第58話『咆哮の谷』
“獣の領域”の空は濁り、地は獣の爪痕で裂けていた。
瘴気が漂うこの地に、朔の軍勢が降り立つ。
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異空間ストレージが開き、火竜ヴァルグレアが咆哮を上げる。
スケルトンキングが黒剣を構え、死者の王として静かに立つ。
そして――新たに使役された魔獣、牙の七将“ハウル=レンド”が姿を現す。
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「命令を、主よ」
ハウル=レンドが朔に跪く。
かつて魔獣王に仕えていた幹部が、今は朔の兵器となった。
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「次は北の断崖。スナップ=ファングを潰す」
朔が地図を広げる。
リリィが魔力の流れを読み取り、各将の居場所を特定していく。
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「北の断崖にスナップ=ファング。
東の沼地にグラウル=スローム。
南の密林に双牙の姉妹。
西の荒野にロア=クラッシュ。
そして、中央の谷に魔獣王グロウル」
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「残り6体。全部潰して、魔獣王を使役する」
朔は転移陣を展開し、座標を断崖へと固定する。
リリィが補助陣を重ね、空間が歪む。
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転移完了。
一行は断崖の頂へと跳ぶ。
そこに待ち構えていたのは、岩を噛み砕く巨大な牙を持つ獣人――スナップ=ファング。
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「牙の七将、スナップ=ファング。
魔獣王の忠犬か――なら、主ごと焼き払う」
朔が雷刃を構え、ヴァルグレアが突撃する。
スケルトンキングが側面から斬りかかり、ハウル=レンドが咆哮で空間を裂く。
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リリィは星術で空間を固定し、魔力の暴走を防ぐ。
朔は刻印を展開し、使役の準備を始める。




