引き継ぎ
意識を失ったエレインを部屋へと運ぶレオ。遂に最強主人公が過去最大の窮地に……!?
「ほら、部屋についたぞ」
エレインを部屋の前まで連れてきたが、どうやら寝てしまったらしく意識がない。これはこまったな……
(鍵がないと……)
鍵がないとどうなるか。それはこの場面を誰かに目撃される可能性が上がってしまうということだ!
(意識のないエレインを連れて部屋の前に……ってのは流石に絵的にヤバいよな)
冷やかされるか、悪評が立つか……
(これから獣人達と信頼関係を作っていかなきゃいけないのにどちらも御免だ!)
本当はそれよりもアイラに誤解される方がダメージがデカい。が、そんなことは意識するだけでも耐えられない。
(とにかく鍵を……)
冷静さを失った俺はエレインのズボンのポケットを探った。
ガサガサ……ガサガサ……
前はナシ……後ろか?
ガサガサ……ガサガサ……
「あんっ……」
「!?」
エレインが不意に上げた声に驚いた俺は思わず手に力を入れてしまった!
「ヤンッ!」
お尻をつねられたことで悶えるエレイン。だが、まだ起きてはいないらしい。
(ズボンのポケットにはなし……か。まいったな)
焦りは思考に更なる靄をかける。俺はエレインを床に寝かせると、鍵を求めて上着のポケットなどをまさぐった。
(あっ……あった!)
そのかいあって鍵についているっぽい鎖が首に巻かれているのを見た。多分あれが鍵だ!
(よし……)
*
エレインの部屋を出た後、皆の元へ戻ろうとした道中、俺はアイラとばったり顔を合わせた。
「あ、レオさん」
「アイラ、こんなところに……」
宴はまだまだ続いている。容姿、実力、肩書きの全てが揃っていることに加え、神のごとく敬われているハーディアを連れていることもあってアイラはエレナにも負けないくらいの皆の人気者だ。
(なのにこんな場所に……)
ここはまだ村長の家の中。宴が行われている広場からはかなり離れているけど……
”レオの姿が見えなくなったからさ。ボクはもう寝る時間だしね、ふわぁ〜”
あ、つまり護衛交代って訳ね。
「悪かった。今戻るところだったんだ」
”なら良かった。ボク、もう限界でさ。後は頼むよ、レオ。おやすみ……“
「今日もありがとう、ハーディア」
アイラが声をかけるやいなや、ハーディアの気配が消えていく。どうやら限界というのは本当のようだ。
(今日はハードな相手だったし、最近眷属の治療とかで忙しかったもんな)
そう言えば、最近ハーディアの気配も分かるようになってきた。シオンと一緒にいるからかな。
「じゃあ、みんなの元へ戻ろうか」
俺がそう言って歩き出そうとすると……
ぐっ……
不意に服の裾が引っ張られ、俺は立ち止まった。そして……
「……少し歩きませんか?」
*いつもより少し短くてすみません! 理由はその……運営様の意向を忖度したためです! アカウント抹消とか怖すぎなので……
読んで頂きありがとうございました!
次話は来週の昼12時に投稿します。
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