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赤字と黒字の狭間

 いよいよ二章開始ッ! 

 お越し下さりありがとうございます!

「お疲れ様です、ギルド長」


 ホムラに帰るなりメアリーさんが挨拶と共に出迎えてくれる。だが……


「クエストを受けている時はレオで良いですよ」


 クエスト中は俺も一人の冒険者だしな。


「そう言う訳には行きません! 何せレオさんあってのホムラなんですから。それよりお疲れのところ申し訳ないのですが……」


「勿論報告するよ。アイラも頼めるか?」


「勿論!」


 実はアイラはホムラの監査官という立場なので、一緒にクエストに行くのはパーティメンバーというより監査の一環だ。形式上は……というところだが。


(まあ、そうでもなかったら一緒にクエストを受けたり出来ないよな……)


 何せアイラは精霊守と言って、冒険者ギルドと精霊を繋ぐ立場。本来なら一つのギルドに深入りすることは出来ないはずだ。


(そう言う意味ではホムラの信頼のなさには感謝……かな?)


 罰当たりな考えかも知れない。けど、そうでも考えないとやっていけない現状があって……


「はい、これでデザートドレイク討伐のクエスト報告は完了です。後は私がやっておきますね」


「他のギルドの未完了クエストを引き受けるって言うのは凄いアイデアですね、レオさん!」


 他ギルドからホムラに入ってくるお金を確認しながらアイラがそう微笑む。その笑顔に思わず頷いてしまうが……


(ただ片道五日かけて……ってのを考えるとな)


 現在、ホムラは人手もクエストの依頼も少ない。それを打開するために他ギルドで塩漬けになっているクエストを引き受けることで収入確保と周囲の評価アップを目指している。が……


(塩漬けになっているクエストはそうなっている理由があるんだよな……)


 討伐するモンスターの強さや採集する素材の厄介さだけでなく、やたらと遠かったり、毒の沼地や危険な植物の群生地を通らなければいけなかったり……要は達成が困難な割に実入りが少ないクエストなのだ。


(それでもないよりマシだけどな)


 実入りが少ないと言っても、毎月赤字と黒字を行ったり来たりしているホムラにとっては貴重な収入源。他ギルドにも恩も売れてるだろ、きっと。


「はい! 今月はギリギリ黒字です。デザートドレイクの素材が多めに採れたおかげです」


 クエスト完了の報告をした後に今月の収支を計算していたメアリーさんが安堵した声を出す。ふぅ~、何とか赤字は三ヶ月でストップか。


(つまり、新しい追加効果が出なかったら赤字だった訳だな……)


 今日出た日替わり効果はこれだ。


◆◆◆


入手素材数UP(大)

 採取や魔物からの剥ぎ取りで得られる素材の量が増える。


◆◆◆


 体感だが、入手出来る素材が五割増くらいになる追加効果だ。スキル効果UP(大)とこれは最近外せない追加効果になっている。まあ、いつも出る訳じゃないけど。


(まあ、ボチボチやっていくしかないか)


 次は溜まっていた書類を片付けるとするかな……


(???視点)


「ホムラはなかなか粘っているようね」

「はい。ですが、時間の問題でしょう」


 頭をたれた先にはダグラス家の当主がいる。が、布で囲われていてその姿は見えない。


(まあ、相手が誰でもどうでもいいが)


 俺が受けた指令は二つ。一つは今ある冒険者ギルドを潰していくこと。しかも、自滅したように見せなければいけないのが面倒くさい。


(ホムラがその第一号になってくれるはずだったんだがな……)


 穴だらけのギルドだったから、簡単かと思ったが中々どうして……


(亜種騒動にスタンピード……潰れても仕方がないくらいの騒動を起こしてやったんだけどな)


 だが、多額の賠償金に加え、所属する冒険者のほとんどを奪ってやったからな。流石にそろそろ潰れるだろう。


「もう一つの件はどうなってます?」

「そちらはまだ準備中です。」


 俺は声を詰まらせた。俺が受けているもう一つの指令。それは精霊守の抹殺だ。


(自分達が駄目だと見切りをつけた娘が精霊守になったのがそれほど気に入らないか)


 ダグラス家は弱さや失敗を嫌う。それは誰でもそうかも知れないが、ダグラス家のそれは特別だ。


(あのアイラとかいう精霊守が活躍すればするほど、あの娘に見切りをつけたダグラス家の判断が間違いだったことが証明されてしまう、か)


 それを防ぐために暗殺……やることが極端すぎるだろ。


「あの娘は出来損ない。早急に始末して相応しい者に精霊守をさせねばなりません。分かってますね、エリオット」


 姿が見えぬ相手に俺は黙って頭を下げる。仕方ない。今はまだこいつらの言う事を聞いているしかないからな。


(実験がてらアイツを使ってみるか……)


 恭しく頭を下げながら密かに俺は考えた。もう少しした仕上がるあの男の性能を見るには丁度良いかも知れないな……

 読んで頂きありがとうございました!

 次話は来週月曜の昼12時に投稿します。


◆お願い◆

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― 新着の感想 ―
[良い点] ホムラが信用なさ過ぎて、アイラが監査官ができるとは皮肉なもの。 でも物語上の説得力として納得しました。 キャラの役割が丁寧に描かれていてすごいと思います。 ギルド長と監査官というペアも斬新…
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