め、独自のアルゴリズムで解析したものだった。自前の軌道ステーションやエレベータを持たないこの国で、宇宙からの敵に対抗しようと思えば、地上から狙撃する以外に選択肢がないのだから、この程度のデータ収集ができる設備くらい国に持っておいてもらいたいものだが、なければ自分で作ってしまおうと考えて実行できてしまう人間など、レイ以外に恐らくいない。

 レイが最後に海賊団のギアを破壊してから概ね三分後、レイはギアの狙撃態勢を整えた。各種データによる補正作業も終わり、ミリ秒単位の角度でリアルタイム修正される砲身は、冷却系の補器から発生するもやに包まれていた。

 そのはるか上空、衛星軌道上の海賊艦隊では、まだ地上戦が完全な敗北に終わったらしいことについての混乱が収まっていない。なにしろ、自分たちのギアからの応答が一切消え、機器から自動で送信されてこなければならない生命兆候が、通信が回復しているのに送られてこない。

 異常事態はわかるが、こうまでやられていれば当然あるはずの敵からの通信もなく、それどころか敵の姿かたちが何も見えてこない。存在が捉えられない。

 黒のギアが塗装や極小の力場展開で隠密処理を行い、観測されにくくしているせいもあるが、レイとバイダルが常識を越えた速さで行動していたせいもあっただろう。

 だから、初撃が来るまで、彼らは何が起きたかの把握に気を取られていた。

 すぐに報復攻撃に出るだろう、というレイの予測は、ここでは外れている。いずれ出ただろうが、その段階に達する前にレイたちの狙撃が始まった。

 艦隊の旗艦「シナン・レイス」は、一般的な宇宙軍では軽戦艦と呼ばれ、宇宙艦隊の主力を構成する艦種だ。その特徴は圧倒的な火力と防御力。艦が大型だけに機動力は低く、個艦戦闘力に長じているがギアなどの搭載数は少ない。

 狙撃に関していえば、狙いにくい艦種だ。膨大な出力の防御フィールドを、特に狙撃を受けそうな側面にだけ集中展開していれば、よほど強力な砲で至近距離からの射撃を受けない限り、装甲まで届くことがあったとしてもそれを破ることはできないとされる。防御フィールドも強力なら、特殊装甲もかなりの防御力を誇る。

 シナン・レイスはこの時、防御フィールドを全天展開していた。地上からの攻撃だけを警戒していればいいというわけではなかったからだし、地上からの砲撃が全天フィールドを破ってくるほどの威力があるとは考えてもいなかった。なめていた、ということだ。

 全天展開したフィールドは、例えば地上に艦種を向けて遊弋していた場合に前方にのみ集中展開したフィールドに比べ、百分の一以下の防御力になってしまう。今回はそもそもそれすらせず、艦隊すべての艦が地上に向けて艦底を見せている。どてっ腹をさらしている、といっていい。

 重力圏に入り、鉛直方向に艦底を向けたくなるのは人情で、そのまま地上に降りればきれいに着底できるし、水があれば着水して浮かぶことができる。宇宙に生まれ育った者でも、艦内で自分の足で立つことができる場では、艦底を重力圏内での「下」方向に向けたくなるのが当然だった。

 戦闘となればそんなことはいっていられないはずなのだが、海賊という正規軍でない軍隊では、そのような規律も緩むものらしい。敵をなめすぎていたにせよ。

 だから、レイが戦闘開始以前からエネルギー経路を準備し、最初のギアに対する狙撃が終わってからも弾体加速の準備と冷却を続けていたレールガンの最大出力最大収束射撃を放った時、シナン・レイスはほとんど無防備だった。

 今回は単射撃である。ギアのときのように三点バーストにする意味はない。砲が放てる最大出力の一射をぶち込む。

 レイの黒いギアのレールガンは、シナン・レイスが地上に打ち込んだ艦載レールガンと比べればずっと小さいから、弾頭のサイズはシナン・レイスが大柄な男性程度の質量だったのに対し、赤子一人分の質量しかない。それを三点バーストにしていたのだから、対ギア戦のレールガンの威力は、シナン・レイスの対地砲撃に比べればごく微力だった。

 それとは比べ物にならない高密度の一撃が、超高速でシナン・レイスを襲った。

 地上から衛星軌道上まで、この惑星のその地点で概ね三万キロ程度だが、この程度の距離は宇宙空間では指呼の間といっていい。宇宙規模の艦隊戦では約三十万キロ(一光秒)程度の射撃は日常茶飯事である。レールガンでは精度が相当落ちるが、標的が小惑星や大型人工衛星などであれば、その距離でも十分狙撃できる。

 レイのレールガンは、三万キロを瞬時に走った。射出から着弾まで半秒かかっていない。

 通常、レールガンは重金属の粒子を電磁波で圧縮しただけのものをそのまま弾として使う。あまりに強烈な加速をかけるために、きれいに成形されていても意味がないからでもあり、あらかじめ圧縮した後に冷却されたものを使えば加速中に加熱してプラズマ化してしまうことも防げる。そしてなんといっても射出コストが安い。

 エネルギー効率を無視してコストをかけても良いのであれば、成形された弾や結晶弾を撃つこともある。メリットは弾体がぶれずに直進してくれること、デメリットはエネルギー効率の悪さとコストである。

 レイは重心位置まできれいに成形されたウランを中心とする合金の準結晶を弾丸に使っていた。弾頭一つで中流のひと家族が一年食っていける金額の代物だ。電気抵抗が異常に高まったこの合金で、ぶれずに直進する技術はより高度に発揮される。

 途方もないエネルギーを消費して加速された弾頭は、非接触式の砲身の射出口まで加速され、砲身の先から出される強電磁波スパイクによって切り裂かれた大気の層の割れ目に沿って射出される。飛び出てからは自身のポテンシャルで大気を割き、直進した。

 シナン・レイスの三重防壁と呼ばれる防御フィールドは、その運動エネルギーと質量の極めて鋭利な衝突に無力だった。人間が知覚できない極小の時間で防壁は破られ、シナン・レイスの艦体にレイの弾丸が衝突した。場所は艦の後方、最も厚い装甲に守られた機関部の区画だった。

 レイの弾頭はこの装甲をも突き破った。貫徹力ではギアが利用できる最強の兵器の底力だろう。

 もっとも、着弾した防壁は突き破ったものの、そのまま機関部を直進して機関装甲の反対側を破った時にはだいぶ勢いも減衰していて、その上にある格納庫や居住区すべてを貫き通すことはできなかった。

 弾頭は貫通できずに、艦体上部の外部装甲の中で原形をとどめずばらばらになり停止した。この弾頭は炸薬も何も入っていないから、それで終わりである。

 それでも、機関部へのダメージは充分に大きかった。

 シナン・レイスの動力は艦体十二か所にある機関部によって作り出されるエネルギーだから、一つ損傷したくらいでは屁でもない。ただ、機関部が爆発すれば話は別だ。

 狙撃を受けた機関部は即座に爆発した。

 反物質の対消滅炉は、文字通り保管してある反物質を物質とを対消滅させる際に出る爆発的エネルギーを利用するものだが、炉内で正確な手順でなければ対消滅が起きないよう管理されている。外力で簡単に対消滅が引き起こされるようでは、危険すぎて使えないからだ。

 だから、対消滅炉を使っている海賊団のギアがレイたちによって撃墜されても、理想的な対消滅は起きていない。起きていればオス程度の都市ならきれいに吹き飛んで更地になっていたはずだ。

 この時も対消滅は起きていないが、凄まじい衝突のエネルギーが強烈な熱と空気の膨張を招いた結果、炉の補器が破壊され、爆発し、拡大した。

 直撃した機関部は吹き飛び、隣接した機関部二つが同様に爆発する。三つの機関部が破裂するように爆発したシナン・レイスは、その衝撃ですさまじい振動に襲われ、軌道からずれた。

「なんだこれは!」

 首領ハイレッティンは叫んだが、振動が激しすぎてまともに発音できていないただの怒号に近い。ほぼ重力が発生していない状態での直撃で、シートに体を固定していない者も多かったから、室内をゴムまりのように跳ね飛ばされてあちこちに衝突し、死んだ者も少なくない。

 続いて二撃目が来た。

 別の角度で別の場所に、同じ弾丸が激突する。

 今度はバイダルの狙撃だ。レイの狙撃から八秒後。

 巨大なシナン・レイスにとってはごくごくわずかな針穴が開いた程度に過ぎないはずの砲撃だが、装甲の中に飛び込まれてしまうと、ダメージが甚大だった。

 さらに十二秒後にレイからの第二撃が発射されたが、シナン・レイスには幸運なことにわずかに射線がそれ、防御フィールドに弾かれて明後日の方向に飛び去って行った。

 が、その間にも機関部を損傷したダメージは広がっていて、ついに三重のうちの防御フィールドの二つまでが消失した。

 そこに、バイダルの二撃が来る。

 フィールドによる減衰をほとんど受けなかった弾丸は、艦体前方に貫通孔を開けた。そこはシナン・レイスの武器庫であり、間の悪いことに炸薬の類が置かれていた。

 もちろん誘爆しない処理もされているし、爆発しても他の区画への損害が最小限になるよう防壁も作られていたが、それでも艦体へのダメージは避けられない。

 そして、レイの三撃目は、この事態を予期していたかのように辛辣だった。

 レールガンの弾頭が変わっていた。それまでの準結晶型の弾頭ではない。サイズも大きくなり、速度も落ちていたから、防御フィールドが生きていれば艦体に届くことすらなかっただろうが、フィールドが回復しないままに届いたこの弾頭は、シナン・レイスのほぼ中心部に着弾した。

 分厚いとはいえ機関部ほど強固ではない防壁を食い破った弾頭は、着弾からコンマ二秒後に爆発した。

 防御フィールドが生きていれば艦体表面に多少傷がつく程度ですんだだろうが、艦内での爆発は恐ろしいほどに効果的だった。

 シナン・レイスは、化学的な爆発を起こす炸薬としては事実上もっとも破壊力があるとされる炸薬を仕込んだ弾頭で、その艦体の中ほどからちぎれるようにして分断された。

 宇宙空間でこのダメージはすべての乗員にとって致命的である。

 まさに轟沈といっていい海賊団旗艦の惨状に、周囲に遊弋していた海賊団艦隊は茫然自失だった。

 シナン・レイスの爆発は次から次へと拡大し、地上からの追い打ちの狙撃が数発撃ちこまれ、ついに対消滅炉の一つが爆発した。本来起きてはいけないはずの炉心爆発が、偶然の重なりから生まれてしまった。

 その爆発規模はあまりにも巨大だった。爆心点の温度は一億度を超え、半径五〇〇キロメートル圏内は瞬時に焼き払われた。愚かなことに静止衛星軌道上に広く展開することをせず、半径わずか一〇キロ圏内に固まって布陣していた海賊艦隊は、全艦がその爆発に飲み込まれた。

 幸運にもその爆発を防御フィールドでしのぎ切った艦もあったが、位置的な問題でそれもかなわず旗艦と運命を共にした艦も多い。

 結局、爆発が収まって空域がクリアになった時、航行可能な状態で生き残った艦は一〇隻に満たなかった。二三隻が参戦して、わずか二機のギアにここまで撃ち減らされてしまったことになる。

 状況はさっぱりわからないものの、自分たちが何に負け何に殺されかかっているかもわからないものの、少なくともこのままでいては撃ち減らされる一方であると悟った海賊団は、首領を旗艦ごと失ったため統制も取れないままに、各艦が死に物狂いで逃走を開始した。

 海賊団は、惑星の防衛システムをずたずたにし、オーステルハウト軍の施設を使用不可レベルにまで破壊しはしたものの、所有ギアのすべてを二機の黒いギアに撃墜され、旗艦と首領の命を消滅させられ、艦隊の過半が撃沈される羽目になった。

 その後の話になるが、海賊団による惑星襲撃が伝えられると、列強のうちいくつかの国が対海賊艦隊を急派。統制が取れず目的地を失ってうろうろしていたメインウォーリングス海賊団の残党は、そのすべてが撃沈または拿捕されることとなった。

 またしても、レイの圧勝である。

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