第26話『マギデウスへの道』
「……行ってくるね、朔くん」
リリィはそう言って、旅支度を整えた背中を見せた。
その姿は、冒険者ではなく、魔道士としての覚悟に満ちていた。
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王都魔導院の奥深くにある“魔力源泉の間”。
そこに入る者は、魔力の本質に触れ、精神と魔力を融合させる試練を受ける。
成功すれば、魔道士最高位――マギデウスの称号が与えられる。
「私、そこまで行ってみたいの。
ただの魔法使いじゃなくて、魔法そのものになりたい」
リリィの瞳は、まっすぐだった。
俺は、少しだけ笑って、答えた。
「……家族は俺が守る。お前は空を目指せ」
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ユウとミナは、母の旅立ちに少し寂しそうだった。
でも、誇らしげでもあった。
「ママ、魔法の女王になるの?」
「ううん、もっとすごいの。魔法の神様みたいな感じかな」
「じゃあ、僕たちも強くなる! パパと一緒に!」
「うん! お留守番、がんばる!」
リリィは双子を抱きしめて、静かに微笑んだ。
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出発の日。
リリィは俺の手を握って言った。
「帰ってくるまで、絶対に倒れないでね」
「……ああ。俺は、ここにいる」
仮面の奥で、俺は誓った。
この手を離さないために――この場所を守るために。
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>「空を目指す者と、地を守る者。
> それが、俺たちの夫婦のかたちだ」
リリィは旅立った。
俺は、村に残った。
それぞれの役割を胸に――静かに、次の戦いに備えて。




