第51話『火口への旅路』
火山跡は、かつて世界を焼いた災厄の地。
今は魔王軍の監視下にあり、誰も近づこうとはしない。
だが、俺たちは向かっていた――伝説のドラゴンを使役するために。
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「快適すぎるな、これ」
カイが小屋の中でくつろぎながら言った。
リリィが展開した空間魔法によって、内部は広く、温度も安定している。
外は硫黄と熱気が渦巻く火山地帯だが、ここだけは別世界だった。
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「護衛も抜かりない。ゴーレム6体、配置完了」
俺は魔力を調整しながら、周囲の地形に合わせてゴーレムを配置した。
それぞれが自律行動し、敵性反応を検知すれば即座に迎撃する。
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リリィは窓の外を見ながら、静かに言った。
「一時期は、冒険から遠ざかってたね」
俺は頷いた。
「……あの時は、戦う理由を見失ってた。
でも、魔王を駆逐しない限り、人類は滅ぶ。
俺達も死ぬ。ならば――駆逐するしかない」
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リリィは微笑んだ。
「もう、誰も失いたくない。私も、戦う」
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俺は拳を握った。
前回の敗因は、王族の末裔を名乗るならず者の口車に乗り、ろくに準備もせず突入したこと。
リリィが重傷を負い、俺は何もできなかった。
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「もう二度と、リリィを失わない。
このドラゴンを倒して、使役スキルを手に入れる。
そして――魔王を焼き尽くす」
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火山の中心部へ向かう準備は整った。
ゴーレムが先行し、地熱の流れを解析する。
リリィは星術の陣を展開し、俺は雷刃を研ぎ澄ませる。
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>「これは、ただの冒険じゃない。
> これは、世界を奪い返す旅だ」




