第46話『影の玉座』
魔界の裂け目の最奥。
そこに浮かぶ黒の城――アグド・ネメスの玉座。
空間は歪み、重力は揺れ、時間さえ定まらない。
この場所は、世界の境界を喰らう“影の心臓”だった。
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俺たちは進んだ。
リリィを守りながら、玉座の間へ。
ゼインは魔力を張り巡らせ、カイは剣を構え、ミレイは支援を展開する。
そしてリリィは、静かに歩いていた。
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玉座は闇の中に浮かんでいた。
その上に、アグド・ネメスが座していた。
人の形をしているが、もはや人ではない。
影と怨念が絡み合い、目だけが赤く光っていた。
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「よく来たな、天野朔。
そして……リリィ。
お前はただの器だった。
封印されていた間、何もできなかったはずだ」
ネメスの声は冷たく、空間を震わせる。
だが、リリィは一歩前に出た。
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「私は眠っていたんじゃない。
意識の深層で、ずっと修行していた。
あなたを倒すために」
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その瞬間、空気が変わった。
リリィの周囲に魔力が集まり、星のような光が浮かび上がる。
ゼインが息を呑む。
「星術……!? そんな領域に届いていたのか」
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ネメスが立ち上がる。
玉座が浮上し、影が空間を裂く。
裂け目が拡大し、世界が崩れかける。
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「ならば見せてみろ。
その“修行”とやらが、我が玉座に届くかどうか」
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リリィは空を見上げた。
瞳が光を宿し、声が空間を貫いた。
>「星よ、応えて」
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魔力が空間を突き抜ける。
上空に、巨大な魔法陣が展開される。
星の軌道が揺れ、空が震える。




