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計画

 レオ達は遂にザカリーギルド長からスタンピードが起こった顛末を聞きます……

「「「「………」」」」


 一段落した後、ザガリーギルド長から事の顛末を聞いた俺達は思わず考え込んだ。


(祭器につけた黒い石のようなもの……恐らくアウルベアについていたものと一緒だろうな)


 つまり、このスタンピードは祭器の暴走が引き起こしてるってことになるな。あ、ちなみに話を聞いてるのは俺とアイラ、エレイン、ルイーザにハーディアだ。


「つける薬がないほどの愚かさですが…今はそれを口にしても始まりませんね」


 怒りを通り越した冷静になったエレインがそう言うとその場にいた皆が頷く。確かに今は誰かを責めている場合じゃない。


「黒い石を渡した奴の正体が気になるけど……まあ、今大事なのは祭器からその石を取り外せば、スタンピードは終わるってことだね」


 ハーディアの言う通り、普通のスタンピードは原因は主に魔物の異常発生。その原因を突き止めたとしても、増えた魔物自体を何とかしない限り収まらない。故に解決まで時間がかかるのが常なのだ。


「つまり、急げば今以上に被害を広げずに済むって言うことですね」


 アイラはいつになく真剣な顔をする。そりゃ、精霊守という立場を考えれば当たり前かも知れないけど……


「その通りだけど、アイラが一人でやる必要はない。俺達、いや、他にも大勢の人の力を借りてやることだ」


 俺がそう言うとアイラは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに笑顔を浮かべた。


「……ありがとうございます、レオさん。頼りにしてます」


「ああ、任せとけ。俺も新しいスキルや武器を試す場が欲しいんだから、働かせてくれ」


 ガラにもないハッタリを言ってしまったのは、なんのことはない。アイラの笑顔が可愛かったからだ。


「レオだけじゃない! 僕だって、ルースリーの里の皆も鬱憤を晴らしたいんだ。アイラが一人でやっちゃったら、今度は里の皆がスタンピードを起こすよ!」


 ハーディアが俺の言葉に食い気味に言葉を重ねてくる。げ……可愛いとか思ったのがバレた!?


“ありがとう、レオ”


 あれ、これは念話? しかも、お礼ってことは怒られてない? 何で? 


「ギルド内にある祭器の位置とかはザガリーギルド長に教えてもらうとして……後はそこまでの安全なルートを確保しないといけませんね」


 とエレインが言うと


「避難したロザラムの人達の様子が知りたいので避難所に行きたいです。祭器の奪還とはあまり関係ないですが……」


 とルイーザも口を開く。やることがハッキリしたことでこれから何をしたらいいか分かりやすくなったみたいだ。


「後はルースリーの里に現常を知らせなきゃな。これはアイラに頼んで……」


 そんな具合に次の日にすべきことはトントン拍子に決まっていった。



(ザガリーギルド長視点)


(くそが……完全に蚊帳の外かよ)


 あのエレインとかいう女にゴミを見るような視線を向けられた後、俺を無視して話は進んでいった。


(大体何で役立たずのレオがあんなに偉そうにしてるんだよ!)


 俺自身の扱いにも納得はいかないが、それ以上に理解できないのが、レオが皆の中心になっていることだ。


(どうやったのかは知らんが、上手く精霊守に取り入りやがって……)


 だがま、メッキはすぐに剥がれる。面白くはないが、次の策を考えないとな。


(今まではどうしようもなかったが……精霊守が来たことでチャンスが生まれるかもしれんな)


 要は祭器を取り戻せばいいのだ。どさくさに紛れて横から掻っ攫えば──


「……ギルド長、あの」


 話し合いから追い出された俺に声をかけてきたのは……トーマスか?


「すみません、交代の時間です」

「今行く」


 俺達の仕事は交代での見張り。クソっ! 何でこんな下っ端の仕事をしなきゃいけないんだよ……


(待て待て……次の一手を考えるためには悪くないぞ)


 それに連中の目から離れられれば、裏をかくチャンスも見つかるかも……くくく、もしかして運が向いてきたのか?


「あの……ギルド長?」


 心配そうな顔をしたトーマスが声をかけてくる。やべ……顔に出てたかな。


「何でもない。今代わる」


 そう言うと有無を言わさず外へ出ると、今度こそポーカーフェイスで見張りに立った。


(ギルドには俺しか知らない隠し通路がある。それを使えば奴らに魔物の相手を任せて祭器を取り返すことは十分可能だ)


 まずは慎重に計画を練らなきゃな……

 読んで頂きありがとうございました!

 次話は明日の昼12時に投稿します。


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― 新着の感想 ―
[良い点] レオは順調にアイラたちとの絆を深めておりますね。 一方でギルド長の小物っぷりは、見ていて清々しい程です。 彼が手柄を横取りできるのか、楽しみで仕方ありません。
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