第64話『進言!』
魔王城――
黒き尖塔が連なる要塞の玉座の間。
魔王 バルゼルド は玉座に腰掛け、重苦しい空気を支配していた。
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「進言!」
玉座の間の扉が乱暴に開かれ、魔族の将が駆け込む。
その声は震え、息は荒い。
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「何者かの軍が進軍しております!
すでに第四防壁を突破!
倒された兵が、即座に敵軍の兵へと変わり……
すでにその数、四万に達しております!」
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玉座の間がざわめく。
バルゼルドの瞳が大きく揺れ、狼狽の色が露わになる。
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「な、何だと……!?
第四防壁を越えただと!?
しかも倒した兵が、奴らの軍勢に加わるだと……!」
バルゼルドは立ち上がり、玉座を叩く。
その声には威厳よりも焦燥が混じっていた。
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「防壁は!? 結界は!? 迎撃の準備は整っているのか!」
「はっ……しかし、彼らは使役獣を率いております。
火竜、死者王、魔獣王、牙の七将……すべてが敵の軍勢に加わっております!」
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バルゼルドの顔が蒼白になる。
その名を聞くだけで、かつての王たちの力が脳裏に蘇る。
そして、それらがすべて謎の軍勢に従っているという事実。
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「馬鹿な……!
王たちが、奴に従っているだと……!?
そんなことが……!」
バルゼルドは狼狽し、玉座の間を歩き回る。
その姿は、もはや支配者の威厳を失っていた。
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「進言! 魔王様、決断を!
このままでは、城は包囲されます!」
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バルゼルドは歯を食いしばり、叫ぶ。
「誰だ……! 玉座を奪わせはせぬ!」
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だが、その声は震えていた。
迫り来る四万の軍勢に、魔王バルゼルドの心は揺らぎ始めていた。




