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選択

 レオがアメリアさんに尋ねたかったこととは……そして、彼の選択は!?

(自由にしていい……か)


 俺がアメリアさんに聞きたかったのは、ロザラムの冒険者ギルドを再建するのか、それとも新しい冒険者ギルドを立ち上げるのかを俺が決めても良いのかだ。


(普通なら有り得ないけど……)


 有り得ないが、祭器が俺に聞いているのだ。それでも信じられないからアメリアさんに聞きに行ったんだ。


(ていうか、どちらにしろ俺はギルド長か……本当に俺で良いのか?)


 駄目だ、駄目だ! それはもう考えないと決めたじゃないか!


(俺がギルド長で良いのかとか俺なんかが決めていいかどうかで悩むのはもう止めよう)


 これはアメリアさんにもかなり念を押されたことだ。俺がどうしようとも決めない場合よりはマシらしいからな。


(まあ、心機一転という方が色々都合が良いんだろうけど)


 今回の事件で今までホムラが行ってきた様々な問題が明らかになってきている。それだけでも大問題だが、加えて街への被害についても責任を追求される可能性があるらしい。


(やったことがないことをマイナスから始めるってのは避けたいよな)


 若者ならこれを”やってやるぜ!“と勇ましく突っ込んで行くのかもしれないが、こちとら人生も守りに入ったおじさん世代。必要なのは見通しや安全なのだ。


「レオさん、お疲れ様でした」


”ねぇ、アメリアと何を話したの? ねぇ!“


 アメリアさんが事務所として使っているテントから出た俺をアイラとハーティアが出迎えてくれる。俺が本調子じゃないから席を外していてくれたのだ。


(そう言えば、この二人との出会いから始まったんだよな)


〈雑用〉の真価に気づいたのも、その後の冒険で成長出来たのも全部二人と出会えたからだ。


(ホムラでの非正規ギルド職員生活はしんどかったけど……あれがあったから今の俺があるんだしな)


 そう考えるとホムラには良い思い出もいっぱいあるな……


(無くなるのは……少し寂しいかな)


 ザガリーギルド長とか嫌な人も多かったが、ホムラには影で俺をかってくれていた人もいるのだ。


「どうかしましたか? ……あ、もしかして気分が優れないとか!?」


「や、違う違う!」


 自分のベッドへ戻る道中も口数が少なかったせいだろうか。アイラに要らぬ心配をさせてしまった。


(アイラにも意見を聞いてみよう)


 アイラだけでなく、みんなの意見を聞いてみよう。今の俺があるのはみんなのおかげなんだから。



 それからしばらくして復興も軌道に乗ったころ、遂に冒険者ギルド、ホムラが再開した。


「あ、そんなことをギルド長がしなくても!」


 メアリーさんが掃除をしている俺を見て慌てて止めようとする。けど、俺はスキルのお陰でめちゃくちゃ早くやることが出来るからな。


(それに……)


 これで所属する冒険者にスキルを付与できる。と言っても今所属している冒険者はほんの数人だが……


「もう……レオさん、あんまりメアリーさんの仕事を取っちゃ駄目ですよ」


 事情を知ってるはずのアイラが少し呆れてそう言うのは、俺がギルドの雑用を朝一でやってしまうからだ。


「いや、人も少ないし俺が──」

「後はやっておきますから」


 メアリーさんはそう言うなり鮮やかな手つきでほうきを俺から取り上げた。


「じゃ、朝のミーティングにしましょう」


「だな。お手柔らかにお願いしますよ、監査官アイラ殿」


「ちょ……止めてくだいよ、レオさん!」


 アイラはルースリーの里の監査官としてしばらくホムラにいるみたいだ。けど、監査官なんてのは名前だけで、一緒にクエストに出たり、中の仕事をしてくれたりと欠かせないパートナーになっている。


「レオさん、準備は出来てますよ!」


 会議室のドアが開いてルイーザが顔を出す。多分中にはエレインもいるはずだ。


(借金返済のために今日も頑張らないとな!)


 ロザラムへの賠償金に今までの違反行為に対する罰金、それに……考えられば頭が痛くなるが、多分何とかなるだろう。何故なら俺には頼れる仲間がいるんだから。


“!!!”

(勿論頼りにしてるよ、シオン)


 心の中でシオンに声をかけながら俺は会議室へ向かう。今日も一日頑張るぞ!


(ザガリーギルド長視点)


(ここは何処だ?)


 気がつくと俺は見覚えのない部屋にいた。


(窓がない……地下室か?)


 だが、暗くて周りの様子は分からない。


(確か祭器を手に取ったら暴走して……)


 気がついたら受肉した精霊が誰かに倒され、大騒ぎになっていた。俺はその騒ぎに乗じて脱出したのだが……


「目が覚めた?」


 声……


 ガチャリ


 起き上がろうとして俺は体に鎖が巻かれていることに気づく。何だ、これは。


「あ、ちょっとこれから実験をね。暴れると困るから」


 は? 実験?


「魔物を亜種に変える石。人につけたらどうなると思う?」


 魔物を亜種に変える? 何を言ってるんだ、こいつ……


「離せ! 訳わかんねぇ事ばかり言いやがって!」


「え? でも君今、指名手配されてる犯罪者だよ? ここから出ても死刑じゃない?」


 何ぃ? そんな馬鹿な!


「なら、一発逆転にかけてみなよ。上手く行けば力が手に入る。そうしたら何もかも望みのままだ」


 ……力だと


(思い通りになる……?)


 黒い石のようなものが次第に額に近づいてくる。もし、こいつの言うことがほんとうなら俺は……


 応援ありがとうございました!

 物語はここで一旦一区切り……ということでSSを挟んでから二章開始とさせて頂こうと思います。


……が、実はストックがない(笑)


 ということで次話からは毎週月曜昼十二時更新とさせて頂こうと思います。つまり、次話は2/5(月)12時公開です! レオとアイラはこれからも仲間達と共にどんどん活躍&成り上がっていくので、これからも応援よろしくお願いします

(๑•̀ㅂ•́)و✧

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旧作も読んでくださると嬉しいです!

 『追放したら評判が下がるからという理由で迷宮の最下層へと突き飛ばされるが、そこでたまたま見つけたアイテムでクラスチェンジ!一気にパワーアップして全てを掴む。あ、非道な元仲間は全てを失い没落したそうです。』

ノンストレスな王道追放モノ! バトルとヒロインの可愛さに自信アリなので是非ご一読下さいませ!




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― 新着の感想 ―
[良い点] 非正規ギルド職員からギルド長への華麗なる転身が決まり、レオの運命は大きく変わりましたね。 ホムラを再建することを選ぶとは茨の道ですが、それを選ぶオッサン主人公の誠実さと忍耐強さを感じました…
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