第25話『伝説の始まり』
ドラゴン討伐から数日後。
王都は、俺たちの名でざわついていた。
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「仮面の剣士、天野朔――ドラゴンバスターに認定」
「光の魔道士リリィ・エルフェン――王都魔導院より“大魔道士”の称号授与」
その報せは、王都中に広まり、貴族から兵士までが俺たちを一目見ようと集まった。
俺は仮面の奥で、静かにその喧騒を受け止めていた。
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リリィは、魔導院の大講堂で正式に認定を受けた。
その姿は、かつての“魔法少女”ではなく、“魔法の女王”そのものだった。
「……これで、歴史に名前が残るんだね」
「……でも、俺たちは変わらない。家族として、ここにいる」
リリィは微笑んだ。
その笑顔は、どんな称号よりも誇らしかった。
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ユウとミナは、両親の姿を見て目を輝かせていた。
「パパ、ママ、すごいね! 本当に伝説になっちゃった!」
「でも、伝説ってことは……ずっと冒険してるの?」
「ううん。伝説になっても、家族は家族。
帰る場所は、ちゃんとあるのよ」
リリィの言葉に、俺は静かに頷いた。
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王都の貴族たちは、俺たちに興味を持ち始めていた。
「王家の守護に」「魔導院の特別顧問に」――そんな声も聞こえてくる。
でも、リリィが毅然と遮った。
「彼は私の夫であり、子供たちの父親です。
それ以上でも、それ以下でもありません」
その言葉に、誰も何も言えなかった。
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>「名を刻むことよりも、守るべきものがある。
> それが、俺たちの“伝説”の形だ」
俺たちは、王都を後にした。
仮面の下で、静かに微笑みながら――家族の手を握って。




