土地神様……?
ドライアドを保護したレオ達が村へと帰ると……
俺達は無事拘束したドライアドと共に村へ帰ったのだが……
(な、なんじゃこら!?)
村につくなり目にしたのはひれ伏す獣人達……それも村人全員ではないかと思われるほどだ。
「あ、帰ってきた! レオ、助けてよ!」
ひれ伏す獣人の中心にいたのは何とハーディアだ!
「おお、レオ殿お帰りで。ささ、こちらへ」
村長の一声で獣人達が道を開ける。正直、今のハーディアには近づきたくなかったが、仕方ない。
「やはりレオ殿も土地神様をご存知でしたか。ということはやはり、レオ殿は土地神様の御一行……」
土地神??? そういや、初めてハーディアを見たミゲルもそんなことを言ってたな。
(一体どこから説明したら良いんだろう)
だが、俺が答えを出すより早く……
「おおっ! 神様!」
「これで村も……いや、獣人皆が救われる!」
村人達がテンションを上げていく。いや、これは困ったな……
“何とかしてよ、レオ”
何とかと言われても……仕方ないな。
「村人の皆さん! 私達は土地神様の導きの元、村を襲おうとした魔物を退治してきました!」
「「「「おぉぉぉ!」」」」
俺の言葉に村人達が一際大きな歓声を上げる。それが少し落ち着くのを待って、俺は再び声を張り上げた。
「しかし、奴らはまた来ます! 私達は奴らを根絶やしにすべく土地神様からお知恵を拝借したいのです。ですから……」
俺がそこまで言うと獣人達は何故か静かになった。そして……
「おおっ……土地神様からお知恵。まさか、この方が伝承にある………」
「しっ……これから交信なさるのだ。粗相があっては」
何やら良くわからないヒソヒソ話をしてるぞ……もしかして何か俺まで巻きこまれてる?
「失礼しました。救い主──いえ、レオ様!」
え、村長。今、何を言おうとしたの?
「皆の者、救い……いや、レオ様はこれから土地神様と交信なさる! 邪魔をせぬように家の中へ入るのだ」
村長がそう言うと、獣人達は何故かウキウキしながら家へと入っていく。
(とりあえず静かにはなったけど……)
何だか誤解が更に広がったような気がするのは気のせいだろうか。
「レオ様、土地神様、申し訳ありません。こうでも言わないと、皆言うことを聞きませんので。ささ、こちらへ」
そう言うと村長は部屋へと案内してくれた。
(字面だけを追えば、村長だけは分かってくれたように思えるけど……)
打って変わったような恭しい態度やさり気なく俺に”様“をつけてる辺り、あまり期待できないな……
*
「ふぅ……とりあえず助かったよ、レオ」
こんなに疲れた様子のハーディアは珍しいな。
「しかし、何でこんなことに?」
「何でも獣人達の言い伝えに出てくる神様とハーディアが似てるらしいんです」
言い伝えに出てくる神様……例の土地神ってやつか?
「ハーディアは精霊だから違うって言っても中々聞いてくれなくて」
「大体精霊が何かも知らない感じだったね。まあ、ギルドがないんだから仕方ないかも知れないけど」
スキルの提供等を通して精霊と人間を繋ぐ組織が冒険者ギルドだ。冒険者ギルドがなければ、精霊の存在を感じることもなければ、知ることさえないかも知れないな。
「そんな感じでバタバタしてたからこっちは進んでないよ。ゴメン」
そう言うハーディアにあんまり悪びれた様子がないのはまあ、仕方ないか。
「レオさんの方はどうだったんですか?」
「実は……」
俺が魔物やドライアドとの戦いについて話し出すと、アイラとハーディアは顔色を変えた。
「まさか眷属だけじゃなくて精霊まで影響を受けるなんて……」
特にハーディアの驚きはかなりのものだ。まあ、無理はないよな。
「ゴメン。話の途中かも知れないけど、続きはレオとアイラで話してくれるかな。ボクはドライアドとあの子の治療に専念するよ」
あの子って言うのは多分、前に戦ったエントの眷属だな。
「分かった。アイラもそれで良いか?」
「勿論です」
ハーディアの提案にアイラも快諾だ。アイラにとっても精霊やその眷属の暴走は他人事には出来ないもんな……
「ありがと。じゃあ頼むよ、シオン」
“!”
ハーディアの言葉でシオンが俺の中でうごめく。そういや、拘束したドライアドはシオンが運んでくれてるんだよな。どうなっているのかは分からないけど。
「……ありがとう。確かにドライアドの身柄は預かった。じゃ、また後で!」
そう言うとハーディアは姿を消した。上手くいくと良いんだが……
読んで頂きありがとうございました!
次話は来週の昼12時に投稿します。
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