第22話『SSランクの夫婦』
ギルドの空気が、明らかに変わった。
任務報告を終えた俺とリリィに、受付嬢が深く頭を下げる。
「天野朔さん、リリィ・エルフェンさん。
本日付で、SSランクに昇格が認定されました」
その言葉に、ギルド内が一瞬静まり返った。
そして、次の瞬間――ざわめきが爆発した。
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「SSランク!? 夫婦で!?」
「仮面の剣士と光の魔道士って、やっぱり本物だったのか」
「魔獣領の救出任務、王都の依頼、討伐記録……全部S級超えてるじゃん!」
俺は仮面の奥で静かに息を吐いた。
リリィは隣で、少しだけ照れたように微笑んでいた。
「……これで、また目立つね」
「仮面つけてても、目立つのは避けられないか」
「でも、誇っていいと思う。
私たちが積み重ねてきたものが、ちゃんと形になったんだから」
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ユウとミナは、まだ10歳。
魔法学校で元気に過ごしている。
最近は「英雄の子」として注目されることも増えてきた。
でも、リリィは教育方針を変えない。
「うちはうち。よそはよそ。
子供たちには、子供たちの時間があるの」
その言葉に、俺は深く頷いた。
名声は、誇りにもなるが、重荷にもなる。
だからこそ、守るべきものは見失わないようにしたい。
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その夜、家に戻った俺たちは、静かに乾杯した。
リリィが用意してくれたハーブティーを片手に、双子がはしゃぐ。
「パパ、ママ、すごいね!SSランクって、最強ってこと!?」
「うん! 魔法学校でも話題になってるよ!」
「……最強かどうかはともかく、俺たちは家族を守るために強くなったんだ」
「そう。だから、あなたたちも“誰かのために強くなる”ってこと、忘れないでね」
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>「仮面の下にあるのは、覚悟。
> 名声の先にあるのは、守るべきもの」
俺たちは、SSランクになった。
でも、それは“終点”じゃない。
ただの通過点。
家族として、冒険者として――まだ、歩いていける。




