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死なないだけの僕がいつか世界を救う  作者: 木挽
誕生と新しい町
20/67

第20話『再会と問い』



「……お前、なんで歳をとらないんだ」


レイナの声は、静かだった。

でも、その奥には、驚きと戸惑いと――少しの怒りが混ざっていた。


---


彼女は47歳になっていた。

かつての鋭い眼差しはそのままに、髪は短く、表情には深い年輪が刻まれていた。

俺は、変わらないまま、彼女の前に立っていた。


「……俺は、止まってるんだ。ずっと」


その言葉に、レイナは目を伏せた。

そして、ぽつりと呟いた。


「……そんなの、ズルいよ」


---


リリィは、少し離れた場所でそのやり取りを見守っていた。

彼女にとって、レイナは初対面の相手。

でも、朔の過去に深く関わる人だとすぐに察した。


レイナがリリィに目を向ける。


「……あなたが、朔の“今”なのね」


リリィは一瞬だけ驚いたが、すぐに頷いた。


「はい。私はリリィ。朔と一緒に生きています。……家族です」


レイナは、少しだけ目を細めた。


「そう……なら、よかった。あいつが、ちゃんと“今”にいるなら」


---


任務は成功だった。

負傷者はいたが、全員救出できた。

王都の依頼は果たされ、俺たちはルミナスへ帰る準備を始めた。


帰り道、リリィが俺の隣で言った。


「……レイナさん、強い人だったね。初めて会ったのに、なんだか懐かしい気がした」


「……ああ。時間は人を変える。でも、芯は残る」


「朔くんは、変わらないけど……芯も、ずっと変わってないよ」


彼女はそう言って笑った。

その笑顔は、俺の“今”を肯定してくれるものだった。


---


>「止まった時間の中でも、誰かと生きることはできる。

> それが、俺の“答え”なのかもしれない」


過去と再会し、今を見つめ、未来へ歩き出す。

物語は、ここでひとつの区切りを迎える。


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