第24話『ドラゴン討伐任務』
王都北部――空間が歪むほどの魔力濃度。
そこに、古代種ドラゴンが現れた。
空間魔法を操る特殊個体。
通常の討伐隊では歯が立たず、王都は俺たちに依頼を出した。
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「仮面の剣士と光の魔道士。
あなた方にしか、頼めません」
王都軍の司令官は、そう言って頭を下げた。
俺は仮面の奥で頷き、リリィは静かに詠唱の準備を始めた。
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戦場は、空間が裂けるほどの混乱だった。
ドラゴンの咆哮が、空を割る。
その翼は、風を切るのではなく、空間そのものを切断していた。
「……空間魔法か。厄介だな」
「でも、詠唱は通る。私が道を開くから、あなたは心核を狙って」
リリィの声は、冷静だった。
俺は剣を構え、仮面の奥で呼吸を整えた。
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戦闘は長期化した。
ドラゴンは空間を歪め、攻撃を無効化する。
俺の剣は何度も空を切り、リリィの魔法も軌道を逸らされた。
それでも、俺たちは諦めなかった。
リリィは詠唱を重ね、魔力を圧縮していく。
「七連詠唱・光の槍陣――展開!」
空に、七本の光の槍が並ぶ。
それは、空間の歪みを貫く“純粋な魔力の矢”。
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ドラゴンが咆哮する。
空間が裂け、俺の足元が崩れる。
それでも、俺は跳んだ。
仮面の奥で、ただ一点――心核だけを見据えて。
「――断て」
俺の剣が、空間の裂け目を断ち切る。
リリィの槍が、心核を貫く。
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ドラゴンが、崩れ落ちた。
空間が静まり、風が戻る。
王都の兵士たちが、歓声を上げる。
「……討伐、完了」
リリィが肩で息をしながら、俺に微笑む。
俺は仮面の奥で、静かに頷いた。
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>「限界を超える戦いの先に、俺たちは立っていた。
> 仮面の下にあるのは、ただ――守るための剣」
この戦いは、伝説になる。
でも、俺たちは――ただ、家族のために戦った。




