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前触れ

〈レオ視点〉


 翌朝も俺はいい気分で目覚めることができた。


「これも〈雑用〉のおかげか」


 アイラは既に起きているらしく、寝袋は空だ。昨日例の剣の手入れをして夜ふかしをしたせいで寝坊してしまったらしい。


(こんな気持ちのいい朝を迎えられるなんてな……)


 自分の部屋なんて滅多に掃除しない……というか、気になる部分のホコリをつまんだりする程度だったので、このスキルの恩恵を受けてこなかったのだろう。


(まあ、気分の良さはスキルのせいだけでもないか)


 昨日、ハーディアとアイラから依頼された護衛の話は将来に不安があった俺には有り難い。


(それに……二人とまだ一緒に入られるっていう点も嬉しいな)

 

 冒険者時代もギルド職員時代も仲間はおろか、まともに扱ってくれた人がいなかったからかな……


(それにしても二人共えらく持ち上げてくれるよな)


 最初は過大評価だと思ったけど……いまやLv37。中級者まで後一歩というレベルだ。


(過信するつもりはないけど、追加効果次第ではトーマス達にも勝てるんじゃ……)


 もしかして……もしかしてだけど、少し自信を持ってもいいのかも。


「レオー! 起きてる!? 朝ご飯出来たよ〜」


「悪い! 今いくよ」


 俺は急いで寝袋を出た。



 支度を終えた俺達はロザラムへ向かうべく野営地を後にした。


 が……


(魔物の気配はないが……妙だな)


 胸騒ぎを起こさせる妙な静けさだ。一体……


「妙だね……あっ!」


 ハーディアが何か見つけたみたいだ。


「………これ見てよ」


 ハーディアが持ってきたのは……前足?


「これはダークハウンドの前足か? 何でこんなところに……?」


 ダークハウンドは黒い狼のような魔物で素早い動きに鋭い牙が特徴の魔物だ。単体でも中級に近い力を持つ魔物だが、真に恐ろしいのは集団での連携力。ときに上級の魔物を仕留めることさえあるほどなのだ。


(何でこんな魔物の足が? ん?……何か噛みちぎられたような感──)


 その瞬間、俺の頭に恐ろしい考えが浮かんだ。


「まさか、ここにいたダークハウンドを食った魔物がいるのか!?」


 気をつけてみるとあちこちに食べ残しと思しき肉片が転がっている。


(……オイオイ、一体どんな魔物なんだよ)


 ざっと見たところ、ダークハウンドは二十匹以上いたみたいだ。これを倒して食らったとなると、相手の魔物の力は間違いなく中級を超えてるな。


「気をつけよう、いつ襲われるかも分からない」


「……そうね。気をつけないと」


 アイラが手にした杖を握りしめる。確かに気をつけないとな。 


(一応選択した追加効果を確認しておくか)


 俺はステータスを開いた。



◆◆◆


レオ 人間(男)

Lv   37

力   27

防御  25

魔力  24

精神  24

素早さ 26


スキル

〈雑用(Lv2)〉

※危機感知・力UP(中)・素早さUP(中)付与中


SP 452


◆◆◆



 今日の日替りスキルは危機感知。効果は確認済みだが、大事なことだからもう一度見ておこう。



◆◆◆


危機感知

 敵意を持つ存在が近づくと頭の中でアラートが鳴る。また、致命傷となる攻撃を受ける際、自分だけ時間の流れがゆっくりになる。

  

◆◆◆



 今の状況にぴったりな追加効果だ。頭の中でアラートが鳴るっていうのがどんな感じなのかは分からないけど……


 ビービーピー!


 なっ……これがアラートってやつか!


「アイラ、ハーディア……」   


 小声で名前を呼ぶと、二人はやや緊張した顔で頷いた。俺が選択した追加効果については事前に共有済みだ。


(やり過ごせるか……?)


 スキルの説明文を読む限り、相手が俺に気づいているかどうかまでは分からない仕様のようだ。俺達に気付いていなければ何とか……


「オオオオォッ!」


 威嚇するような咆哮……やり過ごすのは無理か。


(ハーディア、俺が前に出る)


“頼むよ”


 それにしてもこの咆哮はまさか……   


「なっ!」


 木の陰から出て魔物と対峙する。梟の頭と熊の体……やはりアウルベアか。


(俺が冒険者を諦めたきっかけとなった魔物か。かなり大きいが、今なら!)

 

 俺が剣を抜くとアウルベアは腕を上げて再び咆哮する! が……


(行くぞっ!)


 俺は突進しながら剣をアウルベアへと突き立てる。先ずは腕を……


 ズバッ!


 な、何ぃ! 軽く傷を負わせるつもりが、肘の辺りで切断してしまった!


(しまっ──)


 予想外の展開に俺は体勢を崩す。すると、アウルベアは痛みに怯まず、もう片方の腕を振るってきた!


 ブンッ!


 その時、俺はあることに気付いた。


(あれ? このアウルベア、何か変だぞ)


 体毛が部分部分で少し青みがかっていたり、爪が長く頑丈そうだったりと以前見たアウルベアとはかなり違う。これはまさか……


(コイツ……亜種か!)


 その瞬間、時間の流れが緩やかになった!

 読んで頂きありがとうございました!

 次話は明日の昼12時に投稿します。


◆お願い◆

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― 新着の感想 ―
[良い点] 短編版からの続きは、アウルベアとの因縁の再戦からですか。 しかも亜種。アツい展開です。 レオが過去を乗り越える姿を楽しみにしております。
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