表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/67

第42話『継承の武器庫』



武器庫の扉が開いた瞬間、冷たい空気が頬を撫でた。

岩壁の奥に広がる空間には、数百を超える武器が整然と並んでいた。

剣、槍、杖、双刃――どれも手入れが行き届いている。

ただの収集ではない。これは“準備”だ。


---


ルーシーが言った。


「この武器庫は、代々“良質な武器だけを集めよ”という教えに従って守られてきました。

 あなたが戻る日を信じて」


俺は一振りの剣に目を留めた。

柄に刻まれた紋章。

手に取ると、剣が震え、魔力が共鳴する。


「これは“雷鳴の双刃”。

 ユウが鍛え、ミナが封じた力です。

 あなたにしか扱えません」


剣を腰に収めた瞬間、身体の奥に熱が走った。

これはただの武器じゃない。

記憶と願いが込められた“遺志”だ。


---


その後、ルーシーは俺を祭壇へ案内した。

ミナとユウの像の裏側に、小さな封筒が埋め込まれていた。

封は魔力で守られていたが、俺が触れると静かに開いた。


---


「これは、100年前に訪ねてきた魔導士の男が残したものです。

 “サク・アマノが帰ってきたら渡してくれ”と、そう言い残して」


俺は手紙を開いた。

筆跡は力強く、言葉は簡潔だった。


>「私はかつて、あなたの仲間だった。

> レイナの息子――ゼイン・レイナード。

> 今は、かつて王都だった場所で待っている。

> もしこの手紙を読んでいるなら、世界が再び動く時だ」


---


ゼイン。

レイナの息子。

かつての仲間の血が、まだ生きている。


---


俺は剣を握り直した。

ミナとユウが残した村。

レイナの息子が待つ灰都。

そして、リリィが眠る場所。


>「この刃で、母さんを助ける。

> そして、仲間の願いを果たす」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ