表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/67

第60話『疾牙の狩人』



「今回は――俺一人でやる」


朔は異空間ストレージを閉じ、ヴァルグレアもスケルトンキングも呼び出さなかった。

リリィが驚いたように振り返る。


「本気なの?」


「迅脚の脚飾りがある。

 あれを試すには、ちょうどいい相手だ」


---


目的地は“瘴気の沼地”。

牙の七将の一体、グラウル=スロームが巣食う腐敗の領域。

その身体は泥と毒で構成され、接近戦を拒む異形の魔獣。


---


朔は転移陣を展開し、単身で沼地へと跳んだ。

瘴気が渦巻き、地面はぬかるみ、視界は濁っていた。


---


「出てこい、グラウル」


呼びかけに応じるように、沼地の中心から巨大な影が立ち上がる。

牙の七将グラウル=スローム――

泥の巨体、毒の爪、腐敗の咆哮。


---


「いいね。鈍重で、でかくて、刻み甲斐がある」


朔は脚飾りを起動。

瞬間、空間が歪む。

尋常じゃない速度で地を蹴り、グラウルの背後に回り込む。


---


雷刃が一閃。

グラウルの肩に浅い傷が刻まれる。

だが朔は止まらない。


---


次の瞬間には脚を、次には尾を、次には顎を――

少しずつ、確実に、刻んでいく。


---


「どうした?動きが鈍いぞ。

 もっと暴れてみろよ」


グラウルが咆哮を上げ、毒の霧を放つ。

だが朔はその軌道を読み、空間を裂いて回避。


---


「楽しいな。じわじわ殺すのも、悪くない」


雷刃が再び走り、今度は胸部を貫く。

グラウルが膝をつき、泥が崩れ落ちる。


---


「使役の刻印、展開」


朔が契約陣を描き、魔力を流し込む。

グラウルの身体が硬直し、瞳の毒が消える。

胸に刻印が浮かび上がり、契約が成立する。


---


「使役、完了。異空間ストレージへ格納」


朔が手をかざすと、グラウル=スロームの巨体が光に包まれ、異空間へと吸い込まれていく。


---


リリィが転移してきて、静かに言った。


「……本当に、一人でやったんだね」


朔は雷刃を収め、脚飾りを見下ろす。


「この速度があれば、魔獣王すら刻める」


---


>「王を狩る者は、王を超える。

> その座にふさわしいのは、俺だ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ