第45話『氷棺の目覚め』
虚竜ヴァルゼルを倒した俺たちは、裂け目の最深部――ネメスの城の奥へと進んだ。
そこに、リリィが囚われている。
魔力の流れが異常に濃く、空間が歪んでいた。
この場所自体が、封印の一部なのだ。
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「リリィは……この城の心臓部にいる」
ゼインの言葉に、俺は剣を握り直す。
雷鳴の双刃が、魔力核に反応して微かに光を放っていた。
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城の奥へ進むと、巨大な扉が現れた。
黒曜石のような材質に、魔族の紋章が刻まれている。
その中心に、氷の棺が浮かんでいた。
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リリィ。
彼女は、静かに眠っていた。
その姿は変わらず、まるで時間が止まっているかのようだった。
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「これが……封印か」
ミレイが呟く。
ゼインが魔力核を差し出す。
「この核を使えば、封印を解ける。
だが、必要なのは“想い”だ。
彼女を呼び戻すには、君の心が必要だ」
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俺は核を手に取り、棺へと近づいた。
指先が震える。
けれど、迷いはなかった。
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「リリィ……俺は戻ってきた。
君を守るために、ここまで来た。
もう一度、君の声が聞きたい」
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魔力が流れ込む。
核が光を放ち、氷が軋み、空間が震える。
そして――氷が砕けた。
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リリィの瞳が、ゆっくりと開いた。
その瞳に、俺の姿が映る。
「……朔くん?」
その声に、世界が戻った気がした。
俺は笑った。
涙が頬を伝った。
「おかえり、リリィ」
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この日、俺たちは彼女を取り戻した。
それは、過去の終わりではなく――未来の始まりだった。
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>「封印を解く鍵は、力ではない。
> それは、誰かを想う心だ」




