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弱点

 祭器の力に驚きながら戦うレオ。果たして活路はあるのか……!?

“凄いですね、レオさん!”


 アイラの声が脳裏に響く。ハーディアがしてくれてるのかな?


(ああ。これなら期待出来るかもな。アイラはまだ慣れていないだろうから無理はしないでくれ。意識を削いでくれるだけでもかなり違うからな)


“分かりました!”


 念話の要領で応えるとアイラから返事が。おお、これはやりやすい!


(とりあえず〈鑑定〉で調べてみるか)


〈鑑定〉はあまりにLvが離れていると効果が薄い俺の〈鑑定〉はLv3。何か役に立つことが分かるかも……


◆◆◆


フェイクゴブリンキング

 祭器の暴走によるマナの乱れから生じた魔物。角が弱点だが、体内マナのさらなる暴発を招く可能性もある。


◆◆◆


 フェイクゴブリンキング……それがこいつの名前か……


(角……狙ってみるか) 


 何か危険な気もするが、正直他に打てる手もないからな。


(アイラ!)


 俺は〈鑑定(Lv3)〉で得た情報と自分の方針をアイラに伝えるとフェイクゴブリンキングに向かって駆け出した!


“……っ! 気をつけてください!”


 アイラの心配そうな表情が脳裏に浮かぶ。まあ、それだけでもバフがかかったような高揚感がある。


(……今なら角を狙えるな)


 俺は祭器を背中に背負うと──ミスリルの剣を抜こうと思ったら自然と先端の縄が伸び、タスキのようになったのだ──両手でミスリルの剣を握り……


 ブン!


 渾身の力を込めて振るったミスリルの剣はいい風切り音を鳴らして角に向かうが……


 ガキィィン!


 が、ガハッ! 手が……


(な、何て硬さだ!)


 渾身の力を込めた分、反動が半端ない。俺は思わずミスリルの剣を取り落としてしまった。


「ギッ!」


 しかも、今の一撃でフェイクゴブリンキングに気づかれてしまった! 


(とにかくこの場を離れないと!)

 

 その瞬間、再び祭器の先が伸びて隣の家の煙突にしっかりと巻き付く。これってもしかして……


(縮んでくれ!)


 俺が念じると同時に祭器が縮み、俺の体は隣の家の屋根へ移動する。それに一呼吸遅れてヤツの腕が一瞬前までオレのいた場所へと振るわれる! 


 ドォォン!


 重いものが振り下ろされた時の腹に響く音……食らったら間違いなくアウトだな。


“レオさん!”


(大丈夫だ。回避した)


 とにかく奴に隙を作らないと角を狙うどころじゃないぞ。


(見つかったか……)


 砂埃で見失ってくれると嬉しかったのだが、そこまでうまくは行かず、ヤツの目はもうオレに向けられている。


“……私が精霊魔法を使って注意を引き付けましょうか”

 

 アイラはそう言ってくれるが、まだ自信がないのだろう。声にはためらいが感じられる。


(いや、まだ早いな。奴を焦らせてからの方がいい。準備だけしておいてくれると助かる)


“分かりました”


 とりあえず〈糸弾〉……いや〈網弾〉を使って見よう。うまく行けば動きを制限出来るかも知れないし、そこまで出来なくてもアイラの精霊魔法の威力を上げる助けにはなる。


(よく燃えるからな、〈糸弾〉は)


〈糸弾〉は乾燥しているかどうかで性質が変わるのだ。乾燥していると硬く燃えやすいし、濡れていると……


(……来る!)


 フェイクゴブリンキングが空から打ちつけるように腕を振るう。力任せな攻撃だが、これだけ大きさがあると一番厄介──


 ビービー!


 危機感知!?


 オレは少し動きがゆっくりになった世界を素早く見回しながら後退して距離を取る。ふぅ……危ない。


(ヤツの攻撃で壊れた物の一部が飛んで来たのか……!)


 飛んできていたのは道路に引かれていた石畳の一部。意図した攻撃ではないだろうが……


(それだけパワーが桁外れってことだな)


 やはり正面からは戦うのは危険だな。


(シオン、行けるか?)


“!”


 よし、じゃあ放ちたい糸の状態をイメージして……


「〈網弾〉!」


 ベチャ!


 シオンの気合に満ちた返事に勇気を貰い、放った〈網弾〉は狙い通り足先に命中! 


 ベチャ! ベチャ! ベチャ!


 あ、あれ……出る〈網弾〉の数がいつもよりも多いぞ。


「ギ!?」


 あっという間に膝下まで白くなり、フェイクゴブリンキングが驚いた声を上げる。いや、俺も驚いたけど。


(いや、今のうちだ!)


 オレは祭器を伸ばして屋根の上へ移動し、今度は肩を狙って〈網弾〉を放つ!


 ベチャ! ベチャ! ベチャ! ベチャ!


 今、〈網弾〉を放って分かったのだが、いつもより数が多いのは祭器の力だな。無意識に祭器の先端から弾が出るようにイメージしてたんだが、先端の一部が〈網弾〉になって飛んでいってくれてるみたいだ。


「ギギギッ!?」


 気持ち悪そうに真っ白になった足を上げたり、〈網弾〉だらけになった肩を触るフェイクゴブリンキング。オレの放った〈網弾〉はヤツの動きを鈍らせる程度の効果はありそうだ。



 読んで頂きありがとうございました!

 次話は明日の昼12時に投稿します。


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 『追放したら評判が下がるからという理由で迷宮の最下層へと突き飛ばされるが、そこでたまたま見つけたアイテムでクラスチェンジ!一気にパワーアップして全てを掴む。あ、非道な元仲間は全てを失い没落したそうです。』

ノンストレスな王道追放モノ! バトルとヒロインの可愛さに自信アリなので是非ご一読下さいませ!




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― 新着の感想 ―
[良い点] レオの力ですら斬れませんか。 今までの敵とは一線を隔しておりますね。 祭器の力で糸魔法も強化され、どのように対抗していくのか楽しみにしております。
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