表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/67

第39話『再誕の旅立ち』



朝焼けの海辺に、赤子が打ち上げられた。

その瞳は赤く、肌は冷たく、手には剣の痣。

漁師は驚きながらも、その子を抱き上げた。

そして、名もなく、静かな村で育て始めた。


---


その子は、恐ろしいほど早く成長した。

一歳で言葉を話し、三歳で剣を握り、五歳で魔力を操った。

だが、彼の目は――常に遠くを見ていた。

まるで、何かを思い出しているように。


---


夜になると、彼は夢を見る。

炎に焼かれる感覚。

氷に閉ざされた誰かの姿。

そして、最後に響く声。


>「リリィ……ミナ……ユウ……」


それは夢ではなかった。

彼は、覚えていた。

自分が誰だったか。

何を守り、何を失ったか。


---


「俺は……天野朔。

 かつて命を燃やした者。

 今は――その続きを歩く者」


漁師はその言葉に驚いたが、否定はしなかった。

その瞳に宿るものが、子どもではないと知っていたから。


---


十歳になった日、彼は旅に出る決意をした。

目的は――自分の“血”を辿ること。

150年前に死んだはずの自分が、今ここにいる。

ならば、自分の系譜もまた、どこかに残っているはずだ。


---


「俺の血が残っているなら、それは“希望”だ。

 それを見つければ、リリィに届くかもしれない」


彼は北へ向かった。

廃墟を越え、魔族の領域を避けながら、静かに歩いた。

剣を持ち、魔力を纏い、誰にも気づかれずに。


---


>「再誕は、始まりではない。

> それは、続きの一歩だ」


この日、天野朔は歩き始めた。

まだ誰も知らない。

この旅が、世界をもう一度動かすことを。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ