表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

47/169

シャッター

 所変わってあの人視点。怪しい人物にそそのかされたザカリーギルド長は……

(ザガリーギルド長視点)


「ギィギィ!」

「ギギッ!」


 けたたましく騒ぎながら俺を追いかけてくる魔物の一団。


(くそっ! あいつ、騙しやがって!)


 迫りくる魔物から逃げながら俺はあらんばかりの呪詛を見知らぬ男に吐く。が、つまるところ……


(テンパっていたとはいえ、あんな男の言う事を信じた俺が馬鹿だったのか)


 男が差し出した怪しげな黒い石。それを言われた通りに祭器にはめた途端、魔物が祭器から現れたのだ!


(とにかく魔物が街へ出ていくのはヤバい。何とかしないと)


 ついさっきまでいた祭器が保管している部屋にいたる通路には隔壁が下ろせるような仕掛けがしてある。それを使えばもしかしたら……


(よ、よし、あれだ!)


 魔物達からはまだ少し距離がある。これなら奴らを閉じ込めることが出来──


「どうでした?」


 隔壁のスイッチを押そうとした瞬間、トーマスが俺に話しかけてきた。ここで俺の帰りを待っていたのか? 何て間が悪いんだ!


「話は後だ! 逃げるぞ!」

「逃げる?」


 理解の遅いトーマスだったが、俺は奴を急き立てて何とか隔壁の外へ誘導し……


 ポチ! ガシャン!


 ふぅぅ……これで一息っておい! 


(何で目の前にシャッターが降りてんだ! 俺達もとじこめられてるじゃねーか!)


 そういや、予算を削れと言われて隔壁の数を減らした時、設置場所を変えたんだった!


「なっ……これは!?」

「くそっ、今開けるぞ」


 ノロノロと開くシャッターが上に上がり切る前に向こう側へと滑り込む。


「ギャギャ!」

「ギャギャギャ!」


 一層近づいた魔物の声を聞いて焦るトーマスを急かしながら走る。体は動かすが、心の中では罵詈雑言が止まらない。


(馬鹿なのか、あの業者! スイッチ押したら閉じ込められる設計なんてありえないだろ!)


 だが、今はそんなこと考えてる場合じゃない。隔壁は二枚。次のやつは大丈夫だろ!


「トーマス、次の隔壁で奴らを閉じ込めるぞ!」


「わ、分かりました」


 トーマスと息も絶え絶えになりながら走るとようやく隔壁が見えてきた!


(シャッターの位置は……よし、大丈夫だな!)


 これでちゃんと魔物を閉じ込められる!


 ポチ! ガシャン!


 シャッターが降り──って、おい!


「ザガリーギルド長、隙間が!」


 なんと床から三十センチくらい隙間を残してシャッターが止まってしまったのだ!


(ヤバい、これなら入ってこれるんじゃ……)


 魔物の声はもうすぐ近くにまで迫っている!


「何か塞げるものを探してこい!」

「は、はい!」


 トーマスが走ろうとした瞬間、シャッターの下部からゴブリンの頭が……


「くらえ!」

「ギャッ!」


 反射的に腰に指した剣を抜いて斬りつけるが、当たらない。


(ゴブリンごときにさえ攻撃をかわされるとは……)


 くそ……腕がなまってるな


(だが、ろくに身動きの取れない今なら……)


 こっち側へと入って来ようと藻掻くゴブリンに次々と剣を突きだす。矢継ぎ早に斬撃を放ったおかげで何とか二〜三発は当たった。


(今だ!)


 俺は動きの鈍ったゴブリンにスキルを放って何とか沈黙させることに成功した。


(ふうう……やったか)


 こいつの死体で──まだ死んじゃいないが──隙間が塞がったのはラッキーだな。


「ザガリーギルド長、こっちにも!」


 見ると、新たなゴブリンの頭が……


「このやろ!」

「ギャヒ!」

「またこっちに!」

「くらえ!」

「フガッ!」

「さっきの奴が!?」

「くそったれ!」


 おいおい、もぐら叩きをしてるんじゃないぞ!


「ハァハァハァ……落ち着いたか」

「流石ギルド長です!」


 いや、そう言うのは良いから動いてくれよ!


「……それより何か見つかったか」

「こんなものなら……」


 トーマスが探してきたのは、無いよりましなものばかり。


(くそっ、使えねぇな!)


 だがまあ、いないよりはマシだ。俺は内心の苛立ちを抑えながらトーマスと共に即席のバリケードを作った。


「取りあえずこんなものか」


「流石ザガリーギルド長! これで大丈夫ですね!」


 そんなはずあるか! 


(ったく、おべっかばかりだな……)


 だが、時間は稼げるはずだ。ゴブリンの群れ程度、オスカーが戻ればすぐに……


 ドカン!


 な、何だ!?


(これは……手か?)


 シャッターがまるで粘土で手形をとったかのように変形している……う、嘘だろ!


(馬鹿な! このシャッターはミスリル製だぞ!?)


 (金をケチったせいで)厚さはそこそこしかないが、材質は間違いなくミスリル。それをこんなふうにするなんて……


(いや、それよりとにかく何とかしないと!)


 トーマスに何か指示を出そうとした瞬間、シャッターに穴が空く。そして……

 読んで頂きありがとうございました!

 次話は明日の昼12時に投稿します。


◆お願い◆

 「面白い」「悪くないな」「まあ次話を読んでみるか」等などと思われた方、ブクマやポイントをポチッとして頂けれると筆者のモチベが爆上がりします。是非ご一考下さいませm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。




旧作も読んでくださると嬉しいです!

 『追放したら評判が下がるからという理由で迷宮の最下層へと突き飛ばされるが、そこでたまたま見つけたアイテムでクラスチェンジ!一気にパワーアップして全てを掴む。あ、非道な元仲間は全てを失い没落したそうです。』

ノンストレスな王道追放モノ! バトルとヒロインの可愛さに自信アリなので是非ご一読下さいませ!




一日一回投票いただけると励みになります!(クリックだけでOK)

小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
[良い点] 黒い石とは亜種になったアウルベアの中にあったものと、同じものでしょうか? 祭器にはめると魔物が溢れるとは、この世界には特殊な法則が存在するようですね。 そしてミスリルを壊すような魔物が。…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ