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第48話『星墜の祈り』



星が落ちた瞬間、世界が震えた。

軌道を外れた“星の刃”が玉座を貫き、アグド・ネメスの影を焼き尽くす。

咆哮とともに、影の王は光の中に消えた。


---


空間が軋み、魔界の裂け目が暴走を始める。

城の壁が崩れ、床が沈み、天井が消えていく。

玉座の崩壊は、城そのものの崩壊を意味していた。


---


「まずい、ここが崩れる!」


カイが叫ぶ。

ミレイが魔力を展開しようとするが、空間が拒絶する。

ゼインが前に出る。

彼の手には、転移魔法の紋章が浮かんでいた。


---


「全員、俺の魔力に乗れ!

 この座標から外へ跳ぶ!」


朔がリリィを抱え、カイとミレイが陣の中心に集まる。

ゼインが詠唱を始める。


---


「座標固定、魔力展開、転移陣起動――跳ぶぞ!」


魔力が展開される。

空間が歪み、転移陣が輝く。

崩壊する城の中心で、最後の魔法が発動する。


---


光が包み込む。

瓦礫が落ち、裂け目が収縮し始める。

そして――彼らの姿は、消えた。


---


>「祈りとは、誰かに届くものじゃない。

> それは、自分を信じる力だ」


この日、影の王は砕けた。

そして、崩壊する世界から、仲間たちは生還した。

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