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似て非なるもの

 前半は「あの人の今」をお送りします(笑)

(ザガリーギルド長視点)


 はあ、はあ……まさか、ゴブリンにこれ程苦戦するなんて。


(一匹一匹は大したことないが、連携してきやがるなんてな)


 前衛が俺達を止めている間に後衛が弓矢や魔法で攻撃してくるという単純な戦略だが、数が揃うと中々に対処が困難だ。


「ギルド長、さらに五匹出てきました!」


 まだ来るのか!? もういい加減にしてくれよ。


(こっちはもう回復アイテムは尽きたし、マックスももう魔法は使えない……)


 退却するか……いいや、駄目だ! ゴブリン退治で失敗したらギルド長としての面子が立たない!


(くそっ、俺が祭器に認められていれば……)


 祭器……冒険者ギルドと精霊を繋ぐ鍵とも言えるあの武器が使えれば──


「ギ、ギルド長! 亜種です!」


 トーマスの慌てた声がする。マジでいたのか、亜種!


「落ち着け。亜種といってもゴブリンはゴブリン。騒ぐことはない」


 亜種とは戦ったことはないが、知識ならある。原種よりも強くなるらしいが、所詮はゴブリン。大したことは……


 ボカッ!


「ガハッ!」


 ゴブリン亜種の攻撃を受けきれずにトーマスがよろめく。


「くらえっ!」


 だが、その隙にヘンリーが攻撃! よし、いいぞ!


 スカッ!


 あっ! 生意気にもかわしやがった! ゴブリンの癖に生意気な!


「くっ……あの二人がまるで敵わないなんて!」


 マックスはMpが尽きているため、何も出来ない。ここは俺が!


「ウリャ!」


 ヘンリーの攻撃を回避した直後に背後から斬りかかる! が……


 ドガッ!


 攻撃は簡単に見切られ、俺はついでにタックルを食らった。


「ギルド長、大丈夫ですか!」

「だ、大丈夫だ……問題ない」


 視界は揺れるし、吐き気がする……くそっ、ゴブリン如きに……


「ギルド長、一旦引きましょう。アイテムを揃えて出直すんです」


 なっ……


「このままではジリ貧です。二人もいつまで持つか……」


 馬鹿な! ゴブリン相手に逃げるだと……


 ヒュン! ヒュン! ヒュン!


 後ろから弓弦の音!? 囲まれてる!


「ガッ!」


 俺には当たらなかったが、マックスが手傷を負ったか。くそっ……


「まさか、ゴブリン亜種が出てきたのは俺達の注意を引きつけるためか!」


 馬鹿な! それじゃ、俺達がゴブリンなんかに一杯食わされたってのか!


「ギルド長、早く退──」


 その瞬間、何かが飛び出してきてゴブリン亜種の体が吹き飛んだ!


「ア、アウルベア? いや……違う!」


 ただのアウルベアじゃない。まさか、こいつも亜──


「逃げろ! 退却だ!」


 妙なアウルベアは次々に現れ、ゴブリンに飛びかかる! 何だ!? 何が起こってるんだ!


(レオ視点)


 結局、ルイーザには全部説明することになってしまった。


(まあ、知られて困る話じゃないしな)


 後、二人のステータスはこんな感じだ。



◆◆◆


アイラ ???(女)

Lv   49

力   17

防御  18

魔力  58

精神  57

素早さ 20


スキル

〈下級精霊魔法(Lv3)〉

〈中級精霊魔法(Lv1)〉

〈???〉

※魔法攻撃バースト化・魔力UP(中)・取得SPUP(中)付与中


SP 632

※亜種撃破ボーナス(50)


◆◆◆


◆◆◆


ルイーザ 人間(女)

Lv   25

力   6

防御  10

魔力  7

精神  9

素早さ 7


スキル

〈フラッシュ〉

〈ヒール〉


SP 75

※亜種撃破ボーナス


◆◆◆


 ルイーザのパラメーターが低いように思うかもしれないが、それは間違い。俺達のパラメーターがおかしいだけだ。しかし──


「レオのパラメーターはいつ見ても凄いな!」


 ハーディアが興味深そうに俺のステータスを見ながら言ってくるが……


「あんまり意味ないけどな。戦闘の基本はスキルや魔法だから」


 スキルを使えば、パラメーターに関係がない動きが出来る。だから、基本パラメーターは飾り。冒険者としての力はスキルが評価基準で、それも攻撃のためのスキルが高く評価される。


「でも、〈雑用〉で強化されたらスキル並みの攻撃になるんじゃないですか? アウルベア亜種もバッタバッタ倒してましたし」


 確かに〈雑用〉の可能性については俺も感じるところがある。


「つまり、レオさんは皆にスキルを与えられるってことですよ! そんなスキル聞いたことがありません!」


「まあ、まだよく分からないが……」


「一緒に調べましょう! 私、協力します!」


 ガシッと音が出そうな勢いでルイーザが俺の手を握る。


(お、おう。〈雑用〉に関心があるのかな?)


 悪い気はしないが、どうしたものか……


「すみませんが、ロザラムについてからは私達が護衛の依頼をしてるので!」


 グイッ!


 アイラが俺の腕を取る。何だか柔らかいものが二の腕辺りに当たってる気がすることは考えないでおこう。


(それにしても、一体何が……)


 それに何だかアイラが怒ってないか?


「別に四六時中一緒ってわけじゃないんじゃないですか?」


 グッ!


 今度はルイーザが俺の腕を取る。さっきとは違う腕にさっきとは同じ柔らかな感触が……


(いや、違うな。ルイーザのは……)


 いや、駄目だ。深く考えるな!


「四六時中同じです! 護衛なんですから!」


「……お風呂のときは? 寝るときも?」


「そ、そんな訳あるわけないじゃないですか!」


 おおっ……一体何の話か分からん。


“レオ、何とかして……”


(え、俺!?)


 何でこんなことになっているか分からないのに!?


「とりあえず、ロザラムに帰ろうぜ。また魔物が来たら嫌だしさ」


「……そうですね」「確かに……」


 ほっ、良かった……

 読んで頂きありがとうございました!

 次話は明日の昼12時に投稿します。


◆お願い◆

 「面白い」「悪くないな」「まあ次話を読んでみるか」等などと思われた方、ブクマやポイントをポチッとして頂けれると筆者のモチベが爆上がりします。是非ご一考下さいませm(_ _)m

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旧作も読んでくださると嬉しいです!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 何気なく放った一発一発が、スキル並みの強さってチートですよね。 そこに更に雑用スキル諸々が加わり、レベルが上がりきれば誰もが手が付けられなくなるものでしょう。 ルイーザもこの時点から仲間…
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