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訓練場

 エレインに手合わせを申し込まれたレオ。一体どうなる……

 エレインから提示されたルールはスキルなし、武器は木刀一本というシンプルなものだった。


(変わったルールだな)


 実はこの手の訓練場では保護魔法のおかげで怪我をせずに真剣での試合ができるのだ。


(まあ、痛みはあるけどな)


 ちなみにそれも使用するモードによっては無くすことが出来る。まあ、今回はエレインの希望で痛覚は遮断していないが。


「準備は良いか」

「ああ」


 アイラとハーディアが見守る中、俺はエレインと向き合う。隙の少ない良い構えだが……


「アイラ様、お願いします」

「じゃあ……始め!」


 開始の合図と同時にエレインが突進してくる。速いが……


 フッ!


 俺がかけたフェイントに引っかかったエレインはやはり俺が伸ばした足に躓き、派手に転んでしまった。


「くっ……馬鹿な」


 喉元に突きつけた木刀の切っ先をエレインが憎々しげに睨みつける。こ、こえ〜


「悪くなかったぞ。剣をちゃんと学んでいるんだな」


 普通、冒険者は騎士のように剣術などの武術を学ぶことはない。何故なら基本的に冒険者の力はスキルだからだ。


(勿論、武器の振り方くらいは習うけどな)


 ちなみに俺が剣術を学んでいるのは田舎で教わっていたことに加え、それくらいしか強くなる方法が無かったからだ。


「気に入らんな……何故打たない! 余裕のつもりか!」


え? その必要がなかったんだけど


(あ、これが余裕ってことか?)


 まあ確かに余裕ではあったが……


「本気でやれ! 私も殺す気でいくからな!」


 マジでか。まあ、怪我はしないんだから……いいのか?


“全力でやった方が良いよ! 彼女は力がある人じゃないと認めないタイプだから“


(そうなのか……分かった)


 一応アイラにも視線で確認を取る。よし、ならやってやるか。


“それにそっちの方が面白そう”


 おい、聞こえてるぞ!


「たあッ!」


 慎重に間合いを詰めてからの素早い袈裟斬り! だが……


 ガツッ!


 俺は難なく防ぐ……が、押し返さない!


「っ!」


 体重を乗せた一撃……強力な分、かわされると姿勢が崩れる。すると……


 バキッ!


 俺は木刀をエレインの脇腹に打ち込んだ!


「ガバッ! ……うっ、馬鹿な。木刀の一撃でこれほどのダメージだと!? スキル並みの威力じゃないか」


 さっき冒険者の力はスキルだと言ったが、実はもう一つある。それは装備だ。魔物の素材や魔法が付与された武具はレベルアップ以上にパラメーターを上昇させる。だから、パラメーターは普通ほとんど重視されないのだ。


(木刀だからダメージも大したことはないと思ったんだろうな)


 または防御のパラメーターに自信があったか、だな。どちらにしろ……


「これくらいにしよう。ダメージがなくても痛みはある。アイラの護衛をちゃんと出来なくなるぞ」


 まだ立ち上がろうとするエレインの背に向けて俺はそう言うが、エレインはふらつきながらも立ち上がり、俺に木刀を向けた。


「まだ一合もやってないのに終わりに出来るか! ましてや私から言い出してるんだ! 止められるわけないだろっ!」


 ええ……どう見てもズタボロだぞ


(それにちょっと気が引けると言うか……)


 傷は無いとはいえ、何か絵的に一方的にいたぶる感じになってない?


「レオさん、気遣い無用です。エレインはここで引かれたり、手加減されると却って傷つくタイプなんです!」


 厄介な性格だな、おい!


“アイラの言う通りだよ、レオ! 徹底的にやって! 面白いものが見られるから”


 最後の一言が不安だな……


(なら、仕方ないか)


 まあ、最悪ルイーザの助けを借りるか。


「どうなっても知らないぞ!」

「リャァァァ!」


 裂帛の気合い! だが……


 ボコッ!   「グハッ!」


 ドスッ!   「はぐっ!」


 ビシッ!   「アンっ!」


 ガツン!   「やぁん!」


 ……あれ、何かおかしなことになってないか?


 バタ……


 肩で息をしながら倒れ込むエレインの顔は上気し、どこか色っぽい。な、何でだ! 何が起こった?


「レオさん、お手数おかけしました。ハーディア、お願い出来る?」


「分かったよ、アイラ!」


 そう言うと、ハーディアはエレインを背負い、部屋へと……


「ま、待って……ください、ハーディア様」


 息も絶え絶えな様子でエレインが何かを喋ろうとするが……とにかくもう休んだ方がいいぞ!


「レ、レオ様……大変失礼……しました。どうか、私の見識の……甘さをお許し下さい」


 辛いだろうに俺に平服するエレイン。いや、そんなのいいからとにかく休めって!


「分かってくれたらいいから! 顔を上げ──いや、とにかく横になった方が良いって!」


「無論、私には……罰が必……要です。レオ様に対……する数々の暴……言、万死に値……します。だから……ぶってください」


 はあぁぁ?

 読んで頂きありがとうございました!

 次話は明日の昼12時に投稿します。


◆お願い◆

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旧作も読んでくださると嬉しいです!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 変態み~っけw
[良い点] エレインはとことん猪ですね。 アイラとはぐれていたこと然り、結構抜けていそうな性格です。 なるほど。そういうキャラですか。 中々に濃いキャラで、てっきりテンプレと勘違いしておりました。 …
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