スキルレベル
レベルを上げるのにSPを500も使うのか、このスキル! 無茶苦茶だな!
(スープは……後は暫く寝かせればいいか)
どうするかはアイラやハーディアの意見も聞いてみてから考えるか。まだ掃除も残ってるしな。
※
ランドタートルの肉とアイラの採ってきた山菜のスープに舌鼓を打った後、俺は二人にSPの使い方について相談した。
「500か……まあ、でもその分の価値はあるんじゃない?」
「そうか?」
ハーディアの言葉に俺は首を傾げたが……
「だって、このSPは〈雑用〉があったから手に入ったんだし」
……そう言う考え方も出来るな。
「それに何か面白そうだ。そんなスキルみたことないし、Lvが上がったらどうなるか見てみたい!」
興味本位かよ!
「もうっ、ハーディア! せっかくレオさんが相談してくれてるのに!」
アイラが唇を尖らせるが、ハーディアはどこ吹く風だ。
「確かにSPが500も必要なのにはびっくりですが……正直その価値はあるスキルだと思います」
「そ、そうかな」
アイラの表情は真剣だ。彼女の性格上、本当にそう考えてるんだろう。
「パラライズクロウラーもランドタートルも下級の魔物ですが、討伐難度は中級レベルと言われています。ハーディアの援護があってもあの数を二人で倒すことが出来るようにするスキルなんて他にありませんよ!」
パラライズクロウラーやランドタートルは麻痺能力や防御力の高さのせいで実入りの悪い魔物として冒険者から不人気な魔物だ。この辺りの設備がボロいのもそのせいかもな。
(といっても間引きや生息調査のためにクエストを出さなきゃいけないはずだけど……)
今までの野営地と同様、ここもしばらく人が入ってない感じだった。
(まっ……とりあえずSPのことを考えるか)
SPが500あれば、〈剣術〉〈鑑定〉〈アイテムボックス〉など今まで欲しいと思っていたスキルが全て手に入る。それらを諦める価値が〈雑用〉にあるのか……
※
ビュッ!
風切り音と共に急降下してきた魔物、クロムレイヴンを紙一重で避けると同時に剣を突き立てる。勿論、こんなこと、今の俺の力で出来ることじゃない。スキルの力だ。
(これが回避カウンター……〈雑用〉のスキルLvが2に上がったことで開放された新たな力か)
結局、勧められるままに〈雑用〉にSPを振ると、スキルの説明文がこうなった。
◆◆◆
〈雑用(Lv2)〉
掃除などの雑用がかなり手早く出来るようになり、出来もかなり良くなる。また、雑用の恩恵を得た者に以下の追加効果のうちから三つ選んで付与することができる。
(選択出来る追加効果)
力UP(中)・防御力UP(中)・魔力UP(中)・精神UP(中)・素早さUP(中)・状態異常無効(中)・経験値UP(中)・取得SPUP(中)
※対象者によっては日替りで選択出来る追加効果を選択出来ることもある。
◆◆◆
俺が選んだ回避カウンターは日替りで現れるタイプの追加効果。初撃は100%回避出来るが、二撃目からは発動する確率が減っていく。だが、二つ目に選択した追加効果、力UP(中)のおかげで二〜三発で止めをさせるため、何も困らない。
(クロムレイヴンはパラライズクロウラーやランドタートル以上に厄介な魔物のはずなんだけどな)
クロムレイヴンは上空から突進してくる上に体が硬い。そのため、落下するスピードと相まって、落下しながらの攻撃には砲弾のような威力がある。
(それを躱したとしても、並の攻撃ではダメージが与えられない……もたもたしていれば、再び上空へと逃げられてしまう)
で、また厄介な急降下を受けるという悪夢のような魔物だ。だが、厄介な落下攻撃を回避カウンターで躱し、奴の防御を貫く攻撃が出来るなら何の脅威でもない。
「〈雨弾〉!」
クロムレイヴンにとっては魔法が一番効果的。だが、今のアイラの攻撃は一味違う。
「グァッ!」「ガァッ!」
雨のように降り注ぐ氷の針が全てクロムレイヴンに突き刺さる! アイラが選択した追加効果、攻撃魔法必中の力だ。
バタバタバタ……
クロムレイヴンが次々に空から落ちて来る。アイラの魔法攻撃は二つ目の追加効果、魔力UP(中)でとんでもない威力になっているのだ。
(今回はアイラが主役だな)
落下してくるやつを狩る俺と空を飛んでいるところを攻撃出来るアイラでは倒せる数は違う。
(少しは自信がつけばいいけどな)
そんなことを考えながら襲ってくるクロムレイヴンと戦っていると……
「クロムレイヴンの巣か」
クロムレイヴンは地面に穴を掘って作った巣に光り物を集める習性があるのだ。で、稀に貴重なアイテムが眠っていることもあるとか。
(まあ、大抵小銭や破損した武具くらいだが……)
さほど期待せずに巣を漁る。すると……
(これは……まさか!)




