表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/67

第40話『剣、振るう』



森の道を歩いていた。

風は静かで、空は曇っていた。

そのとき、馬の悲鳴が聞こえた。


---


木々の隙間から覗くと、馬車が止まっていた。

周囲には、剣を持った男たち――盗賊。

荷を奪い、護衛を倒し、馬車の扉を叩いている。


「荷を置いていけ! 命が惜しけりゃな!」


馬車の中から、怯えた声が漏れる。

老人と、少女。

助けを呼ぶ声は、誰にも届かない。


---


俺は、迷わなかった。

剣を抜く。

再誕の時に生まれた、俺の剣。

記憶が、身体を動かす。


---


「おい、誰だてめぇ――」


「通りすがりだ。

 でも、通り過ぎる気はない」


「ガキじゃねうか!」


盗賊が笑った。

俺は、構えた。


---


一瞬で、距離を詰める。

剣が唸り、空気が裂ける。

盗賊の一人が倒れた。

残りが慌てて剣を構えるが――遅い。


---


「命を奪うために剣を持つな。

 守るために振るえ」


二人目、三人目――剣が踊る。

俺の身体は、覚えていた。

戦い方も、斬るべき理由も。


---


最後の一人が逃げようとした。

だが、俺は剣を振るわなかった。

代わりに、言った。


「次は誰も襲うな。

 それが、俺の忠告だ」


盗賊は転げるように森へ消えた。


---


馬車の老人が震えながら言った。


「あなたは……何者ですか?」


俺は、剣を収めて答えた。


「天野朔………」


少女が、俺を見つめていた。

その瞳は、どこか懐かしかった。


---


>「剣を振るう理由は、守る者がいるからだ。

> それが、俺の記憶の始まりだった」


この日、俺は再び剣を振るった。

まだ誰も知らない。

この刃が、世界をもう一度動かすことを。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ