第67話『平和の到来 ― 完』
魔王城――
黒き尖塔が並び立つ要塞の玉座の間は、今や静寂に包まれていた。
魔王バルゼルドは雷刃に刻まれ、契約陣により完全に沈黙。
その巨体は異空間へと吸い込まれ、支配者の座は空となった。
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リリィが転移してきて、深く息を吐く。
「……終わったんだね。魔王が倒れた。これで、世界は平和になる」
朔は雷刃を収め、玉座を見下ろす。
「王も魔王も狩った。
もう、この世界を脅かす存在はない。
平和は――俺が切り拓いた」
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世界の変化
魔王の死と同時に、世界を覆っていた瘴気は消え去った。
獣の領域は静寂を取り戻し、荒野には草花が芽吹き始める。
人々は恐怖から解放され、街には歓声が響き渡った。
長き戦乱の時代は終わりを告げ、平和の時代が始まった。
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人々の声
各地の民は朔の名を讃えた。
「王を超えた者」「魔王を討った英雄」「世界を救った支配者」――
その呼び名は様々だったが、どれも敬意と感謝に満ちていた。
リリィはその声を聞きながら微笑む。
「あなたはもう、人間じゃない。人々にとっては希望そのものだよ」
朔は静かに答える。
「俺はただ、戦い続けただけだ。
だが……その果てに平和があるなら、それでいい」
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仲間たちのその後
- 火竜ヴァルグレアは天空へ帰り、世界の守護竜として人々を見守る存在となった。
- 死者王スケルトンキングは冥界へ戻り、魂の循環を正す役割を担った。
- 双牙の姉妹や牙の七将は各地に散り、守護獣として人々を助ける存在となった。
- 魔獣王グロウルは森の奥で眠りにつき、再び目覚めることはなかった。
彼らはもはや「敵」ではなく、世界を守る「力」として存在し続けた。
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玉座に座す者
朔は玉座に腰掛ける。
だが、その瞳は支配者のものではなく、守護者のものだった。
「玉座は奪った。だが、俺は王にはならない。
この座は、世界を見守るためのものだ」
リリィは隣に立ち、静かに頷いた。
「なら、私も一緒に見守るよ。
あなたが切り拓いた平和を、ずっと」
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エピローグ
空は晴れ渡り、星々は輝きを取り戻す。
人々は笑い、歌い、未来を語る。
戦乱の時代は終わり、平和の時代が始まった。
天野朔は玉座に座し、世界を見守る。
その姿は、もはや「王を狩る者」ではなく――
「世界を守る者」として刻まれていった。




