亜種
強敵現る! どうする、レオ!
日間二位! ありがとうございますm(_ _)m
(これは! 急にアウルベアの動きがゆっくりに……)
十中八九、〈雑用〉の追加効果だ。つまり、何か対処をしないと死ぬと言うことだ。
(後ろから飛んでくるのは〈水弾〉か! なら……)
ゴロゴロゴロ!
俺は立ち上がらずにとにかく転がることで距離を取る。普通なら転がるだけでは次の攻撃でやられるだけだが……
ドッカーン!
アイラの〈水弾〉がアウルベア亜種に突き刺さるや否や、大爆発を起こす!
(確か、魔法バースト化とか言ったっけ……)
アイラの今日の日替りスキルだ。確か説明文はこんな感じだった。
◆◆◆
魔法バースト化
魔法の効果が強化される。ただし、消費MPは増加する。
◆◆◆
ハーディアがいれば、精霊魔法の消費MPは激減するため、ほぼノーリスクで魔法の効果が強化されることになる。
ちなみにアイラは他に魔力UPを二つ選択している。防御が心配になるが、そこはハーディアに任せるらしい。
(アイラの援護に助けられたが……気をつけないとな)
通常、亜種は原種よりもワンランク上に近い力を持つようになると言われている。下級なら中級弱、中級なら上級弱といった具合だ。つまり、このアウルベアはやはり上級に近い力を持つことになる。
(何とか隙を作って逃げるしかないか……)
アウルベア亜種はアイラの〈水弾〉に怯みながらも俺から視線を外さない。
(くそ……なかなか頭がいい奴だな)
いや、片腕になったことで怯むどころか激高したか……どちらにせよ、厄介だ。
(それにこの剣の切れ味……どうなってるんだ?)
確かに良い剣だが……アウルベア、しかも一撃で亜種の片腕を飛ばすなんて。
(もしかして、これも〈雑用〉の力か?)
有り得ない話じゃない。ギルドでは武具の手入れもやらされていたからな。
「オオオオォッ!」
アウルベア亜種が突っ込んでくる!
(早い……けど、かわせる!)
勿論、俺の元々のパラメーターならそんなことは無理に決まってる。だが、今、俺は〈雑用〉による追加効果、素早さUP(中)によりパラメーターが上がってる。なので……
スッ!
アウルベア亜種は俺にぶつかることなく、明後日の方へ。だが、突如悲鳴を上げて倒れ込んだ。
(ほんの刃先を当てたつもりだったんだけど……)
実は避けるとき、当たればラッキーくらいのつもりでアウルベア亜種の方へ刃先を向けていたのだ。ヤツのスピードが速いこともあり、鋭く入ったと思ったけど、そこまで……!?
ドクドクドク
倒れたアウルベア亜種の腹からは血が勢いよく流れ、見る見る内に池のようになっていく。オイオイ、もう死んじゃいそうだな。
ドッカーン!
この隙にアイラの〈水弾〉が炸裂! これで決まったな。
ブルブルブル!
バイブ設定にしている冒険者プレートがポケットの中で振えてる。そう言えば、昨日設定を解除するのを忘れてたな。
(ん? ウインドウが……)
何だ? レベルアップの通知は切ってあるはず……
◆◆◆
スキル〈ブースト〉の習得条件を満たしました。
◆◆◆
は、何だって? 〈ブースト〉???
(習得条件ってことはユニークスキルか?)
〈ブースト〉なんて名前は聞いたことがない。一体どんなスキルなんだ?
◆◆◆
〈ブースト〉
次の攻撃を強化する。一度発動するとクールタイムが過ぎないと再使用が出来ない。
習得条件:中級以上の魔物(亜種)の討伐
◆◆◆
おおっ! 凄いスキルじゃないか!
ビービーピー!
この音……危機感知のアラートか!
(なっ……まだいるのか!)
“レオ!”
ハーディアの声が頭に響くと同時にアウルベア亜種が姿を現す。しかも今度は二頭だ。
(血の匂いに引き寄せられたか……)
今までなら“ヤバイ”とか“出来るのか?”とか思っていただろう。だけど、今、心にあるのは“やってやる!”という強い思いだけだった。
(昔はただのアウルベアにさえ手が出なかった……けど、今は違う!)
試したい……自分に何が出来るのか、何処まで出来るのかを見てみたい。そんな冒険者になったばかりの時にあった気持ちが蘇ってきた!
“さっきのパターンでいける?”
俺は事前の取り決め通り、返事の代わりに剣を高く掲げ、アウルベア亜種に突進した!
「〈ブースト〉!」
早速さっきゲットしたスキルを使って斬りかかる。すると……
ズバンッ!
なんとアウルベア亜種が真っ二つに!!! オイオイ、このスキル、凄すぎじゃないか!
(だが、連続では使えないんだったな)
再使用出来るまでのクールタイムがどれ位かは分からない。が、目の前のアウルベア亜種は動揺したらしく、隙だらけだ。
ドッカーン!
そこをアイラの〈氷弾〉が狙い撃つ。俺は突如大ダメージを受けて棒立ちになっているアウルベア亜種に止めを指した。
「ふう……終わりか」
ブルブル ブルブル ブルブル!
冒険者プレートがバイブする。またレベルが上がったみたいだな。
(でも、亜種が三体ってどうなってるんだ?)
亜種は基本的に突然変異で生じる魔物だ。それが三体ってどうなってるんだ?
(中には種族として定着しているものもあると聞くが、そんなものはあくまでも例外だし)
うーん、分からない。
「レオ、大丈夫?」
「レオさん、怪我はありませんか?」
戦闘が終わり、アイラ達が駆け寄ってきた。
読んで頂きありがとうございました!
次話は明日の昼12時に投稿します。
◆お願い◆
「面白い」「悪くないな」「まあ次話を読んでみるか」等などと思われた方、ブクマやポイントをポチッとして頂けれると筆者のモチベが爆上がりします。是非ご一考下さいませm(_ _)m




