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蛍草

 冒険者ギルド、ホムラから帰ったレオを待っていたのは……

「マジでやるのか?」

「勿論です!」


 ここは例の宿にある訓練場。不具合の修正を終えたアイラは俺達と共にこの宿に戻って来たのだが、流石に疲れたらしく早めに寝てしまっている。で、エレインに頼まれ、今は二人で訓練場にいるのだが……


(いや、何考えてるんだよ……)


 眼の前には四つん這いになり、お尻を突き出したエレインがいる。彼女はこの状態で俺に鞭で叩けと言うのだ。


(アイラがいれば流石に止めてくれただろうになあ……)


 一体何でこんなことに……


「いや、鞭はヤバくないか。これ、家畜用じゃないか?」


 例によってダメージはないが、痛みはある……っていうか、問題はそこか?


「なるほど。鞭でなく直接レオ様が手を下して下さると……しかし、それだとこのままではいけませんね」


 エレインはなんの迷いもなく履いていたズボンに手をかけ……


 バサッ……


 目の前に突き出された尻を覆うものは布一枚。これはまさか……


(見るなっ!)


 俺は一瞬でエレインに背を向ける。大丈夫だ。俺は何も見ていない。赤とか意外にレースがついてて可愛いとか目にしてはいないんだ!


「さあ! 私の体と心に身の程というものを叩きこんで下さい!」


 いや、こんなところ人に見られたらどうするんだよ……


(だけど言うこと聞きそうにないな……)


 これは人目に触れない内にササッとやってしまった方がいいか。


「……分かったよ。行くぞ」


 とにかくあまり見ないように……


 パシィィン!


「アンッ!」


 し、しまった。強すぎたか。


(しかし何て弾力なんだ。まるで──)


 いやいや何考えてんだ、俺は!


「もっと……もっと強くお願いします! これくらいでは罰になりません!」


 マジでかよ……結構力込めたぞ。


(でもエレインが満足しないと終わらないし……)


 仕方ない。やるか!


バシッ!  「ヤンッ!」

バシィン! 「アアン!」

ビシッ!  「ハァン!」

     :

     :

     :


 ドサ……


 音を立ててエレインが崩れる。これでやっと終わりか。


(余計なことを考えないようにしているが……中々それも難しいな)


 性格はアレだが、エレインは美人だし身体もスラッとした魅力的な体型をしている。何も思うなという方が無茶だろう。


(まあ、これで終わりなら……)


 エレインももう満足しただろうし、大丈夫だろう……


「あり……がとうごさ……いました、レオ様」


 エレインが肩で息をしながら姿勢を正す。おいおい、無理するなよ。


「では、次はお礼に……」


 お礼!? おい、エレイン何を──



 それから数日後、俺達は再び冒険者ギルド、ホムラを訪れていた。何でも昨日は修理に必要なものを調べただけだったらしい。


「お願いしていた蛍草は集まりましたか?」

「それがまだ……」


 ザガリーギルド長が言うには必要な素材は結構なレアもので、今ホムラにいる冒険者では採りに行けないものだというのだ。


「蛍草が採れる場所はどこも難所だが……ホムラは腐ってもAランクの冒険者ギルド。何組か踏破可能なパーティがいるだろう?」


「勿論です。少し前まではいい稼ぎ場として人気の場所だったのですが、最近何故かクエスト達成率が下がっていまして……」


 項垂れるザガリーギルド長を見ると、複雑な気分になるな……


「原因もなく急にクエスト達成率が下がる……そんな馬鹿なことがあるのか?」

 

 エレインは首を傾げるが、俺には心当たりが……


(まあ、でも俺を首にしたのはザガリーギルド長の方だしな)


 可愛そうな気がしないでもないが、文句を言われる筋合いもない。


「きっと行いが悪かったのでしょう」


 うわっ……アイラ言うねぇ。


“まっ、ボクもそう思うよ”


 ハーディアまで……まあ、悪い気はしないけど。


「でも、蛍草が無ければ修理は出来ません。近くの冒険者ギルドに頼むしかないですが、時間がかかりそうですね」


「しかし、アイラ様。あまり里を長く空けておくわけにもいきません。長老にも半月弱で帰ると言っていますし」


 ううむ、つまり……


「一旦里へ戻りましょう。蛍草が手に入ったらまた来れば──」


「そんな! 冒険者プレートの不具合はどんどん広がってるんです。何とかしてください!」


「Aランクの冒険者ギルドなら用意できて当然の素材だぞ! 何が原因かは知らないが、ギルドの状態を元に戻すのが先だろう。それにそんな勝手な都合を言える立場なのか!」


「ぐっ……」


 エレインの正論にザガリーギルド長は文字通りぐうの音も出ないといった感じだ。


(確かに冒険者プレートの動きは悪いが、クエストが出来ないほどじゃないしな)


 ただ、入力が上手くいかなかったり、ステータスが開くのに時間がかかったりしてストレスフルなのは間違いない。よそのギルドに移る奴が出てもおかしくないな。

 読んで頂きありがとうございました!

 次話は明日の昼12時に投稿します。


◆お願い◆

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ノンストレスな王道追放モノ! バトルとヒロインの可愛さに自信アリなので是非ご一読下さいませ!




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― 新着の感想 ―
[良い点] 物凄い趣味のエレイン。 付き合わされるレオは役得と思えれば幸せなのですが。 辛辣なアイラ。 そして破滅への道を突き進みそうなギルド。 斜め下の行動をしてくれそうで、期待が高まります。
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