辞表
日間一位になりました。初めてなので嬉しいです。応援ありがとうございますm(_ _)m
無事アウルベア亜種を撃破! しかし……
*編集ミスで前半部分が大幅に欠けていました。申し訳ありませんm(_ _)m
「よしっ、素材は回収……っと。ハーディア、頼めるか」
「もちろん!」
今まで言い忘れていたが、討伐した魔物の素材やクロムレイヴンの巣で見つけたアイテムなんかはハーディアの〈アイテムボックス〉に保管してもらっている。
(アイラが長旅をしている割に軽装なのもハーディアのおかげだな)
精霊って便利だよな。一家に一台って感じだな。
「それにしても変な魔物だったな」
「確かにそうだね。マナの乱れが異常だったし……」
マナの流れ……そうなのか。
「こいつらは何かの影響を受けて亜種になった感じかな。多分、まだ元凶がいるはずだ」
元凶……
「それって魔物? それとも人間……?」
「それは分からないよ、アイラ。異常な個体が周囲の魔物の変異を促した例は数多くあるからね」
元凶が人間? そんなことがあり得るのか?
「禁術絡みだね。まあ、知らないほうがいいよ」
よほど顔に出ていたのだろう。ハーディアがそう言ってくれた。まあ、精霊守なら禁術を使うヤツを取り締まらなきゃいけないもんな。
「とにかく進もうか。また調査は必要かも知れないけど、今は早く抜けてしまった方がいい」
「そうだな」
ハーディアの言葉は最もだ。精霊守が中級の亜種が出るような場所に護衛一人といるなんてのはあまりに危険過ぎる。
※
(ザガリーギルド長視点)
次から次へと問題が出てくる。精霊守は見つからない。精霊守の護衛は黙るどころか、里に連絡を取りやがった。近く長老に直接説明を求められることになりそうだ。
(しかも、クエスト達成率は回復しない。原因さえ分からない……)
状態異常耐性の低下、攻撃力の低下に加えて、武器性能の低下まで報告が上がってきた。もう訳が分からない。
(一体何でこうなった……どうしたらいいんだ……)
いまや退役したはずのトーマス達さえ狩り出す羽目になっている。そのせいもあってかギルド内は喧嘩や罵声の嵐。おまけに多数の受付嬢が辞表を出してきた。
(こんな状況で辞表を出すなんて……くそ! 空気読めよ!)
ちなみに次の日からクエストの受付も俺の仕事に。もう寝る間もない。
昨日もこんなやり取りがあった。
“こ、こんなクエスト、駆け出しの俺達には無理ですって”
Eランク三人組のパーティー、『黄色い翼』のリーダーが俺の指示に逆らったことで俺は激高した!
“うるさい! 駆け出しのくせにギルド長である俺に口答えするなっ!”
大声を出すと、ヒヨッコ達は青い顔をして出て行く。フン、ゴブリン退治くらいで何を……
(ん? 亜種が群れを率いている可能性あり? んなばかな)
後で確認したらそんな情報が依頼書にかかれていたが……亜種なんてそうそう出るもんじゃない。こんな情報間違いに決まっ──
「大変ですっ、ギルド長!」
「何だっ、やかましい!」
最近身についた反射的に怒鳴る癖のせいで、報告にきたトーマスがビクつく。そういうリアクションも腹が立つ!
……が、怒鳴ってばかりじゃ話が進まない。くそっ、忌々しい。
「ギ、ギルド長。報告が」
「何だ」
無精無精苛立ちを抑える俺。だが……
「亜種です! しかも複数!」
「なっ!」
あ、亜種!? んなばかな!
“こ、こんなクエスト、駆け出しの俺達には無理ですって”
『黄色い翼』のリーダーの声が脳裏に蘇る。いや、まさか。そんなはず……
「ギルド長、重症者です!」
今度は何だ!
「奥へ運べ!」
担架に乗っているのは……『黄色い翼』か!
(だが、まあ、死んではいないか……)
安心したのも束の間。俺はある事実に気がついた。
(メンバーが足りない)
『黄色い翼』は男四人、女一人の五人パーティー。だが、担架で運ばれてきたのは男のみだ。
「まっ……て下さい。まだ、ルイーザが」
「今は喋るな。死にたいのか!」
「ルイーザが……ルイーザが」
担架と伴走して治療するヒーラーが俺に負けないくらいの大声で怒鳴るが、訴えは止まらない。
(ルイーザ……あのヒーラーか)
ルイーザは長い茶色の髪に緑の瞳の美人で、俺のどストライクだ。そもそも『黄色い翼』を気にしていたのもルイーザがいたからといっていい。
(くそっ……勿体ない)
ゴブリンに捕まった女冒険者の末路はお決まりだ。何とか自分の女にしようと思ってたんだが……
(もう『黄色い翼』はどうでもいいか。どうせここまで大怪我を負えば回復までに時間がかかるし、全快したとしてもまたクエストに出られるとは限らないしな)
だが、自分のものにするつもりだった女をゴブリンなんぞに盗られたのは気に入らない。
「で、ギルド長。ゴブリンの亜種はどうします?」
なんだトーマス、まだいたのか!
「二〜三人つれて倒してこい」
「そんな、無理ですよ! 今ギルドにはE〜F級の冒険者しかいないんですから! しかもゴブリン以外にも亜種が……」
うるっさいな……亜種ゴブリン程度で。
(なら、俺が行くか。気晴らしになるかもしれないしな)
この時、俺は事態を軽く見すぎていた。それを知るのはもう少しだけ後の話だ。
読んで頂きありがとうございました!
次話は明日の昼12時に投稿します。
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