凄い精霊
ルイーザを加えたレオ一行はロザラムを目指します。
(レオ視点)
「……少し早いけど昼飯にするか」
ルイーザの話も終わり、何となく皆で移動する雰囲気になったところでこう切り出したのは勿論〈雑用〉の力を使うためだ。
(俺が料理をすれば、ルイーザに追加効果を付与出来る……)
色々試したおかげで、どんなことをしたら追加効果を付与できるかどうかがある程度掴めてきている。
「そうですね。食べられるときに食べないと!」
そう言ってアイラが賛成してくれるのは俺の意図を理解してくれてるからだろう。
「あ、じゃあ、私がやります」
「いや、ルイーザは休んでくれ。俺がやる」
ルイーザがそう言って動こうとするのを慌てて制止する。俺の〈雑用〉は誰かに手伝ってもらうと発動しないのだ。
「でも、助けていただいた上にそこまで甘える訳には……」
まあ、ルイーザならそう思うよな。
(あ、〈雑用〉の説明をしてしまえばいいか)
実は、この間は“アウルベア亜種を倒したことで特殊条件を満たしたからレベルが急に上がったんだ”みたいな説明しか出来てないしな。
“ここはレオに任せるんだ”
言うが早いかハーディアが具現化する。と、ルイーザは目を丸くした。
「精霊様!」
「うんうん、こういうの久しぶりの反応だね」
「えっ……でも具現化してる」
「そうなんだ。僕は特別だからね」
「す、凄い!」
どうもルイーザがハーディアを見た時は戦闘中──しかも亜種との──ということもあってあまり深く考えなかったっぽいな。
(しかも、その後も説明する機会がなかったしな)
まあ、昼を食べながら説明するか……
*
作ったのは大したものじゃない。アイラに出してもらった水を沸かしたものに干し肉をいれ、塩等を少し入れてスープにしたものと硬いパンだ。
(まあ、温かいものがあるだけマシ……だよな?)
俺のそんな思いとは裏腹に皆は黙々と食べてくれている。まあ皆冒険者だし、平気か。
「食べながらでいいから聞いてくれ」
食べながら俺は〈雑用〉のことを話し、アイラとハーディアは自分達のことをルイーザに説明した。
「スキルを他の人に与える……そんなことが……」
「僕らが証人だよ、ルイーザ」
ハーディアがそう言うと、ルイーザは慌てて手を振った。
「あ、すみません。疑ってるわけではないのですが……」
まあ、無理もない。俺も思っても見なかったしな。
(ステータスに表示される追加効果を見せた方が早いか……)
とにかくこれから危険なところへ行くんだから味方は強化しておきたい。そのためには俺のスキルを信じてもらわないとな。
「それにアイラ様も凄い精霊の加護を受けておられるんですね」
「えっへん」
ハーディアが胸を張る。見た目が子犬だけに客観的には可愛らしさが目立つだけだが…
「というか、こんなふうに話しても良いんでしょうか……失礼になったりとか」
「大丈夫だよ! 半端に凄い精霊は人間と話したがらなかったりするけど、僕は超凄いから大丈夫!」
……大丈夫なのか、それ?
ルイーザもやや困惑した顔をしているが、まあ俺達はフツーに話してるしな。まあ、大丈夫なんだろう。
「大丈夫ですよ。ハーディアはこう見えて優しいですから」
そんなことをアイラが口にしたのはルイーザの困惑を和らげるためだろう。
「まあ、取りあえずハーディアについては今まで通りで大丈夫だ。で、俺のスキル、〈雑用〉についてなんだが……」
「要はレオ様にお世話してもらえば“追加効果”というスキルみたいな力が一日限定で身につく……ということでしょうか」
おおっ、理解が早いな。
「身につくスキルは説明した通りだが、日替わりで出るスキルもあるからいつも好きなものを選べる訳でもないんだけど」
でも実はこの日替わりで選べる効果は人によっても違う気がするんだよな。例えば、アイラに出やすい魔法バースト化は俺には出たことがなかったりするのだ。
(人によって違うのかもしれないし、持ってるスキルによっても違うのかもしれない)
だって、少し前までの俺みたいに魔法を覚えていない人に魔法バースト化を引いても意味ないし……
(まあ、おいおい調べていけばいいか)
色んな冒険者とパーティを組むことは俺にとってメリットがあるかもしれないな。
(で、ルイーザの追加効果は……)
読んで頂きありがとうございました!
次話は明日の昼12時に投稿します。
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