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準備

 休むためにクルモ村に着いたはいいのですが……

「良ければ俺が手伝おうか」


 俺がそう言ったのは、比較的早くつけたために時間が余ってたことに加え、恐らく〈雑用〉の効果で手早く作業出来ること、さらに……


(ブルーボアがいるなら確かに柵が欲しいな)


 ブルーボアは突進力こそ脅威だが、ジャンプ力はあまりないから冊があると侵入を防ぎやすい。まあ、冊が破壊されなければだけど……


(これもスタンピードの影響? いや、そうでなくても護衛としては見過ごせないな)


 ブルーボアは夜行性。近くにブルーボアがいるなら冊があった方が安心だな。


「助かるだ!」


「これなら間に合うかもしれないだ、急ぐだ!」


 村人達が歓声を上げる。それほど切羽詰まっていたんだろう。


(ブルーボアは作物も荒らすからな……)


 イノシシに似た外見のこの魔物は人を襲うのは勿論だが、食欲が旺盛で畑を荒らすことでも有名だ。


「お、おい、お前達! お客人に失礼だろうが!」


「大丈夫ですよ。俺はアイラ……様の護衛ですから」


 危ない危ない。いつもみたいな呼び捨てはマズイな。


「……そうですか。ありがとうございます」


 自分の仕事であることを言外に伝えると村長もそれ以上は止めなかったのだが……


「じゃあ私──」


“駄目だよ、アイラ!”


 何か言いかけたアイラをすかさずハーディアが止める。


”魔物だけじゃなく、ダグラム家の刺客が来る可能性もある! 建物の中にいた方が安全だ“


 確かに……


「すぐ戻ってくるから先に休んでてくれ。大丈夫、俺にはスキルがあるからな」


 本当、〈雑用〉は便利だな……



「本当、助かっただ!」


「何とか日が暮れるまでに柵を作らにゃいかんのにちっともはかどらん!」


 既に日が傾きかけているが、柵はまだほとんど直っていない。楽に入れるような穴があちこちにあるな……


(分業した方が早いな)


 木を切り出す人、切り出した木をロープでくくって柵を作る人……みたいな感じに。


「じゃあ、俺が二〜三人と組んで木を切っていきますから、残りの人で柵を作ってください」


「え? 木を切る人数の方が少ないけど大丈夫だか?」


 その場にいたのは計九人。俺を含めた四人が木を切る組になると、確かに柵を作る組が一人多くなるな。


「多分大丈夫だ。とにかく早くやろう!」


「分かっただ!」


「よし、みんな指示通りにやるだ!」


 そうして取り掛かったのだが……


 スパスパスパパパ………


「も、もうこんなに木が切れただか!?」

「追いつけないだ!」


 〈雑用〉と高パラメーターが生み出す作業速度は俺が思った以上に早く、あっという間に適当な大きさの木材が大量に出来てしまった。


「じゃ、俺も柵を作る側に回るよ。材料がなくなったら、また切る側に回る」


「お願いしますだ!」


 ということで柵を作り始めたのだが……


「えっ……早っ!」

「あっという間に出来ていくだ……」


 俺としては普通にやったつもりなのだが、村人達はあんぐりと口を開け、ただただ呆れるばかり。


(まさかこんなに差が出るとはな)


〈雑用〉のLvを上げてから誰かと雑用をやったことがなかったから気がつかなかったな。


「じゃ、設置していこう」

「わ、分かっただ」「は、はいだ」


 勿論柵の設置にも〈雑用〉が発動。ものの五分と経たない内に村をグルリと囲む柵が完成したのだった。



「……待っててくれたのか!」


 柵を完成させた後、アイラ達のもとに戻ると、そこには手つかずの食事が! 何と、みんな俺が帰るのを待っていてくれたのだ。


「当たり前ですよ! レオさんだけ働いているのに……」


 いやいや、気を使いすぎだろ!


“僕は食べていたら?って言ったんだけど……”


 ハーディアがため息をつきながら三人──特にアイラに視線を送る。まあ、今回ばかりはハーディアの方が正しいか。


(ま、気持ちはありがたく受け取っておくか)


 俺は皆に礼を言うと、席についた。


(山芋に山菜、キノコ類……美味そうだな)


 全体的に素朴な感じは否めないが、品数が多い上に香りもいい。


「魔物の動きが活発なせいで山に入れないから肉が出せなくて申し訳ないと言われましたけど、十分ですよね」


 そう言いながらアイラは里芋に舌鼓を打つ。アイラはお嬢様っぽい雰囲気だけど、こういう庶民的な料理も好きなんだな。


「アイラ様、これは木の根でしょうか?」


 エレインが不思議そうにスプーンで掬ったのはごぼうだ。


「それはごぼうっていってとっても美味しいの。食べてみて!」


「健康にもいいんですよ!」


 アイラとルイーザにそう勧められて、エレインは恐る恐るごぼうを口に運ぶ。すると……


「……美味しい! 初めて食べました!」


「エレインさんはごぼうを食べたことがないんですか?」


「ルースリーの里では根菜よりも葉物を食べるからエレインが見たことないのも無理はないね」


 首を傾げるルイーザにアイラがそう説明する。あれ……ってことはアイラはルースリーの里で育ったわけじゃないのか???

 読んで頂きありがとうございました!

 次話は明日の昼12時に投稿します。


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旧作も読んでくださると嬉しいです!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 雑用スキルは拠点設営にも効果がありますか。 これは万能スキル。スキル名称が違えば、ストーリーが変わっていたことでしょう。 なろうでごぼうUMEEEは初めて見たかもしれません。 そしてレオ…
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