雑用(LV3)
修理に必要な素材入手の目処が立たないため、里に帰るアイラに護衛としてレオは同行しますが……
それからしばらくして、項垂れるザガリーギルド長に見送られながら俺達の馬車は出発した。
(ホムラはどうなるのか……)
まあ、どうなろうと関係ないが、ランクダウンは間違いないだろうな。
(そんなことより、これからのことを考えないとな)
反応の悪い冒険者プレートにこだわる意味はないし、別のギルドに移るか……
「レオさん、どうしたんですか?」
「あ、悪い」
仕事中なのにボーッとしてしまった。
「あ、いえ。そうではなくて、何かを考えていたようだったので……」
慌てたように手をパタパタさせるアイラも可愛い……と見惚れてる場合ではないな。
「いや、プレートも調子が悪いから別のギルドに移ろうかなって」
“いっそ新しいギルドを作っちゃいなよ!”
「あ、それいいですね! 協力しますよ!」
オイオイ、二人共何いってるんだよ……ちなみにエレインは御者台にいるから聞こえてな──
「私も賛成です! 最初のギルドメンバーになりたいです!」
と会話に入ってくるのだが……前見なくていいのか?
※
それからアイラやハーディアと話しながら小一時間ほど進んだだろうか。
(そろそろ御者台にいるエレインに声をかけて交代しよう)
と思っていたのだが……
「な、何だ、これは!」
突然エレインの驚いた声が聞こえ、俺は外に飛び出した。
「どうしたんだ、エレイン!」
「レオ様! 驚かせてしまい、申し訳ありません」
詫びる彼女の背後には壊された橋が見える。これって……
(どう見たって自然に壊れた感じじゃないな)
魔法や刃物を使った痕跡がある。ってことは……
「ダグラスの手の者の仕業でしょう。奴ら汚い真似を……」
エレインがほぞを噛む。俺は敵の気配が無いことを確認してからアイラに出てきても良いと合図をした。
「これは酷い。あまり使わない道だけど、困る人もいるのに……」
今の自分よりほかの人のことを考えるなんてアイラは優しいな……
「橋のことは後で考えましょう。それよりも早く里へ帰らないと。今は敵の気配はありませんが、ここでもたもたしていれば敵のチャンスになってしまいます」
確かにな……
「他に道はないのか?」
「無いことは無いのですが……」
エレインの視線が近くの森へ向けられる。あの先に何かあるのか?
「谷底に降りる道があるのですが、いつしかそこは行き場を失った精霊の巣になっていまして……」
行き場を失った精霊……確かにヤバそうだな。
“行き場を失って狂った精霊達がいるんだ。狂ってるから近づく者には見境なく襲ってくる”
精霊と戦うんかい!
(精霊は神の息吹に命が宿った存在だって聞いたことがあるな……)
まあ、真偽の程はわからないが、強敵なのは確かだ。下級の精霊でもB〜C級の冒険者パーティが望ましいとされるし、下級以上ならA級以上の冒険者でないと話にならない。
“昔は定期的に浄化してたんだけど、百年前くらいにかなり強い大精霊が堕ちてしまってね……以後手がつけられなくなってね”
ヤバ過ぎるだろ。そんな奴と戦うのか?
“ま、流石にそれはないよ。僕の力で見つかりにくくして進めば行けるから。けど、下級精霊と戦う可能性はあるね”
下級精霊か……人数は少ないが、ハーディアもいるしな。
(行く前にスキルを調整するか)
俺は皆に断ってからステータスを開こうとするが……ん、やはり動作が悪いな。
◆◆◆
レオ 人間(男)
Lv 55
力 39
防御 34
魔力 32
精神 32
素早さ 35
スキル
〈雑用(Lv3)〉
※忍び足・力UP(大)・防御UP(大)・素早さUp(大)付与中
〈ブースト(Lv3)〉
〈ステータス操作〉
〈鑑定(Lv3)〉
〈アイテムボックス〉
SP 330
◆◆◆
宿に泊まっていたが、何かしら雑用をすることで〈雑用〉の発動条件は満たすようにしている。ちなみに〈雑用(Lv3)〉の効果はこれだ。
◆◆◆
〈雑用(Lv3)〉
掃除などの雑用が短時間で出来るようになり、出来も素晴らしいものになる。また、雑用の恩恵を得た者に以下の追加効果のうちから5つ選んで付与することができる。
(選択出来る追加効果)
力UP(大)・防御力UP(大)・魔力UP(大)・精神UP(大)・素早さUP(大)・HP自動回復・MP自動回復・状態異常無効(大)・経験値UP(大)・取得SPUP(大)
※対象者によっては日替りで選択出来る追加効果を選択出来ることもある。
尚、物の手入れ/修繕をした場合はその回数に応じてアイテムのレア度が上がっていく。
◆◆◆
これを知ってから俺は毎日ミスリルの剣の手入れをしている。ちなみにまだレア度は上がってないが、切れ味は明らかに良くなっている。
精霊と戦うなら……おっ、これはどうだ?
◆◆◆
〈霊剣〉
実体のない相手にも物理攻撃を当てられるようになる。
◆◆◆
読んで頂きありがとうございました!
次話は明日の昼12時に投稿します。
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