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急報

 アイラに同行し、スタンピードの起こったロザラムに向かうレオ。行き先で待つのは……

 ガタゴトガタゴト……


 予想に反して旅は順調に進んだ。まあ、嵐の前の静けさかも知れないけど……


(……とにかく警戒は必要だな)


 ちなみに今日の日替わりスキルはこれだ。


◆◆◆


警戒

 周りの気配に敏感になる。自分やパーティに対する危険度で感じ方が変わる。


◆◆◆


 前に出た忍び足とは違い、索敵能力が上がる効果だ。


(これがあるお陰で少しは安心出来るな)


 本当に〔雑用〕は便利だ。もっと早く真価に気づいていればとは思わないでもないが、それより今はどう生かすのかを考えるのが先だな。


(っ!)


 ふと頭に閃きに似た何かが走る! これは!?


(!!!)


 シオンも感じたらしく反応している。


(御者台から覗いてみるか)


 エレインがもう気づいているかも知れないが。


「レオ様、どうされました?」


 あれ。エレインの様子は普通だな。


(気のせいか?)


 そんなことを思いつつ、気配のした方を向くと……


(……何だか騒がしいな)


 よく気をつけてみると、誰かが戦ってるように見えるな。


「エレイン、あれどう思う?」

「! 魔物かも知れません。止めます!」


 非情なようだが、普通ならこのまま走り去るという選択肢もある。だが、先遣隊である俺達が欲しいのは情報。異変があったらなるべく調べて里に報告しなければならないのだ。


“僕がアイラを守るから、二人は気をつけて接近して”


 声と共にハーディアが姿を現す。俺がエレインと共に近付くと……


「ギギギ!」


 一匹のゴブリンが唸り声を上げている。ちなみに周りには奴の仲間らしきゴブリンが死体となって転がっている。


「くっ! アイテムがなくても!」

 

 奴と戦っているのは杖を振り回し、勇敢に戦う一人の女性冒険者……って、ルイーザじゃないか!


「えっ……レオさん」


 向こうも気づいたみたいだ。だが、今は先に魔物を倒さないと!

 


「また助けられてしまいましたね。ありがとうございます」


 取りあえず安全が確保出来そうな場所に移動し、少し落ち着いたところでようやくルイーザは口を開いた。


「何があったんですか?」


 街から離れたこんな場所に一人でいる時点で尋常じゃないが、ロザラムでスタンピードが起こっていることを考えると何かあったと考えるのが妥当だろうな。


「……魔物が……スタンピードで」

「なるほど……それから?」


 アイラは内心まだ落ち着かないだろうルイーザから少しずつ話を聞き出していく。それによると……


「突如ロザラムの街中から魔物が湧いてきた。だけど、その魔物はどこか普通じゃなかったと」


 まあ街中に現れる時点で普通じゃないが、そう言うことじゃないらしい。凶暴だったり、見境がないことに加え、姿形が違うものもいたとか。


「まさか亜種じゃないよな」


 そう言ったのは最近亜種を山のように見たからだが……


「分かりません。私、アウルベア以外の亜種には会ったことがなくて」


 そうか。まあ、亜種なんて本来ポンポン会うもんじゃないしな。


(姿がちょっと違うだけじゃ亜種とは言えないからな)


 魔物は人間や動物以上に個体差が大きい。種類によっては同じ魔物でも手足の数が違うことさえあるのだ。


「ルイーザ、魔物の体の何処かにこんな石はなかった?」


 そう言ってハーディアはルイーザの眼の前に黒い石を出した。


(あれはアウルベア亜種の体にあったやつだな)


 ちなみにハーディアの調べによると、あの時出会ったどの亜種にもこの石があったらしい。一体何なんだろうな、この石は。


「!!!……この石がついた魔物を見ました!」


 なっ! じゃあ、まさか……


「ロザラムは亜種で溢れかえってる可能性が高いね」

 

 ………


(そんな……じゃあ、ロザラムにいた人は皆魔物に……)


 いい思い出があったとは言えない街だけど、顔見知りや多少親しくしていた人はいるのだ。


「安心してください。避難した人もいます。だから、残った冒険者で周りの街に助けを呼びに行くことになったんです」


 なるほど……


「じゃあ、一緒に来た冒険者も近くに?」

「……ここまで来れたのは私だけです」


 ルイーザは目を伏せる。まさか死──


「一緒に来た人は逃げてしまいました」


 ……そ、そうか。

 

「攻撃用のアイテムも尽きてしまって、本当に危ないところでした。この前の分も合わせて是非お礼をさせて下さいね」


 そう言うと、ルイーザはにっこりと可愛い笑顔を浮かべた。


(ちょっと落ち着いたかな)


 まあ、空元気かもしれないが、ないよりはマシだ。


 スッ


 俺の視界に急にアイラの背中が入る。唐突にアイラがルイーザとの間に割って入ったのだ。


「ルイーザさんのお話は精霊を飛ばして里へ連絡します。私達は先を急ぎましょう。ルイーザさんは……」


「勿論私も行くわ。助けを連れ帰るって約束したもの。それに大分様子は変わってるから道案内は必要よ」

 

 ルイーザさんは見た目に反した力強い声で決意を述べる。確かに今の状況についての情報は欲しいし、力を借りたほうがいいか。


 読んで頂きありがとうございました!

 次話は明日の昼12時に投稿します。


◆お願い◆

 「面白い」「悪くないな」「まあ次話を読んでみるか」等などと思われた方、ブクマやポイントをポチッとして頂けれると筆者のモチベが爆上がりします。是非ご一考下さいませm(_ _)m

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旧作も読んでくださると嬉しいです!

 『追放したら評判が下がるからという理由で迷宮の最下層へと突き飛ばされるが、そこでたまたま見つけたアイテムでクラスチェンジ!一気にパワーアップして全てを掴む。あ、非道な元仲間は全てを失い没落したそうです。』

ノンストレスな王道追放モノ! バトルとヒロインの可愛さに自信アリなので是非ご一読下さいませ!




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― 新着の感想 ―
[良い点] 索敵能力が上がるのは、対多数戦闘でいいですね。 レオの万能ぶりがますます際立ちます。 これで回復能力まで得たら、隙が無くなりますね。 ルイーザを間一髪のところで救援できて何より。 この後…
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