第42話『継承の武器庫』
武器庫の扉が開いた瞬間、冷たい空気が頬を撫でた。
岩壁の奥に広がる空間には、数百を超える武器が整然と並んでいた。
剣、槍、杖、双刃――どれも手入れが行き届いている。
ただの収集ではない。これは“準備”だ。
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ルーシーが言った。
「この武器庫は、代々“良質な武器だけを集めよ”という教えに従って守られてきました。
あなたが戻る日を信じて」
俺は一振りの剣に目を留めた。
柄に刻まれた紋章。
手に取ると、剣が震え、魔力が共鳴する。
「これは“雷鳴の双刃”。
ユウが鍛え、ミナが封じた力です。
あなたにしか扱えません」
剣を腰に収めた瞬間、身体の奥に熱が走った。
これはただの武器じゃない。
記憶と願いが込められた“遺志”だ。
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その後、ルーシーは俺を祭壇へ案内した。
ミナとユウの像の裏側に、小さな封筒が埋め込まれていた。
封は魔力で守られていたが、俺が触れると静かに開いた。
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「これは、100年前に訪ねてきた魔導士の男が残したものです。
“サク・アマノが帰ってきたら渡してくれ”と、そう言い残して」
俺は手紙を開いた。
筆跡は力強く、言葉は簡潔だった。
>「私はかつて、あなたの仲間だった。
> レイナの息子――ゼイン・レイナード。
> 今は、かつて王都だった場所で待っている。
> もしこの手紙を読んでいるなら、世界が再び動く時だ」
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ゼイン。
レイナの息子。
かつての仲間の血が、まだ生きている。
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俺は剣を握り直した。
ミナとユウが残した村。
レイナの息子が待つ灰都。
そして、リリィが眠る場所。
>「この刃で、母さんを助ける。
> そして、仲間の願いを果たす」




