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原因

 前半はザカリーギルド長視点です。彼は原因も分からずどんどんドツボにはまって行きます……

(ザガリーギルド長視点)


 どうしたら……


 最近そんなことばかりが頭をよぎる。だが、具体策は全く出てこないため、延々と同じことを考えるはめになる。


 どうしたら……どうしたら……


 まず問題なのはクエスト達成率が下がり続けていることだ。何故かBランクの冒険者がDランクの依頼を達成するのがやっとという状態になってしまっているのだ。


(おかげでホムラへの依頼は激減……最近ではロザラムの住民でさえホムラに依頼せず、別の街のギルドに依頼すると聞いた……)


 ホムラの方が近いにも関わらず、遠くて不便な別の街のギルドを選ぶ。それはつまり、それだけホムラへの信頼が下がってしまったということだ。


(しかも、依頼が減ればクエストも減り、所属する冒険者も減っていく……)


 冒険者はギルドからクエストを受注して金を稼ぐのだから、クエストが減れば冒険者も減るというのは当たり前。そして、冒険者が減れば達成出来るクエストが減り……という負の悪循環が今の現状だ。


(くそっ! だからこそ、奴には踏ん張って貰わんといかんのに)


 こう言うときこそ、ホムラのエース冒険者であるオスカーにバリバリクエストを達成して雰囲気を盛り上げて欲しいのだが……


(臆病風に吹かれやがって! Bランク冒険者の癖にCランクやDランクのクエストを受けるだとか抜かしやがって!)


 全くどいつもこいつも……


 ドンドン!


 誰か来たのか?


「あの……ギルド長」


 トーマスか。クエストから戻ったのか。


「入れ」


 俺がそう声をかけると、傷だらけのトーマス、ヘンリー、マックスの三人が入ってきた。


(確かDランクのクエストだったはずだが、ここまで消耗するのか……)


 怒鳴りつけたいとこれだが、奴らは一度引退した身でありながら、俺が無理を言ってクエストを受けさせているんだ。文句は言いにくい……


「黒狼の原野の調査と間引きは終わりました」


「……ご苦労だった」


 だが、この様子では最低でも二〜三日は休息が必要か。明日にでもこなしてほしいクエストがあったんだが……


「あとメアリーに伝えてほしいと頼まれたのですが、オスカーの奴がまだ着いてないと苦情が入ってるらしいです」


「なんだと!」


 時間的には二日前に着いていてもいいような距離の村でのクエストだぞ!


(まさか……すっぽかしたのか、あいつ!)


 オスカーにやらせたのはオーガの討伐。希望通りCランクのクエスト──ただし、次はBランクのクエストを受けるように念を押した──じゃないか!


(くそっ、どいつもこいつも!)



(レオ視点)


 ブンッ! ブンッ!


 朝、いつも通りに起きた俺は庭で軽く走りこみをした後、素振りをしていた。


(冒険者時代は毎日のルーティンだったな)


 そう言えば、ギルド職員になってからはやってなかったな。けど、最近は何故か自然と再開している。


“おっ、レオ! 精が出るね!”

「おはようございます、レオさん」


 あ、ハーディアにアイラだ。


「少し休憩にしませんか?」


 アイラは紅茶とお菓子が乗ったお盆を持っている。そう言えば、朝食がまだだからお腹が空いたな。


「レオさん、どうぞ」

「ありがとう」

 

 アイラから紅茶とお菓子を受け取り、口をつける。うん、美味い!


「そう言えば、レオにも聞いて欲しい話があるんだけど、良いかな」


「ああ」


 何だ、改まって?


「大量のアウルベア亜種と戦ったことは覚えていると思うんだけど……」


「勿論覚えてるぞ」


 あんな異常な事件忘れるハズがないが……色んなことがあり過ぎてえらく昔のことのように感じるな。


「あれ、最後にレオが戦ったアウルベアって昔戦ったやつなんだよね」


「ああ」


 特殊条件:リベンジは、ざっくり言うと“以前負けた魔物に再び勝つこと”というものだが、どうも自分を負かした種類の魔物ならどいつでも良いという訳ではなく──それなら一匹目で条件を満たしたはずだ──、自分を負かした個体に勝つ必要があるのだ。


(それにあの傷跡……まず間違いない)


 この広い世界で同じ個体に二度も会う可能性などほとんど無い。なので、基本他の奴が満たせるとは思えないな……


「で、最初に遭った時のアウルベアは原種だったんだよね」


「ああ」


 つまり、俺が戦ったアウルベアは俺を負かしたあとに亜種へ変化したということになるが……


「だけど、亜種モンスターはいわゆる突然変異。後天的に変わることは普通はない。だから死体を調べていたんだ」


「もしかして原因が分かったの、ハーディア!」


 アイラの驚いた声にハーディアは頷き、黒い石を俺達の前に出した。

 読んで頂きありがとうございました!

 次話は明日の昼12時に投稿します。


◆お願い◆

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― 新着の感想 ―
[良い点] 本来Dランクの依頼しか達成できない冒険者を、雑用一つでBランクにできるのは物凄いことです。 レオの雑用スキルこそ、ギルド長に相応しいとわかりますね。 スキル一つでストーリーもここまで幅がで…
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