第66話『玉座決戦』
魔王城・玉座の間――
天野朔が雷刃を構え、玉座の前に立つ。
その眼差しは冷たく、揺るぎない。
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魔王バルゼルドは立ち上がり、震える声を放った。
「……降参だ。玉座も、領域も、すべて譲ろう。だから命だけは――」
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朔は一歩踏み出し、脚飾りを起動。
空間が歪み、雷鳴が走る。
「降参?聞き入れるつもりはない。
王を狩る者は、王を超える。
その座にふさわしいのは、俺だ」
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バルゼルドの瞳が怒りに燃える。
「人間ごときが勝てるわけないだろう!」
魔王剣を振り上げ、魔力を爆発させる。
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だが次の瞬間、朔の姿は消えていた。
尋常ならざる速度で背後に回り込み、雷刃が閃く。
肩に浅い傷。
次には脚。
次には腕。
次には顎。
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「なぶるように削っていく――これが俺の戦い方だ」
朔は笑みを浮かべ、脚飾りの加速で空間を裂く。
バルゼルドは剣を振るうが、空を切るばかり。
その巨体は少しずつ、確実に刻まれていく。
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「ぐっ……! 馬鹿な……! 私が……削られているだと……!」
バルゼルドの咆哮が玉座を震わせる。
だが朔は止まらない。
雷刃が閃き、胸に深い傷を刻む。
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「終わりだ、バルゼルド。
お前も俺の兵器になる」
契約陣が展開され、魔王の身体が硬直する。
瞳の赤が消え、胸に刻印が浮かび上がる。
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「使役、完了。異空間ストレージへ格納」
魔王バルゼルドの巨体が光に包まれ、異空間へと吸い込まれていく。
玉座の間は静寂に包まれた。
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リリィが転移してきて、静かに言った。
「……本当に、魔王すら超えたんだね」
朔は雷刃を収め、玉座に腰掛ける。
「次は――世界そのものを使役する」
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>「王を狩る者は、王を超える。
> その座にふさわしいのは、俺だ」




